参考資料17の続き | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

五島勉氏の主張
「それはノストラダムスの予言詩集1巻87番に出てくるこんな詩である。
Ennosigee feu du centre de terre.
Fera trembler au tour de cité neufeu:
Deux grands rochiers long temps feront la guerre,
Puis Arethuse rougira nouveau fleuve.

Earthshaking fire from the centre of the earth
will cause tremors around the New City.
Two great rocks will war for a long times,
then Arethusa will redden a new river.

地球の中心からの地球のゆさぶる火が
新しい大都会のまわりに振動を起こすだろう
二つの大きな岩は長い間戦うだろう
そしてアレスチューズは新しい川を赤く染めるだろう

ATTACK ON NEW YORK?
 An explosion in the centre of the city of New York making the land tremble, or could tour here mean towers of skyscrapers? The two great rocks are the immutable great powers who will eventually open war. Ingenious commentators interpret Arethusa as coming from Ares, God of War, U.S.A. The new river is presumably blood see X.49.

〈日本語訳文〉
ニューヨークへの(上からの)攻撃か?
 ニューヨークの市街のセンターで起こる爆発が、ランドを(大地をまたは国土を)震わせる。だからこの場合の tour は、複数の塔または複数の摩天楼を指しているのではないか?(また原詩三行目の)二つの大きな岩というのは、どっちも、かたくなな心の二つの巨大な勢力のことで、この二つが結局は戦争をはじめてしまう。さらに才能のあるコメンテーターたちは、(原詩四行目の)「アレチューズ」が、「アレス」から出た言葉だと考えている。アレスは戦争の神でアメリカを表すと。その戦争神アレスが「赤く染める新しい川」とは、おそらく流血のこと。原詩10巻49番の解説も読んでみてください・・・・。

これがエリカによる原詩1巻87番の解説だ。・・・・そこには、その「ニューヨークへの上からの攻撃」の内容が、「ニューヨークの“センター”で起こる爆発」だと明記されている。そしてその“センター”は、具体的には、「ニューヨーク中枢の複数の摩天楼の複数のタワーのことではないか」とも。「世界貿易センター」という名前そのものまでは、さすがに出て来ない。しかし、ここに記された“ニューヨークのセンターにある複数の摩天楼の複数のタワー”という表現を見る時、それはほかに対象のビルが考えられないくらい、「世界貿易センタービルのツインタワー」という表現に限りなく近い。ノストラダムスの原文には、どう読んでもここまでは書かれていなかった。だがエリカはその一語一語を、彼女の純粋な感性と知識をそそぎ切って解くことで、30年前、今回のニューヨーク大破局を、ほぼ完全に発表していたのだった。」
「イスラムVS.アメリカ「終わりなき戦い」の秘予言」五島勉著より


「原詩の中にノストラダムスが書いた「恐怖の大王」は、Un grand Roy d'effrayeur という句である。effrayeur は、今はあまり使われないフランス語で、「恐怖・コワいもの・コワいこと」一般を表し、指す範囲は大変広い。・・・・このため、英訳する場合にも、エリカ以前の代々の英語圏の訳者たちは、この Un grand Roy d'effrayeur を、The great King of dread とか、The great dreadful King、もっとも一般的には The great King of fear と訳すのがふつうだった。fear も dread も、「非常に大きな恐怖」、「非常に恐ろしい危険なこと」、「非常に恐ろしい危険なもの」を表す。それで言葉の持つ雰囲気はわかる。しかし「何の恐怖か」まではわからない。・・・・では、エリカもそうした「しぼりきれない一人」だったか?・・・・いや、彼女はそうは訳さなかった。本の構成はほかの研究者の本とあまり変わらなかったが、おもな詩の英訳の内容を、エリカはほかの研究者の英訳と違う、もっと突きつめた斬新な訳に換えた。「恐怖の大王」の「恐怖」についてもそうだった。エリカはこの言葉の英訳に、それまで他の研究者がほとんど使わなかった、意味を鋭くしぼりこんだ英語をあえて使った。ではそれはなんという英語だったか?それは Terror という英語だった。Terror はふつうテラーと発音し、意味も、やはりふつうは「恐怖」ということになっている。だが調べてみると、それはあくまで、ありきたりの一応の意味にすぎない。もっと、しぼりこんだ意味で使う場合、Terror は無数の英語の単語の中でただ一語だけ、「テロ」を指す言葉として使われているのだ。・・・・最近のニュース映像が、このことを証明している。たとえば2001年10月7日、アメリカ空軍がはじめてアフガンを空爆した夜。その現場を近くから生々しくとらえたCNNの画面には、トマホークの爆発やF15からの爆弾で燃え上がる深夜のカブール市街が、リアルタイムで凄絶に映し出されていた。そして、それにかぶせて、画面下のテロップには、US ATTACK AGAINST TERROR という説明の文字が、白くプリントされ流されていたのだ。これはどう見ても、「恐怖に対する米軍の攻撃」という意味には取れない。それではわざわざここで使う意味がないし、報道の意図もぼやけてしまう。そうではなく、「テロに対する米軍の攻撃」と取った時だけ、はじめて、この場面の説明として意味が通ってくるのだ。これだけではない。この一週間くらいあと、CNNはオサマ・ビン・ラディンとオマル師にあてて、インターネットで公開の質問状を出し、その画像をテレビで世界に流した。そこには、今回のテロで「大勢の無実の人を殺したのをどう思うか?」など、アメリカ側から見た痛烈な質問が書かれていた。同時に、あて名とは別に、この質問状全体の一種の見出しとして、"War against Terror"という言葉が、画面左上のコーナーにはっきり映っていた。これも、この質問状の見出しは「恐怖に対する戦争」だ、と読んだのでは、焦点がずれてピンと来ない。そうではなく、今回の「テロに対する戦争」の一環としてこの質問状を出したのだ、と読んではじめて、意味も意図もはっきりしてくる。それはCNNにかぎらない。ブッシュ大統領もテレビのコメントの中で、「われわれは必ず Terror に勝つ」という言葉を、前後のつながりから考えて、明らかに「テロ」という意味で使った。英国のブレア首相も、ブッシュ氏と同じ意味か、少なくとも「恐怖に勝つ」と「テロに勝つ」を合わせた意味で、Terror という言葉を使っていた。となると、この言葉は第一義的にはたしかに「恐怖」だが、もっと意味をしぼって特定して使う場合、「テロ」の意味に使うことがある。現に米大統領も英国首相も、英語圏最大の最先端のテレビニュース局も、その意味で使ったということがわかるのだ。・・・・彼女はあらゆる知識と研究をかたむけてこれと取り組んだすえ、ついに、あえて訳語に terror を使った。だから、ただ漠然と使ったのではない。それまで fear や dread と英訳されることが多かったから、ここで気分を変えて terror を使ってみるか、といった安易なことではない。そこには、どうしてもそうしなければならぬ何かの理由があった。言いかえれば terror だけにあって fear や dread にはない、特別な意味をここで使わなければならぬ必然性をエリカは感じた。ただの恐怖ではない「テロ」の意味を。ここから、エリカによるこの訳文の英語を日本語に直してみる。するとそこには、ごく自然に、「1999年7の月、テロの大王が空から降ってくるだろう」という、特定された予言がベールを破って現れてくるのである。・・・・「いや待てそうは言わせない。1999年7の月はどうした?たとえ今度のテロや大戦を当てたとしても、期限は二年以上ずれたじゃないか!」あなたはなおもこう言うかもしれない。たしかにその通りで、ノストラダムスの原詩では、恐怖の大王が降るのは1999年7の月。今度の自爆テロは2001年の9月。二年二ヵ月のずれがある。もっとも、この「7の月」の「7」は、原詩では sept と書かれ、7月よりも9月(septembre)のことだろうと見る解釈者は昔からあった。だが、それを採っても、ノストラダムスが二年ずれたのは確かだ。ところが、実はエリカはそうではない。エリカは10巻72番につけた解説で、この原詩の1999年7の月を、なぜか全く理由を説明しないまま、「2000年(の9月)」と書き直しているのだ。おそらく原詩を何度も読んだすえ、30年前、直感的にそう直したのだと思う。だからエリカの予知では、大王が空から来るのは先行者ノストラダムスの予知より一年遅れ、2000年9月に来るはずだった。つまり実際とは一年の誤差がここで出た。ノストラダムスはこのことを、今から450年前、「恐怖の大王」という漠然とした言葉で予知し、二年の誤差を出した。エリカはそれを「ニューヨークの複数の摩天楼をおそうテロの大王」というところまで30年前に予知し、期限としては一年の誤差を出した。私はこれを、許容できる誤差の範囲内で、ほとんど神業に近い当て方だと思う。しかし「いや、一年でもはずれははずれ、許せない」と言う人もいるかもしれない。だがどっちにしろ、世界中でエリカだけが、それを内容的にきわめて正確に予知し、発表していたことは事実である。また――ここが大事なところだが――人類がとくにアメリカの為政者が、エリカのこの予知と警告を真摯に受けとめ、「ニューヨークのセンターの複数の摩天楼を空からおそうテロの大王」を事前に完全に警戒していたら、こんどの大破局もおそらく起こらなかった。これも確かである。」
「イスラムVS.アメリカ「終わりなき戦い」の秘予言」五島勉著より

補足
「彼女の直感がまず惹きつけられたのは、おそらくさきのノストラダムス原詩の二行目の cité(シテ)という言葉だった。シテは city(街・都会)の原語で、もともとはパリのセーヌ川の真ん中にある小さな島(中洲)の名前だった。そこに約2000年前、小さな古代都市ができ、やがて両岸にも広がって大きなパリ市になった。だからシテはパリの母体で象徴だ。そしてもう一つパリの象徴になっているもの。それは観光客むけのファッションやブランドではない。それはフランス革命から生まれた「自由(の都)」への熱い思いである。思いは目に見えないが、それを形にして世界に示したのが、セーヌ川を望む「自由の女神」像だ。では、その「自由の女神」像をパリから贈られ、自分の街のシンボルにしたパリ以外の都会はどこか?つまりパリの象徴「自由の女神」像を新しく立て、パリから見ると「新しいシテ」と呼べるもう一つの都会は?これは誰でもわかる簡単クイズで、答えはもちろんニューヨークである。とすると上の原詩は、「新しいシテ」という一語を入れることによって、ノストラダムス時代にはまだなかったニューヨークを暗示した可能性が出てくるのだ。しかも上の原詩には、cité の前に autour という言葉が書かれている。autour は「まわりに」という意味のフランス語で、autour de cité neuve なら、「新しいシテのまわりに」とふつうは訳せる。だがエリカは、古い印刷インクがにじんだ初期のノストラダムス原本を何度も調べたすえ、この au と tour の間に、わずかなすき間があると感じたようだ。あるいは、この au はもともとは en と書かれていたのでは、と。ならば、そこにはいずれにしろ、tour という言葉が独立して出てくる。tour は男性名詞なら「回転」か「周遊」とかの意味だが、女性名詞なら「塔」という意味になる。これを「新しいシテ→ニューヨーク」の暗示と結んでみる。するとそこには、ニューヨークの象徴または中心の「塔」へ、ニューヨークと地域を震撼させるような「火」(が襲ってくる)、という解釈がみちびかれてくるのだ。」
「イスラムVS.アメリカ「終わりなき戦い」の秘予言」五島勉著より