【舞台観賞】「還刻門奇憚~リローゲット・ゲート ゼロ~」(Zero Frontier) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

※この舞台は7/26~7/30まで行われた舞台で既に公演は終了しています。
 
2017年に入って、全くと言っていいほど舞台に行ってなかった自分。
昨年も少し話しをしましたが、自分の中で「観劇熱」がかなり冷めている状況。
 
……とは言え、完全にゼロになる事も無さそう……という事で、今年初観劇となったこの舞台もタイトルに「ゼロ」がついている偶然っぷり(笑)
 
そんな訳で7月下旬に大塚・萬劇場で公演された「還刻門奇憚~リローゲット・ゲート ゼロ~」について簡単にレポートしていきたいと思います。
 
まずこの主催団体の「Zero Frontier」はプロデュース公演の名称。
この観劇レポートではちょいちょい登場する村井みゆきが主催をしております。
(あ、今年から役者の皆様の名前表記を敬称略とさせていただきます。これはライブレポート側との統合性を図るため)
 
昨年夏公演の「リローゲット・ゲート」で初のプロデュース公演を行い、当人もこれっきり……のつもりだったみたいですが、当時のメンバーを中心に今回も集結。
個人的に「村井みゆき周辺オールスター」再集結です(笑)
そんな訳で出演者的にはもうすでに安心感抜群で拝見出来る状況は作られていた訳です。

さてそんな訳で今回、久々に大塚・萬劇場に足を運びました。
大塚は最近、別件でお伺いする機会が多いのですけどね。
 
毎度お馴染み、階段を下りていって地下の舞台に到着。
その舞台の上にあったのは、目を見張るほど大きな門の形をしたセット。
前回の「リローゲット・ゲート」も「門」が話のキーだったけど、今回のそれは更に大きく迫力があった。
 
果たしてこのセットでどのような物語が展開されるのか……。
 
そんな訳であらすじをば……。
多少のネタバレある程度のあらすじでいきますよー。
 
 
 
……時は遡る事、数百年前の中国。
ある妓楼での話……。
 
その妓楼ではある噂があった。
 
「あそこの妓女は皆、幽霊だ」
 
そしてもう一つ……「どんな願いでも叶えられる門がある」という……。
 
この妓楼の妓女、それに関わる男たちは皆、それぞれ事情を抱えていた。
やがて「どんな願いでも叶えられる門」が「時を遡る事が出来る門」である事が分かる……。
 
各々、やり直したい時間がある彼らは、「門」を使うため「鍵」の争奪戦を繰り広げる事となる……。
 
ある者は大切な人を取り戻すため。
ある者は「門」を使う事を遮るため。
 
それぞれの信念の下、一つの「門」を巡って壮大な物語がここに幕を開ける……。
 
 
 
すっごい抽象的に書きました(笑)
いや今回はそうした方がいいかな?って。
 
もっと詳しく筋を辿っていくと、冒頭は本編より更に前の時代の話。
この物語のまさに「鍵」となっている「門」が出来た過程が「チラっ」と描かれている。
 
その一連のシーンが終わった後にOPに移るのですが、ここでのダンスが圧巻。
まさに物語のOPを表現するに相応しい、舞台全体を使ったダンスが出演者総勢14名にて行われます。
女性陣は艶やかに、男性陣は力強く……後で振り返ると、ここでのOPダンスでの登場人物同士の絡みはきちんと物語の筋になっていて、なんとなくここでどの人物と人物が惹かれあっていくというのが分かります。
もっともそれは衣装の「色」でも、今回は非常に分かりやすく表現されている部分ではありますが……。
 
……こうしてあらすじにあるように妓楼を舞台にした、この物語のメインで描かれる「数百年前の中国」の話になっていく……次第。
時代的には中国史で言えば明か清の時代かと思われますが……。
 
……という事で中国のお話という事で、登場人物も今回は大体漢字名。
ただ昨年夏「リローゲット・ゲート」を観ている人なら、特定の登場人物を見て「おや?」と思うはず……。
 
勧がいい方……いや悪くても、もうお気づきだと思いますが、今回の「還刻門奇憚」は昨年夏「リローゲット・ゲート」の続編。
いや……厳密には「前日談」の方が正しいか。
あの「時を遡れる門」が日本に来る前、どのようにして扱われて、どのような事があったのか!?というのを今回は取り扱っています。 
よって一部、前作の登場人物が様々な形で登場してきます。
今回の「還刻門奇憚」で、前作「リローゲット・ゲート」では分からなかった一部の登場人物の過去が分かるので、前作を観ていた方はかなり楽しめるし……そうでない方もそれはそれで楽しめます(笑)
 
さて話は進んで行って、いよいよ中盤、門の正体が明らかになったところで、(他人の人生狂わせるリスクを背負ってでも)それを使いたい登場人物や、やっぱり使っちゃいけないと登場人物が現れます。
そこで「鍵」の権利を巡って、バトルロイヤルスタート!……って、このテンプレート、前作も一緒だったような(爆)
……と細かい事は気にせず、各登場人物、アクションの限りを尽くして戦う訳です。
 
恐らくこの舞台の一番の見せ場はここ!
アクションシーンの連発に息を飲む事多数。
とにかく舞台の上を所狭しと各登場人物が暴れまわり、そして戦い尽くすのです!
しかも今回は舞台のセットが実質、二段構造となっており、ここもうまく使っております。
 
……と息を飲むアクションシーンの合間に、前作では無かったようなお笑いのシーンも多数(笑)
個人的にはあのプロレスシーンはどうしてそうなった!?(笑)と思いながら観ておりました。
 
……こうして数々の戦いを経て、いよいよ物語は終盤……。
 
果たして「門」の使用権はどうなったのか!?
登場人物の行く末はどうなったのか!?
そして物語の最後に待っていた物とは……。
 
 
……こんな感じで疾走感満載で1時間40分。
本当に駆け抜けていったという感じでした。
 
今回、自分は時間の都合で一回しか観れませんでしたが、これは二回、三回観ても楽しめる舞台だったと思います。
まず話を全て繋ぎ合わせるのでは、一回では足りません(笑)
幸い当日は既に複数回観ている知人がいたので、その方と帰り道答え合わせをしたので、理解出来ましたが、二回、三回観てじっくり堪能出来る舞台だと思いました。
物語のテーマは前作と同じで一貫しており、伝えたいメッセージはしっかり伝わるものだったと思います。
また今回のようにアクションやダンス主体の演出は、例え同じ振りだったとしても「生もの」故の魅力で、きっと何度も観ているうちに微妙な差異が楽しめるのでは無いかと思いました。
音響、照明、衣装も物語の展開、世界観に合っていて、非常に良かったよ思います。
 
そして何よりも女性陣が基本美人さんばかりなので、個人的には目の保養になりました(笑)
 
……こんな事言ったら、衣装の某おこ様に白い眼で見られそうだな……(爆)
 
 
 
それでは各出演者について言及していきたいと思います。
総勢14名の出演者中9名が前作「リローゲット・ゲート」からの出演者。
そのうち数名が前作と同じ(というか関連性がある)役でしたが……。
 
桜扇(オウセン)を演じた松下勇は「オネエ」があまりにも板についていた(笑)
快演……というよりは怪演!?(笑)
前作のオウセンも一癖も二癖もあったけど、それの「原型」とも言える昔の「オウセン」を非常に活き活きと演じていたので印象に残りました。
 
食わせ物という意味では火烏(カウ)の白井サトルも光っていた。
前作の火烏もかなり食わせ物だったけど、今回はそれに輪をかけて食わせ物というか、そういう演技が印象的だった。
劇中におけるトリックスターというか……そういうのがとても合いました。
 
一方、前作にも登場していますが、今回、役柄が全く違った方も多数おりまして……。
 
睡蓮(スイレン)の伊喜真理は前作では、少年っぽい女子だったのが、今回はめっちゃくちゃ女子を演じていました。
前作のヒロインとも言える船津久美子の銀葉(ギンヨウ)との人間関係もひっくるめて、見所が多々ありました。
 
そういう意味では春蘭(シュンラン)演じた脇田美帆も印象が変わった一人。
昨年はある登場人物の娘だったのに今回はどこか無愛想な……だけど美しい妓女を演じていて印象に残りました。
 
役によって印象が大きく変わった方がいる一方で朱萸(シュユ)の山村真也は、役柄変わったけど……今回もこの路線!?と思った。
語弊が無いように言うと、とても不器用だけど真っ直ぐなキャラクターが凄い合っていていいんです。
前回も頑なに自分の信念を曲げない役立ったけど、こういうキャラクターが一人いると引き締まるよねぇ……。
 
また今回、初登場組もしっかりと物語を支えていました。
八仙(ハッセン)の窪田悠紀子。ハグハグ共和国で何度も拝見していますが相変わらず美しい。
ハグハグ共和国が誇る、セクシークイーンみたいな表現をした事がありましたが、客演でもその魅力を遺憾なく発揮したように思います。
 
その八仙(ハッセン)と深く関わる事になる牽牛(ケンギュウ)の小森毅典。
アクションなどの見せ場も多々あり、ガタイの良さも相まって、非常に男らしい男を演じていたように思います。
個人的に彼を拝見するのは二度目(だったはず)なのですが、好漢を演じさせたら凄い際立つように思いました。
 
他にもCAPTAIN CHIMPANZEEでお馴染みの池上映子、川瀬ゆい子コンビの安定感。
前作では正体が犬だった(爆)政野屋遊太のいい人っぷり。
そして劇中の逆立ちなどで謎の存在感を発揮した向日(コウヒ)の河野友保……誰一人欠けてもこの話、成立しなかったと思います。
 
そして最後に語るのは色(シキ)を演じた村井みゆきと、伽藍(ガラン)演じたFEROZのお二人。
本当にこの二人が並んだ時の画といったら、迫力ありまくりでしたよ。
女性にしては高身長の村井みゆきと、実は前作もアクションを担当していたFEROZの立ち回り……物語の中でもこの二人はワンセットでしたが、二人で一つの雰囲気が非常に印象的。
文字通り物語の「鍵」となった色(シキ)のどこか悲哀が漂う雰囲気を村井みゆきが好演。
また火烏(カウ)との因縁も絡めて、数々のアクションで魅了した伽藍(ガラン)のFEROZの場を制圧するような存在感……。
どれを取っても文句なし。
 
今回の物語はこの二人あってこそ成り立ったと言って過言ではない。
それくらいこの舞台で、この二人は圧倒的な存在感を放っていました。
 
 
 
……ま、そんなところで。
今年初の観劇でしたが、久々に楽しめました。
 
……ところで今回の舞台のラストですが、終わり方が非常に気になりました。
 
本当にこの「門」の物語はこれで終わるのか、それとも続きがあるのか……。
 
いずれにせよ、今回関わった皆様には今後とも頑張ってほしいと願い締めたいと思います。