「おせい&カモカの昭和愛惜」
田辺聖子(たなべ せいこ 1928~)
株式会社文芸春秋 2006年10月発行・より
いや実に学校っていうのは傍若無人な存在ではありませぬか。しかもその傍若無人さの中には、
「そこのけそこのけ、神聖な教育が通る」という傲慢(ごうまん)さもある。
「ガッコのすること、に文句あるか」 という姿勢も感じられる。
「ガッコのすることに文句あるか」 とも受けとられる。
「うぬらのガキをあずかってやっているのだ、つべこべいうな!」
というのは、すこし、言いすぎましたかな。
『女の居酒屋』
中年に直接、関係ないかも知れないけど、
<傍若無人な学校>というのはどうですか。
小・中・高校のまわりに住んでる方ならおわかりと思うけど、
生徒の歓声、始業のサイレン、またはベル、はたまた拡声器(ラウドスピーカー)の大音声(おんじょう)、音楽、笛、ブカブカドンドンの鼓笛隊、
もうそりゃやかましいんです。
しかも 「学校のすること、文句あっかあ!」という風情(ふぜい)。
「教育は神聖なり。じゃあ」 という感じで、一町四方に騒音をふりまく。
子供がご厄介にまってると思ううちはともかく、トシも中年になっちゃうと、
学校のたたずまいの傍若無人さが、今更のごとく思われるという、中年ならではの感慨でございます。
『中年いろはかるた』
シモツケの花6月24日 中央公園(埼玉・朝霞)にて撮影
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