参考資料3020 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

「百詩篇」2巻97番の詩の解釈

百詩篇第2巻97番
ローマの教皇よ、近づくことに御警戒めされよ、
二つの川が流れる都市へは。
そのそばにて御身の血を吐くことになりましょう。
御身とその御仲間は。薔薇が咲くであろう時に。
引用元:https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/197.html

ローマ法王は近づくのを警戒する
二つの川に潤された都市に
汝はその地で血を吐くだろう
汝と汝のもの 薔薇が花ひらくとき
(山根和郎 訳)
引用元:http://www.ne.jp/asahi/mm/asakura/nostra/proph_text/Centurie_02.htm

ローマ法王は近づかないよう注意せよ
二つの川が流れる町へ
汝の血、傍らにやってきて、そこから血を吐く
汝と汝のものを バラが花咲くとき
(第二章の九七 中村惠一氏訳)

私も自分で訳してみよう。

Romain Pontife garde de t'approcher
De la cité qui deux fleuues arrouse,
Ton sang viendras au pres de la cracher,
Toy & les tiens quandfleurira la rose. (ノストラダムスの大事典)

Romain Pontife garde de t'approcher
De la cite que deux fleuves arrouse,
Ton sang viendras aupres de la cracher,
Toy & les tiens quand fleurira la rose. (ノストラダムスサロン)

「Romain」(ローマの),「Pontife」(1 [カト]高位聖職者,pontife romain(ローマ司教[教皇(pape)を指す],2 [話]大御所,ボス),「garde」は「garder」の3人称単数の現在形。「garder」(見張る)また、「se garder de」([…しないように]気をつける),「t'approcher」は「te approcher」の短縮形。「te」(君,お前),「approcher」(1 […に]近づける,寄せる,2 [人・動物に]近づく,近寄る;近づきになる,親しく接する,3 [動物の雄が雌と]つがう,交尾する,4 [古,文][物に]近づく;拡大して見せる)
「cité」(1 都市,[古代の]都市国家,2 集合住宅地,団地,3 (頭文字が大文字で)[いくつかの町の]中心地,発祥の地,旧市部,4 [宗教的に]理想の国),「que」(関係代名詞)ただし、上では「qui」となっているので「人々」が省略されていると考える。「deux」(2つの),「fleuve」(1 [海に注ぐ大きな]川,大河,2 多量の流れ),「arrouse」は「arrose」の古語らしい。「arrose」は「arroser」の1人称単数か3人称単数の変化形だが、主語が「deux fleuves」で3人称複数なので明らかにおかしい。そこで、ノストラダムスの大事典に「2行目arrouse は arrousent の方が意味は通る(発音は同じなので韻を踏む上でも差し支えない)。ピエール・ブランダムールは校訂していないが、釈義の時にはそう訳している。その場合、ブランダムールの釈義でそうなっているように、直前の関係詞は qui でなく que となるべき。ピーター・ラメジャラーも疑問符つきで que... arrousent としていた」とあるので、これに従う。(「nt」を付け加えるという事。),「arroser」(1 水をまく,水をかける,2 [川が…を]流れる,灌漑する,3 [液体を]まく,かける,4 [雨のように]砲弾を浴びせる,集中射撃する,4 [話]祝って飲む,6 [話][食事に]酒をつける,7 [話]わいろを使う,買収する,8 [料][ロースト肉などに]肉汁(ソース)をかける,9 [広範囲に]情報を流す,ニュースをばらまく)
「Ton」(君の,お前の),「sang」(血筋),「viendras」は「venir」の2人称単数の未来形。ただし、異文を見ると多くが「viendra」となっているのでダブルミーニングで訳す。((8) viendras : viendra 1588-1589 1600 1605 1610 1611 1627 1628 1644 1649Xa 1650Ri 1653 1660 1665 1712Guy 1716),「venir」([不定詞とともに]…するようになる,[程度・段階などに]達する,至る),「cracher」(「他動詞」1 吐き出す,2 噴き出す,流れ出す,3 [悪口などを]吐きつける,ぶつける,4 [話]支払う,「自動詞」1 唾を吐く,痰を吐く,2 罵詈雑言を吐く,悪口を吐く,3 [話][…を]軽蔑する,4 [ペンが]インクを漏らす,5 [テレビ・ラジオの受信機が]雑音を立てる),「près」([…の]近くに(で)),「auprès」(そばに,傍らに),「auprès de …」(①…のそばに,…の傍らに,②…のところへ,…のもとへ,…に対して,③[比喩的]…のところで,…の気持ち(考え)において,④…に比較して,⑤[古]auprès de+不定詞 まさに…せんとする),3行目の「la」(それを,彼女を)は「là」(そこ,その時)の可能性もある。(ノストラダムスの大事典に「3行目 la か là かについては、明らかに後者の方が適切であり、ブランダムールもそう校訂している」とある。)
「Toy」は「Toi」の事。「toi」(君,お前),「tiens」は「tien」の複数形で「tien」([複数で]君の家族(仲間)),「quand」(…する時に),「fleurira」は「fleurir」の3人称単数の未来形。「fleurir」(1 花が咲く,花におおわれる,2 [文][比喩的]開花する,栄える,盛んになる,3 [話]吹き出物ができる,赤みを帯びる),「rose」(バラ[の花])

Romain Pontife garde de t'approcher
De la cité qui deux fleuves arrousent,
Ton sang viendra au pres de là cracher,
Toy & les tiens quand fleurira la rose. (校訂した原文)
ローマ法王は君に近付ける事を警戒する
2つの大きな流れが [雨のように]砲弾を浴びせる都市の人々を
君の血筋はその頃に噴き出すようになるだろう
君と君の仲間は。バラの花が咲くだろう時に。

1行目の「t'approcher」は代名動詞で訳すべきだという人もいると思うが、ノストラダムスの大事典にもこうある。「garde は三人称単数(直説法現在形)とも読めないわけでないが、それなら t'approcher を代名動詞と見ることができず「ローマ教皇は“お前と”近づくことに気をつけている」となる」。つまり、上にように訳しても問題ないという事である。まぁ、現在形というのはおかしいといえばおかしいが、「二人称単数は、身近な人間のほか、神などに対する宗教的な呼びかけでも用いる」とあるので、未来の救世主への現在進行形での呼び掛けと解釈している。
また、「君の血筋」とは1巻95番の詩の「血筋」と解釈している。
念のため、「2つの大きな流れ」はロシアとウクライナの戦争と解釈している。

僧院の前で双子の片割れが見い出だされる
僧侶とイエス・キリストの英雄的な血筋の
一派によっての彼の名声、その言葉と影響力
人々が双子の片割れは強く高い地位についたと言うだろうほどの
引用元:https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12787787276.html

また、「ローマ教皇は“お前と”近づくことに気をつけている」と訳すと、10巻65番の詩が連想される。

10巻65番の詩
O vaste Rome ta ruyne s'approche,
Non de tes murs, de ton sang & substance;
L'aspre par lettres fera si horrible coche,
Fer poinctu mis a tous jusques au manche.
おお広大なローマカトリック教会よ、おまえの失墜が近づく
おまえの(数々の)障害からではなく、おまえの血筋と本質から
文字による厳しいものがとても恐ろしい溝を作るだろう
でくの坊まで全ての人がとがった鉄に変えられる
引用元:https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12775426681.html

「O vaste Rome」を「おお広大なローマカトリック教会」と訳すのは無理があるという人もいると思うが、現代のローマはイタリアの一都市に過ぎないので、「romain」(1 ローマの,2 ローマカトリック教会の)からも「おお広大な」と来たら「ローマカトリック教会」は自然な解釈ではないだろうか。
補足:https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12780966773.html

おまけ