中国を理解できないアメリカ | 人差し指のブログ

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本を読んで面白かったところを紹介します


「相手が悪いと思う中国人 相手に悪いと思う日本人」
加瀬英明・石平
ワック株式会社2012年12月発行・より

<加瀬>  アメリカの中国専門家といわれている多くの人たちが、今後、中国の一人当たりの国民所得が増えていくにしたがって人々が民主的な権利を求めるようになるから、


   中国は民主化されると説いているんだけど。クリントン大統領も、大統領時代にそう信じて演説していましたね。

<石平>  アメリカ人のとんでもない誤解!いまのオバマ政権も、そのような誤解にとらわれていると思います。

中国の経済が発展すれば発展するほど、独裁政治が強化されるだけの話です。

<加瀬>  いま、中国で中産階級がたしかに育っているけれど、中産階級はいまの政権がなくなってしまったら、あんな楽な生活を続けることができないですよ。

彼らは現体制の恩恵をたっぷりと受けています。だから当然のことに、現体制を擁護します。

十三億、十四億人の人たちがいて、その大多数はまだひどく貧しい。

都市部と農村部の所得の格差は十倍以上もひらいています。あるいは二十倍ともいわれる。

豊かになったのは都市住民ななかでも、一部で、都市と農村の住民は居住許可とか就労許可とかあって、法的にも差別されている。

そのうえ、貧富の格差がさらに大きく広がってゆきますね。

<石平>  そうそう、いまの中国は、世界一の格差社会になっています。

人口の10%を占める統治者層と、下の10%の貧困者層との富な格差は二十三倍もありますよ。


<加瀬>  もし全員に平等の権利を与えて自由な選挙が行われたとしたら、豊かになった新興の金持ちや中産階級は、

   せっかく資生堂の高価なクリームやロレックスの腕時計やシャネルやロベルタのハンドバックやピッカピカの乗用車を買って見せびらかした楽しんでいるのに、

   貧しい大多数の人々にやってひきずり下ろされてしまうことになりますから、もう特権を維持することができなくなります。

ぼくは前から民主化はムリだと言ってるんだけど、アメリカの中国専門家たちは「いや、そんなことはない。豊かになれば、商人たちが政治的な権利や自由を求めるようになる。イギリスでもフランスでもそうだった」と......。

ぼくは「中国はいまでも儒教国家だから、商人は政治的な自由を求めるよりも、ひたすら役人と結託して利益をあげることしか考えない」というんです。

中国の商人は、いまも昔もそうですね。

<石平>  わたしも正直、中国に民主主義は来ない、と確信しています。

先生、アメリカ人は一度も中国を理解したことがない。先生から教えてやらないとダメですよ。


中央公園の菜の花(埼玉・朝霞)3月3日撮影

菜の花