ぽっかり空いた穴は みるみる色を代え、大きな黒い丸に早変わりしました。


ずうっと見ていると思わず落ちてゆきそうになります。

むしろ自分が黒い穴の一部のような気がして、頭から滑り込みたい衝突にかられてきました。


大きく息を吸い込んで、その穴に戻る決心をしたその時。
あなたの声がして振り返ると青空が広がってて、太陽の光が瞼に染み入りました。


私は生を改めて認識致しました。あなたの声とその光によって。
甘い飲み物

バスからいつも、あの喫茶店が見えていた。 角を曲がる手前にある。

家で飲むのと格段においしいココアを飲めるところ、と 幼いながらに思っていた。それはいわゆる父親と月に一回会う日、だったのだが一緒に住んだ事のない人の近況より、
見たことないゴージャスなカップに入ったウィンナーココアが私を虜にしていた。

ココアに興味が薄れ、男性に対して過敏になった思春期にその習慣は一時期途切れ、今では違う形となったのだが。

父親に会いに行く道すがら、窓越しの喫茶店を見た後に初めてウィンナーココアの話をしたらとなりの彼氏は
ミオが父親の話をするのは珍しいね、と
優しい顔して言うから癪に触って、それしか思い出がないのよ。と
言ったのにも関わらずさらに優しい顔して笑うから、
言うんじゃなかったとちょっと反省した。

彼氏は父親に似てる、と彼氏は自分で言う。
これからそれははっきりする事だから、今は考えないでおこう。 それから今度3人でウィンナーココアを飲みたいな、と思った。
ファンタジーを紡いで糸を作る。
破れたところをそれで縫う。


わすれたころに手を当てて、本当に縫合されたかよく確かめる。


最後にきちんと部屋のドアを閉めて明かりを消して鍵をかける。