「中国4.0 暴発する中華帝国」
エドワード・ルトワック/訳者・奥山真司
株式会社文藝春秋社 2016年3月発行・より
2015年の後半、習近平の訪米直後に、朴槿恵大統領が訪米したが、
合同記者会見の席で、オバマ大統領はボディー・ランゲージで怒りを露わにしたのである。
「中国は(南シナ海で)国際的な規範を守るべきだ」 と説いたのだ。
まるで中国のメッセンジャーであるかのような朴大統領の行動を非難したのである。
この時のCNNの報道映像は、とても象徴的なものであった。
というのも、このニュースの前後の画像に、朴大統領が同年の北京の抗日戦争勝利70周年記念の軍事パレードに参加して、
他の独裁国家の首脳たちと並んでいる様子が映されていたからだ。
そこにはカザフスタンのヌルスタン・ナザルバエフ大統領やロシアのプーチン大統領と並んだ朴大統領の姿があった。
オバマ大統領は、「君は独裁国の首脳たちと一緒にいたわけだから彼らのメッセンジャーガールだ」 とみなした上で、彼女の前で 「われわれは中国の勝手な行動をゆるさない」 と主張したのである。
韓国について、ここで少し述べておきたい。
このエピソードからもわかるように、米韓同盟は先細りしつつある。
なぜなら韓国はゆっくりだが確実に、アメリカの影響圏から中国の影響圏に入りつつあるからだ。
しかも韓国自身、自分たちが独立することにさほど魅力を感じていない。
彼らは米国に対する現在の依存状態を、
中国のそれへと取り替えたいだけなのだ。
彼らは中国の 「天下」 に入り込みたいと熱望している、世界で唯一の国なのである。
彼らは独立を恐れている。
昨年11月27日 平林寺(埼玉・新座)にて撮影