「西洋人の神道観 日本人のアイデンティティーを求めて」
平川祐弘(ひらかわ すけひろ 1931~)
河出書房新社 2013年5月発行・より
たとえば、元首相の森喜朗氏が2000年春、神道家の集会で
「日本は神の国」 とか発言したらしい。
それで新聞テレビで袋だたきにあいました。
なにしろ日本のマスコミが先頭に立って騒ぎ立てた。
しかしジャーナリズム関係者の発言を聞くと、首相の揚(あ)げ足取りに夢中な割には、自分自身の国の宗教について深く考えていなかった。
そのとき反射的に私は 「日本は神の国」 と百年前に主張したハーンと 八十年前に同様趣旨を発言したカトリックの詩人でフランスの駐日大使であったクローデルのことを思い出し、『文藝春秋』 の巻頭随筆欄に
「クローデルと 『カミの国』」 と題して投稿しました。
その巻頭随筆に対しては非難はまったく出なかった。
むしろ褒(ほ)められた。
それが逆に私に不安を与えました。
この国では首相が 「日本は神の国」 というと愚弄(ぐろう)され、フランス人のクローデルが 「日本は神の国」 というとインテリが感心する。
こういう有様は、精神的に健康な反応とはいえないのではないか。
2017年10月16日 に~ 「大臣の失言」 と 「マスコミの対応」 ~
と題して高島俊男の文章を紹介しましたコチラです ↓
https://ameblo.jp/hitosasiyubidesu/entry-12319203652.html
昨年 11月27日 平林寺(埼玉・新座)にて撮影