二種類の競争
「競争と言えば、資本主義と結びついて、西洋の思想・価値観のようなイメージがあります。とくに日本は元来、英米のような自由競争よりも、平等主義が強い国だと言われていました。会社も終身雇用・年功序列の制度でした。それが最近は、英米型の市場原理主義の改革が実行され、競争が激化し、貧富の差が拡大し、勝ち組・負け組という言葉も生まれました。この二つも、どちらがいいかではなくて、バランスの問題だと思います。たとえば、自由競争が極端になり貧富の差が激しくなれば社会は分裂するし、競争に参加できる人が勝ち組のお金持ちばかりとなってしまえば、健全・活発な競争は促進されません。本当の自由競争のためには、一定の平等が必要のようです。一方、なにをやっても報酬が平等であれば、努力する動機が弱くなり、崩壊したソ連のように怠惰になってしまいます。また、努力しても努力しなくても違いがないならば、違った意味で不平等になります。健全な平等のためにも、一定の自由競争が必要のようです。私が考えるに、そもそも競争には二種類あるのだと思います。ひとつは勝って幸福になるものと、負けて不幸になるものを選り分ける競争です。これは、競争というより、生き残りの闘争かもしれません。しかし、本来の競争というのは、競争という切磋琢磨を手段として、全体のレベルを向上させ、全体の利益を図ることだと思います。目的は全体の幸福、手段が競争ということです。たとえば、スポーツ競技の場合、勝つ人も負ける人もいますが、競争で全体のレベルが向上します。そして、優れたアスリートの中には、負けた試合の後でも、好敵手の存在があったから、自分たちのレベルが高まったと発言する人もいます。資本主義の競争も、本来の理念は、社会全体の生活向上のための切磋琢磨だと思います。しかし、今現在は、勝って幸福になる人と、負けて不幸になる人を選別するシステムだと感じている人もいるかもしれません。今後はみなが、自分たちの競争は、社会全体の幸福・向上のためになっているという気持ちを持てるようなさまざまな工夫がなされることが望ましいと思います。それには、個々人が考え方を変えることから、会社のシステムや政策の改善まで、さまざまな取り組みが必要だと思います。これは、欧米が生み出した資本主義の競争で進歩してきた人類に、仏教などの宗教が説く慈悲・平等心・全体愛を組み合わせた思想と表現できるかもしれません。競争社会の弊害を感じる人の中には、「競争から離れましょう」と主張する人も少なからずいると思います。そうした考えも理解できますが、競争が人類の進歩・生活環境の改善をもたらしたことも事実です。それを踏まえて、競争・進歩の西洋思想と、調和・無為自然の東洋思想を調和させたような新しい思想があれば、と思っています。」
「危険な宗教の見分け方」田原総一朗・上祐史浩著より
感想
>たとえば、自由競争が極端になり貧富の差が激しくなれば社会は分裂するし
犯罪率も上がるだろうしね。
>努力しても努力しなくても違いがないならば、違った意味で不平等になります。
人間っていうのは、生まれ付き能力や容姿や家柄など平等じゃないのに無理に平等にしようとすれば歪みが生じるよね。http://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-11426777841.html
>私が考えるに、そもそも競争には二種類あるのだと思います。
競争の二面性について述べているね。
>そして、優れたアスリートの中には、負けた試合の後でも、好敵手の存在があったから、自分たちのレベルが高まったと発言する人もいます。
たまたま、今朝スピードスケートの高木姉妹の関係をテレビで見た所だ。(゚ーÅ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/other/all/2013/columndtl/201312300003-spnavi
>しかし、今現在は、勝って幸福になる人と、負けて不幸になる人を選別するシステムだと感じている人もいるかもしれません。
千年王国(理想世界)という次元で話せば、一度この世界が崩壊しない限り絶対に無理だろう。勝ち負けよりも何か一つの事のスペシャリスト(ボクサーの日本チャンピオンとか)になって取材されるような人になれば不幸感はなくなるかもしれない。(確か、日本チャンピオンはバイトしないと食っていけない(家族を養えない)んだよね。)
>競争社会の弊害を感じる人の中には、「競争から離れましょう」と主張する人も少なからずいると思います。
一昔前に、小学校の徒競走に順位を付けないというのをテレビで見た事があるが、千年王国じゃないんだから、中学・高校へ行けば嫌でも競争にさらされるのであまり意味がないと思う。人によっては、社会で競争にさらされる予行演習だと言う人もいる。一理あるね。(ゆとり教育が廃止されたのが一つの証明(結果)だね。)
おまけ