「此処より先、道がありません。進むな危険!」


怖いことを書いてある注意書きも、シナリオ

アドリブを入れるか忠実に従うかはその人の判断による。


それによって、人間は見られたり判断されたりする。
彼女は好んで白い服を着た。

「はかなげな笑顔か」という言葉は彼女のためにあると思う、私がそんなふうに思っているとも思わないが。


ラッシュ時なのか、地下鉄には四角い小箱を俯きにらむ大人でむせかえっている。 生ぬるい空気を裂くように響く、車両の接近を知らせるアナウンスが空気の雰囲気を緩ませる。

埋めたい距離など不可視である事は承知だけれど、近道の切符がアルならば購入したい。もちろん覗いたキヨスKが開いている訳でなく。


不本意な相手からの着信のタイミングと、夜風の冷たさが相まって思わず受話器をとる。


「もしもし。」
一粒口に入ったところでふと思い出す。
今のは昨日の雨の残りなのだ、と。


緑の紙をパンチで穴を空けていったときに降り始めたから。
丸い緑の紙は上空から降る過程で厚みと重みを増し、見事な個体に変化する。

大概が不可視だが稀に見つける事ができるのだ。

口に入った…と言えば入ったし、 何も感じなかったと言えばそれまでだ。


ただ喉ごしに違和感があって、苦味が残った。


何も気にしないふりで帰宅すると、白い紙に緑のペンで一文、

「簡単な関係」


あなたの代わりにしれっと部屋に居た。