「三国志」 と 人肉食 | 人差し指のブログ

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「知的生活の準備」

渡部昇一(わたなべ しょういち 1930~)
株式会社KADOKAWA 2016年2月発行・より
 
 
 
やはりおもしろかったのは 『三国志』
 これには英雄がたくさん出ます。
 
 
 
それでも、子どもが読む 『三国志』 の中でも、
「これは日本と違うんじゃないかな」 と思うところもありました。
 
 
 
 
例えば、『三国志』 は劉備(りゅうび)という、
一番のヒーロー、主人公がいます。
 
 
 
主人公がまだ逃げ回っている頃、
あるところでたいへん歓待(かんたい)される。
 
 
 
そんなにもてなしてくれたのだけれども、
翌朝見たら、その人の奥さんが出てこない。
 
 
 
それで劉備は不思議に思って、「どうしたんですか」 と言ったら、
「夕(ゆう)べ、差し上げました」 と言う。
 
 
 
差し上げたというのは、食べさせたということなのです。
 
 
 
私はこれを読んで、頭をひねりました。
子どもの物語でもこのようなことが書いてありました。
 
 
 
ずっと後になって、桑原隲蔵(くわばらじつぞう)という、
桑原武夫(たけお)のお父さんで、京都大学の教授の書いたものを見たところ、
シナにおける人食(じんしょく)の話の歴史についてありました。
 
 
 
 
歴史が始まってから二〇世紀に至るまで、味を味わうという意味で、
シナでは王様から庶民に至るまで、
人の肉を食べたというようなことがずーっと書いてありました。
 
 
 
 
「ああ、つい最近まで人を食べていたのかな」 と、そう思ってみると、
ああ、なるほど、毛沢東(もうたくとう)が自分の国の人数千万人を殺したという発想が日本にないのは、その歴史によるのかなと、
子どもの頃の記憶と妙(みょう)に連(つら)なるのです。
 
 
 
 
 
「教育の正体     国家戦略としての教育改革とは?
日下公人(くさか きみんど 昭和5年~)
KKベストセラーズ2008年11月発行・より
 
 
 
中国人はかつて、人間を料理して食べていた。
 
 
 
中国には何千年も昔から人間料理というものがあり、
あるとき親孝行の娘は、父親が偉い人を接待するときのパーティで、
油が煮えたぎった鉄の大鍋があるのを見てそこにヒラリと飛び込み、
自ら丸揚げになって食べてもらった。
 
 
 
そして父親が出世したという話が親孝行の模範例になっている。
 
 
 
真似をする娘がたくさん出たので禁止令が出たらしい。
 
 
 
だから、わたしが 「中国人は人間を食う」 と書いても、中国人は怒らない。
 
 
 
日本人だけが驚く。
 
 
 
ヨーロッパにもその習慣はあった 
(マルタン・モネスティエ著、大塚宏子訳 『図説 食人全書』 (原書房)をご覧ください)
 
 
 
国際感覚を磨くとか相互理解とかはここまでいかねばならない。
 
 
 
 
 
マンサクの花 樹林公園(埼玉・和光)にて2月25日撮影