参考資料820 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

東のタルシシュ・西のタルシシュ
「タルシシュの船団の名のいわれは、それがタルシシュに行ったことによる。今日で言えば、ニューヨーク行きの英国航空機をニューヨーク便というようなものだ。
 長年のあいだ、“東のタルシシュ”と呼ばれた場所は謎だった。明らかに、それは聖地から一年と十八ヵ月かかる距離にある。もちろん当時、スエズ運河はなかったから、紅海を出た船はバブ・エル・マンデブ海峡を通って舵を東に向けねばならない。そこからアラビア半島の海岸線沿いに航行し、そのころコンパスをたよりに舵をとることなどなかったから、そのまままっすぐヒンドスタンへ向かう。五千カイリも行けば、インドに着く。三年もあれば、往復するのに充分だったはずだ。
 金、銀、象牙、猿、くじゃくはどれもインドの特産品だ。にもかかわらず、東のタルシシュの正体をめぐって、長いあいだ激論が戦わされた。この問題の解決は、言語学という学問に負うところが大きい。とりわけ、今世紀の変わり目にいたフランス人言語学者M・ヴァンソンの功績は大である。
“カンガルー”という言葉は、オーストラリアから英語に入った。“カーキ色”は、インドからきた言葉である。こうした単語がある言語に存在することは、その言葉の起源である国とその単語を自国語に吸収した国との、二国間の交流を立証するものだ。たとえば、わが国とフランスのあいだに取り引きがなかったなら、英語に“カフェ”という単語はなかったはずである。
 ヴァンソンは、くじゃくに相当するヘブライ語が、タルシシュの船団の目的地を正確に突きとめる鍵になることに気づいた。問題のヘブライ語は“テュキイーム”という。これは南インド語“トーケイ”に似ている。また彼は、象牙にあたる単語がふたつに第一の単語は“歯”を意味するヘブライ語で、第二の単語は“象”にあたる南インド語だ。同様にして、“猿”にあたる言葉は、南インドに起源を持つことがわかった。
 聖地から出発した船団がめざしたタルシシュは、もうひとつある。キリストが生まれる八百五十年前に著された予言者ヨナ(ヨナと鯨の話にでてくる、あのヨナだ)の書物には、次のようにある。

 ヨナは・・・・主の前から逃れようとして出発し、タルシシュに向かった。ヤッフェ〔テルアビブ〕に下ると、折りよくタルシシュ行きの船が見つかったので、船賃を払って乗り込んだ。
ヨナ書 1章3節

 もし東に旅するつもりだったら、ヨナは地中海の海岸で船に乗ったりしなかっただろう。その海岸から出る船が東へ航海する可能性は、皆無だったからだ。
 予言者エゼキエルも、この“西のタルシシュ”に言及している。

 タルシシュはお前の豊かな富のゆえに商いに来て、銀、鉄、錫、鉛をお前の商品と交換した。
エゼキエル書 27章12節

 右にあげた商品のどれにも、当時インドから輸出された記録はない。だとすると、銀、鉄、錫、鉛を輸出したというタルシシュは、どこにあるのか。
『エンサイクロペディア・ブリタニカ』には、こうある。
《彼ら(フェニキア人)が、コーンウォールの錫を探して、イギリスの海岸に到達し、ここをカッシエリデースつまり“錫諸島”と呼んだ可能性は高い》(同書 1973年版 889ページ)
 さらにもう一度、『ブリタニカ』から引用すれば、このフェニキアの船団が、聖書で言う“タルシシュの船団”なのはほぼ確実だとわかる。
《彼らの艦隊は、ふたつのタイプに分かれている―――“大型船”つまりガレー船は、速力と機動性に富み、舳先に鋭い衝角を備えていて、二、三段にならんだによって進む。(これが聖書に出てくる“タルシシュの船団”であるのは、ほぼ間違いない)》(同1973年版 890ページ)
 前出『エゼキエル書』中の《タルシシュの商人たち、およびそのすべての獅子たち》とは変わった表現だが、右に引用した文章の立場に立てば、理解できる。ジブラルタル海峡の向こうに、継続的に錫交易ができる場所があるとすれば、“錫諸島”つまりイギリス諸島をおいてほかにはまずあるまい。」
「Ⅴ・ダンスタンの終末大予言(下)」ヴィクター・ダンスタン著・幸島研次訳より

感想
>前出『エゼキエル書』中の《タルシシュの商人たち、およびそのすべての獅子たち》とは変わった表現だが、

こちら。http://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12068916581.html

>ジブラルタル海峡の向こうに、継続的に錫交易ができる場所があるとすれば、“錫諸島”つまりイギリス諸島をおいてほかにはまずあるまい。

この人がイギリス人だからといって、別に恣意的に解釈しているとは思えないね。東のタルシシュがインドで西のタルシシュがイギリスなのか。覚えておこう。
因みに、一般的には「現在のトルコ地中海岸のタルススとする説とスペイン南部のタルテッソスとする二つの説がある」そうである。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%B7%E3%83%A5
一般論を信じない訳ではないが、「ほふられた小羊」や終わりの時に生まれてくる救世主も全てイエス・キリストと解釈する従来の解釈は「?」と思わざるを得ない。

おまけ