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本を読んで面白かったところを紹介します

 

 

 

『 「民主主義」 を疑え!』

徳岡孝夫(とくおか たかお 1930~)

株式会社新潮社 2008年2月発行・より

 

 

 

 

2005年9月8日付けだから、総選挙の三日前である。

 

 

「日本、つじつまの合わない民主主義」 の見出しで、日本人記者の署名入り 「ヘラトリ」(ヘラルド・トリビューン・人差し指)記事は、次のように書いていた。

 

 

「日本を半世紀近く治めてきた自民党は、今回も勝ちそうだ。世論調査通りなら圧勝だろう。・・・・日本の民主主義は東アジアで最も古いが、支配政党は中国や北朝鮮に匹敵するほど長く権力を握ってきた。歴史の浅い韓国や台湾の民主主義はすでに政権交替を経験し、民主主義を支える活発な市民社会や不偏不党の強いメディアを持つ点でも、日本を超えているようである」

 

 

書き出しを読んだだけで、私はああ報道ではなく反日プロパガンダだなと感じた。

 

 

全く異なるカテゴリーのものを持ってきて比較するのは、デマゴーグがよく使う手である。

 

 

人間の背丈と泥沼の幅を比べて立論の基にするのは、言葉によって現実をくらまして読者を誤導する詭計にほかならない。

 

 

 

日本の自民党と中国共産党、朝鮮労働党の政権保有の長短は、比較にならない。

そもそも政治体制が違う。

 

 

戦後日本は一貫して自由な選挙を行ってきた。

浅沼稲次郎、成田知巳、土井たか子等々を投票によって国会に

送ってきた。

 

 

ただ日本社会党や現民主党は国民から過半の支持を得ることができなかった。 やがて勝つ日もあるだろう。

 

 

 

それに反し中国や北朝鮮には、総選挙がない。

 

 

野党が存在しないだけでなく、政府に対し異を唱える者は身に危険が及ぶ。

天安門事件を御記憶だろう。

 

 

彼らの体制は全体主義というより、もっと原始的な人治主義であるらしい。

つまり独裁で、独裁者が倒れるまで続く。

 

 

 

日本の自民党には、ほほえましいことに党内においてさえ民主主義がある。

 

 

日韓基本条約を結んだのも日中国交を正常化したのも、ともに自民党政権だった。

 

 

故高坂正堯が自民党って何ですかと問われ 「共産党員でも社会党員でもないあらゆる政治家の集まりです」 と答えたのは有名な話である。

 

 

「産経新聞」 小森義久記者によると、この 「ヘラトリ」 記事は、前日の 「NYタイムズ」 にも載り、同紙はさらに記事と軌を一にする社説を掲載したため、外務省が 「NYタイムズ」 に抗議の投書をしたという。

 

 

記事は日本に二大政党間の(米国式)政権交替がないこと、

自民党の長期政権は主に利益誘導によって成し遂げられたと指摘し、

人権や自由な言論のために闘う市民運動が阻害されているという点に話を落としていく。

 

 

私は、ははあ従軍慰安婦運動の残党だなと一人で合点した。

 

 

 

 

 

3月26日 九段(東京・千代田区)にて撮影