五島勉氏の「別のもの」 その6 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

少女は挑むような目で聞いていた。もう「奥歯にモノがはさまっている」とは言わなかった。かわりに声のトーンをちょっと落とし、「でもそのあと、たしか“別のもの”って予言もありませんでしたか?」と彼女はつぶやいた。
「1999年の前に、その“別のもの”が現われれば・・・・それが人類を助けてくれて、“恐怖の大王”も降らないし、破滅も起こらないかも、っていう・・・・」
「そう、たしかにそう書いた。そういう希望みたいな詩、ひとつだけある。『諸世紀』1巻48・・・・“月の支配の20年間は過ぎ去るが/7000年、別のものが王国を築けば/そのときわが大予言も完了するだろう”・・・・」
「どういうことかしら?」
「うん・・・・結論だけ言えば、“月の支配の20年”はたぶん欧米文明による20世紀のこと。“7000年”はユダヤ予言学による年の数え方で、おそらく西暦2000年。そのころ“別のもの”が―――欧米文明と違う何か新しい力か生き方が現われて、“王国”といえるほど発展していれば、ノストラダムス予言の役割もそこで終わり、滅亡は避けられるってことらしい」
「希望の予言ですね!?」
「そうだね。そしてもうひとつ、これも『大予言Ⅴ』にざっと書いたけど、同じ詩に、“ル・ソレイユがその時代をあらためられれば”っていう条件がついてる」
「ル・ソレイユ・・・・」
「太陽のことさ。昔はこの句、占星術の太陽のことだろうって言われたけど、その後、研究が進んで、これは国のシンボルだ、“日の国”のことだ、つまり日本だ、という有力な説が出てきた。欧米の研究者の半分くらいがそうだし、私もこの説を採ってる。
 そんなわけでね。前のほうと合わせれば、日本のこれからの努力というか、日本人のこれからの生き方しだいでは、日本が欧米文明と違う“別のもの”を生み出して、“恐怖の大王”が降るのも阻止して、人類を破滅から救い出せるかもしれない・・・・その可能性も予言されてるようにみえるんだよ」
「ノストラダムスの大予言・日本編」五島勉著(1987年)より

感想
この辺りから架空の人物を登場させて小説風にしているようだ。

>“月の支配の20年”はたぶん欧米文明による20世紀のこと。

これには全く根拠がないので、私は昔は原文の「vingt」を「20,20の」ではなく「多数の」で訳していたのだが、前回「月の支配」を千年王国の前の黙示録の獣(反キリスト)の支配として20年ぐらい続くのかと解釈したが、それには全く根拠がないという訳でもない。http://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-11623328431.html(ただし、これは黙示録の獣の支配の期間ではなく、前回の「残しておかれる期間」という意味。)

>おそらく西暦2000年。そのころ“別のもの”が―――欧米文明と違う何か新しい力か生き方が現われて、“王国”といえるほど発展していれば、ノストラダムス予言の役割もそこで終わり、滅亡は避けられるってことらしい。

「別のもの」はシンクロニシティーレベルでノストラダムス本来の目的は聖書と同様に「終わりの時」だろう。それは待ち望まれるものらしい。
「ある人々がおそいと思っているように、主は約束の実行をおそくしておられるのではない。ただ、ひとりも滅びることがなく、すべての者が悔改めに至ることを望み、あなたがたに対してながく忍耐しておられるのである。しかし、主の日は盗人のように襲って来る。その日には、天は大音響をたてて消え去り、天体は焼けてくずれ、地とその上に造り出されたものも、みな焼きつくされるであろう。このように、これらはみなくずれ落ちていくものであるから、神の日の到来を熱心に待ち望んでいるあなたがたは、極力、きよく信心深い行いをしていなければならない。その日には、天は燃えくずれ、天体は焼けうせてしまう。しかし、わたしたちは、神の約束に従って、義の住む新しい天と新しい地とを待ち望んでいる。」
新約聖書「ペテロの第二の手紙」第3章9節~13節

おまけ