参考資料836 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

「ベルシャザル王の宴会」の続き
「おそらく読者は、“壁の文字”の話をかなり奇想天外な幽霊話と考えていたことと思う。もし、そうならメネ、メネ、テケル、ウパルシンという腕が書いた文字をもう一度見てほしい―――この文字の真の意味は、近年の研究によってはじめて明らかにされたのだ。
 壁の文字がアラム語であり、解釈者ダニエルはヘブライ人だったという事実を思い起こしてほしい。
“メネ”は、ヘブライ語“ミナ”にあたるアラム語。
“テケル”は、ヘブライ語“シケル”にあたるアラム語。
“ウパルシン”は、“ペレス”の複数形(28節のダニエルの解釈との違いに注目せよ)。
 以上から、ベルシャザルの宴会に現れた壁の文字は、「一ミナ、一ミナ、一シケル、二分の一ミナ」と解釈される。
『インターナショナル・エンサイクロペディア』によれば、最少の重量単位はゲラである。一千ゲラは、黄金一ミナに等しい。
ヘブライ語      アラム語      ゲラ
ミナ         メネ        1,000
ミナ         メネ        1,000
シケル        テケル          20
半 ミナ       ウパルシン―ペレス   500
                  合計 2,520
“異邦人の時代”は、二千五百二十年間つまり“七倍罰”の期間つづくはずだったことを、読者は覚えているだろうか。ベルシャザル王の宴の最中に壁に記された文字が、異邦人の諸国家がエルサレムに支配権を振るうことになる正確な年数を表すのは、ただの偶然だろうか。これはたんなる幽霊話か、それとも人間の問題に超自然的な何かが介入した結果なのか。その判断は、読者におまかせする。
 さて、しばしのあいだ、話をふたたびベルシャザル王の宴会に戻そう。たぶんこの宴会は、都をおびやかすメディア・ペルシア軍を無視するポーズだったのだろう。城壁に囲まれた都市には、二十年分の食糧と水があったのだから。それとも、バビロンの難攻不落ぶりを誇るベルシャザルの、自己満足によるらんちき騒ぎにすぎなかったのかもしれない。ともかく千人を超える貴族たちが集められたというからには、自信たっぷりだったのは間違いない。
 古代ヘブライ人予言者の文書に通じていなかったベルシャザルには、知るよしもないことだが、宴会が催される二百年前にイザヤというユダヤ人予言者が、以下のような言葉でバビロニアの滅亡を予言していた。

 主が油を注がれた人キュロスについて、主はこう言われる。わたしは彼の右の手を固く取り、国々を彼に従わせ、王たちの腰を砕く。扉は彼の前に開かれ、どの城門も閉ざされることはない。
イザヤ書 45章1節

 この予言が記されてから二百年後、ベルシャザルが宴をひらいた運命の夜、ベルシャザルと延臣たちがエルサレム神殿から略奪した祭具を冒瀆しているころ、都の外ではメディア・ペルシア軍がせっせと作業をつづけていた。
 ベルシャザルが歓楽の杯を干しているのと同じころ、市内に流れこむユーフラテス川の流れを変えるため、新しい運河がシャベルで掘られていたのだ。川が都を迂回していた本来の流れに戻ると、市内を貫流していた川床は干上がった。
 とはいえ、頑丈な扉に守られた城門が二か所で侵入軍を阻んだはずだ。しかし史実では、なんと、その夜、城門の扉は開かれたままだったという。まさに予言者イザヤが二百年前に予言したとおりだった!
 バビロニアは、予言者が二百年前に予言した言葉そのままに滅亡した。これは偶然なのか、それとも超自然的な力の介入なのか?
 侵略軍の指揮をとったのは、だれか?もちろんアケメネス朝ペルシアの創始者キュロスだ。そして、これこそ二百年前に予言者が告げた名前だった。
 こうしてダニエルの“最初の獣”は、歴史の闇に消え、“第二の獣”が鳴り物入りで世界の舞台におどり出てきたのだ。」
「Ⅴ・ダンスタンの終末大予言(下)」ヴィクター・ダンスタン著・幸島研次訳より

感想
>28節のダニエルの解釈との違いに注目せよ

前回から、
「神はあなたの治世を数えて、それを終わらせられたのです。・・・・あなたは秤にかけられ、不足と見られました・・・・あなたの王国は二分されて、メディアとペルシアに与えられるのです。」
ダニエル書 5章26~28節から抜粋

聖書にはもっと詳しく書かれているが、今回も五島勉氏の「ユダヤ深層予言」から抜粋してみよう。

メネメネ・テケル・ウパルシン
「そして彼(彼女)は冷たい微笑を消さず、静かな口調で、この妖変の意味をたちどころに解いた。旧約ダニエル書第5章と外典の言伝えを合わせれば、ざっと次のように、痛烈に・・・・。
「ベルシャザル様。あなたもそのくらいはおわかりと思いますが、この手はもちろん人間の手ではありません。
 人間以上のものの手です。神が、この都に下された裁きの手です。あなたをはじめ、奢りのバビロンの人々が、ケダモノもやらないようなことばっかりやってきたので、神があきれかえって、この手を裁きの使いとして遣わされたのです。
 あなたがたの淫行や人間狩りなど、ヘドが出るような遊びに対してだけではありません。あなたがたは、人が持っている金の量や土地の広さで、その人が偉いかどうか判断しました。
 金や力のない人を笑い、戦車で踏みにじりさえしました。食べ飽きた食物を投げ捨て、地や森を焼き、奢りの建物を建てつづけ、水と空を汚しました。
 ぼくに関係のあることで言えば、ぼくらのユダヤの神殿から奪った聖杯で、あなたがたは淫らな宴の酒を飲みましたね。また、金銀でつくらせた偶像は拝んだけど、人間の命の尊さや、真の神のことは、一度も考えませんでしたね。
 だから、ベルシャザル様、命を司る至高の者がこの手を遣わして、あなたの前にこの文字を書かせたのです。これは、ユダヤの古い文字で、“メネメネ・テケル・ウパルシン”と読みます。
“メネメネ”は“数える”ということで、神があなたの悪業の年数を数え、“はいそれまで。直る望みがないからこれで終わり”と宣告するということ。
“テケル”は“量をはかる”ことで、神があなたの財産でなく中身をはかり、“人間としての量が足りないから、もう人間としては扱わない”と決めたということ。
“ウパルシン”は“そして分けられる”ということで、終わりを宣告されたこの国も、この都もあなたも、いますぐ滅ぼされ、分割されて他人のものになる、ということです。
 ですから、それを執行する多くの武器や災厄が、もうじきここへ入ってきます。ついでに言えば、これはあなたがただけに当てはまる宣告ではありません。今後も、奢り高ぶるすべての者・すべての都に対して、なんらかの方法で、これと同じ宣告が与えられます。
 その前に思い直して、必死で改めれば救われますが、その機会を逃して、この宣告が下されたが最後、その国にしろ都にしろ人にしろ、裁きを逃れる道はもうないのです」
 宴会場の人々は全身を凍りつかせて、これを聞いた。飽食・乱交・悪ふざけ、モノを考えなくなってから久しかったが、なぜかダニエルの静かな言葉は、彼らの心の深い部分をザックリとえぐった。
 ベルシャザルも深くえぐられた一人だった。それまでの彼なら、こんな警告はひとことも聞く耳を持たず、大声で笑ってすぐ警告者を始末していたろう。
 だが、それはもうできなかった。“手”と血文字の不気味さに加え、それを淡々と解いて突きつけたダニエルの妖しい自信が、若い暴君からいっさいの力を奪っていた。彼は腰を抜かしたまま、彼の生涯でおそらく初めて、まともな言葉をうめいた。
「よくも言ってくれたなダニエル。おれはきさまを八ッ裂きにして炙りたい。しかし男の約束だ。いまの謎解きは当たっているとおれも思うから、摂政代理の位をきさまにやる。
 おい、誰かこいつに、おれの秘蔵の金鎖とルビーもかけてやれ。・・・・よし、それでいい、ここへ来い、ダニエル。おれはいまやっと気づいたが、きさまはもしや・・・・」
 言い終わらぬうちに、不気味な地鳴りがひびいてきた。同時に怪異の“手”も血文字も薄れはじめた。そしてそれらが消えたとき、地鳴りは何十万とも知れぬ軍馬のいななきと、殺到する数万の戦車のとどろきに変わっていた。
 古代中東の新しい覇者、メディアとシリアの征服者、ペルシャのダリウス大王に命じられた120万の大軍のとどろきだった。
 彼らはまず、巨大な投石機で城門を破った。奢りと堕落と汚職で、防御力を失っていたバビロンに、津波のように入った。人々を射殺し踏みにじりながら、王宮を囲んで火をつけた。
 高層宮殿も空中庭園も、これで軒並み燃え上がった。ベルシャザルも1000人の大臣も数千人の美女たちも、絶叫の中で殺された。そして炎と虐殺の夜が明けたとき、70年つづいた繁栄の都・バビロンは、黒焦げの山になって滅び去っていた。」

>“異邦人の時代”は、二千五百二十年間つまり“七倍罰”の期間つづくはずだったことを、読者は覚えているだろうか。
http://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12050298987.html360×7=2520年

>主が油を注がれた人キュロスについて、主はこう言われる。わたしは彼の右の手を固く取り、国々を彼に従わせ、王たちの腰を砕く。扉は彼の前に開かれ、どの城門も閉ざされることはない。
イザヤ書 45章1節
>侵略軍の指揮をとったのは、だれか?もちろんアケメネス朝ペルシアの創始者キュロスだ。そして、これこそ二百年前に予言者が告げた名前だった。

「油を注がれた者」と言えば、救世主の事なので、ただのシンクロニシティーだろう。ただし、他にも例えば、ネブカドネザルの後に栄えるのがベルシャザルとなる確率は非常に低かったらしいのだが、実際にそうなっている所は凄いよね。
http://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12024024910.html(本文の方。)

補足:「油を注がれた者」には「王」の意味もあるらしい。
https://kotobank.jp/word/%E6%B2%B9%E3%82%92%E6%B3%A8%E3%81%8C%E3%82%8C%E3%81%9F%E8%80%85-1263742

おまけ