敗戦と偉い軍人の自決 | 人差し指のブログ

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こんなにすごい 日本人のちから   だから、日本の未来は明るい!」

日下公人(くさか きみんど 1930~)

ワック株式会社 2007年3月発行・より

 

 

 

杉山元は陸軍の枢要ポストである教育総監、陸軍大臣、参謀総長の

三長官を歴任した人で、終戦の八月十五日には当然自決するものと

まわりも当人も思っていた。

 

 

 

しかし、一日、二日たつと日本は急に明るい平和な日本になり、第一総軍司令官の残務整理を終えた頃は、いまさら割腹自殺でもあるまいという空気になっていた。

 

 

 

ふと思いついて自宅に電話すると、啓子夫人(四十七歳)は 

「あなた、まだ生きていたのですか。わたしは出征兵士の婦人会の会長として、あなたと一緒に死ぬ用意をしてしまっているのですよ」 

と答えた。

 

 

 

そこで、元帥陸軍大将杉山元はようやく九月十二日に、第一総軍司令部の司令官室で拳銃によって自決した。

 

 

夫人はその十五分後、世田谷の自宅で黒い喪服に着がえ、短刀で心臓を刺して見事な最期をとげた。

 
 
 
 
 
昨年 11月27日 平林寺(埼玉・新座)にて撮影