♪誰かに盗られるくらいなら、あなたを殺していいですか♪
と、情念に燃えているのは、源頼朝の正室、北条政子だと、
作詞の吉岡治は語っている。
♪もどれなくてももういいの くらくら燃える地を這って♪
良妻賢母の石川さゆりが、悪女のような情熱を魂を震わせて
絶唱する。 いや、もう、絶叫だ。 そのほとばしるような
歌唱は大きな話題になったものだ。
しかし、話題ばかりが先行し、レコードの売上が鞆わなかっ
たのだ。
平成29年の紅白で40回目の出場を果たしたが、40回のうち
「天城越え」が10回で、「津軽海峡冬景色」も10回だった。
しかし、ある年から、交互に歌うようになる。
常にカラオケのヒット曲上位を占めるこの2曲のどちらかを
歌って欲しいというのがNHKの要望になっていた。
言わば、懐メロだった曲が、毎年のように歌われることに
よってスタンダードになる。 懐メロからは遠ざかっていっ
たのだ。
その後を調べてみた。
10回目の「天城越え」が、2016年の第67回
10回目の「津軽海峡冬景色」が、2017年の第68回
それからも、同じようにくりかえされている。
72回紅白のみ、「津軽海峡冬景色」他1曲だった。
NHKホール耐震化工事のため東京国際フォーラム開催
コロナ禍の緊急事態宣言解除により一部観客が入る
そして2024年、今年の楽曲は、「天城越え」になるはずだ。
去年まで繰り返されてきたのだから。
合田道人著 「昭和歌謡の謎」参照