2015年10月4日……。
一人のアイドルが、8年間の活動に終止符を打った。
彼女の名前は森永まみ。
「正義のアイドル」の肩書きで長年、活躍したアイドルだった。
彼女を直に知らない方でも、自分のレポートを拝見している方なら「イカすアキバ天国」、「ぢゃ☆ベストテン」のAnBぷれみあむぅシリーズのレポートでお馴染みの名前である事にすぐお気付きになるでしょう。
そんな彼女はこの日、昼夜に二つのライブを行い引退する事となった。
昼は少し早い「ラスト生誕ライブ」と称し多くのゲストを呼んで行われ、夜はラストワンマンライブを敢行する運びとなった。
※自分は昼夜とも観に行きましたが、夜のワンマンライブは後日、別途レポートにて執筆する予定であるので、このワンマンライブの様子を知りたい方はしばらくお待ちいただきたいと思います。
さてそんな森永まみ……折からの体調不良で今年7月から休養していたが、三ヶ月ぶりに我々の前に姿を現した彼女は、いつもと同じように我々を笑顔にしてくれた。
しかしいつもと違ったのは、少しだけ最後という悲しみがあった事くらいだった……。
大勢のゲストを呼んで行われた昼の「ラスト生誕ライブ」
これまで共演した多くのゲストが、森永まみの少し早い誕生日、そして引退を労うために駆けつけた……。
その中に業界の大御所・FICEの姿も当然のようにあった。
森永まみより先輩で共演も多かった彼女たち。
この日も業界の後輩の門出を祝うために、盛大に盛り上げていった。
その後、複数の出演者たちとまとめて行われるトークコーナー……。
テーマは森永まみとの思い出だった。
沢山ある思い出の中からどれかと言われて迷っている様子だったが、この時、FICE・炎の口から出たのは……
「うちの主宰イベント・AnBで、脱落から奇跡の復活劇を演じた事かな」
森永まみのAnB ぷれみあむぅへの出演は5年前に遡る……。
2010年7月17日……森永まみはこの日、今は無き、芝浦・StudioCUBE326のステージに立っていた。
「第16回イカすアキバ天国」
彼女がAnB ぷれみあむぅシリーズに初挑戦した回である。
このイベント、彼女が所属していたMarvelYellにとっては、とても縁が深いイベントである。
事務所の先輩(当時、既にOG)桜川ひめこは、夜の部「ぢゃ☆ベストテン」の最初期メンバーとして、5回の優勝を飾ったイベント創生期の伝説的存在である。
(このイベントのみならず、業界全体としても一時代を築いたと言っても過言ではない存在である)
また同じく先輩の松本香苗は「第一回イカすアキバ天国」に優勝。その後、長きに渡り夜の部「ぢゃ☆ベストテン」での出演を続けて、優勝は無かったものの最高位・2位、3位・5回という記録を刻んだ。
その松本香苗がライブ活動引退のため、二ヶ月前の「ぢゃ☆ベストテン vol.15」で卒業。
そしてMarvelYellが送り出したのが、当時、松本香苗に次ぐ事務所のエース格だった森永まみである。
偉大な先輩二人が挑んだAnB ぷれみあむぅシリーズ……当然、森永まみにも早期での「ぢゃ☆ベストテン」の昇格の期待はかかったであろう。
初出場だった「第16回イカすアキバ天国」の結果は3位。
上々の滑り出しだった。
しかし事は思うように順調に進まなかった。
その後、森永まみは3回続けて「イカすアキバ天国」に挑戦を続けるが、この時はベスト3にも入れない圏外の状態が続いた。
結局、芝浦時代は「ぢゃ☆ベストテン」への昇格は叶う事は無く、会場が移転となった。
2011年7月16日……初挑戦の日から、ほぼ一年。
AnB ぷれみあむぅシリーズは会場を神楽坂EXPLOSION(当時)に移した。
そこに半年振りに「イカすアキバ天国」に挑む、森永まみの姿はあった。
「第21回イカすアキバ天国」……神楽坂EXPLOSIONでの、AnB ぷれみあむぅシリーズは、この回のトップバッター・森永まみのステージから始まった!
するとどうだろう?
芝浦時代の時とは見違える程に躍動する、森永まみの姿がそこにあった!
結果は惜しくも2位だったが、5回目の挑戦にして、遂に優勝が見えた……。
そして前回2位の勢いのまま挑んだ、二ヵ月後の「第22回イカすアキバ天国」……。
後に「ぢゃ☆ベストテン」で長く共演する事になる、まかべまお、Ma:rchen-holic*らを抑えて……森永まみは遂に悲願の優勝を果たした!
挑戦すること6回。初挑戦から一年以上の月日を経ての優勝だった!
この時、初優勝までにかかった所要回数:6回は当時の記録。
後に「第28回」で優勝したゅん((・∀・))ゅんの11回に抜かされるが、それでも歴代2位の記録として今も残っている。(2015年10月現在)
こうして一年がかりで偉大な先輩たちと同じ、夜の部「ぢゃ☆ベストテン」の舞台にたどり着いた森永まみ。
昼までの苦労が嘘のように、「ぢゃ☆ベストテン」では好調が続き、2012年1月の「ぢゃ☆ベストテン vol.24」では3位、更に同年5月の「vol.26」では2位と順調に最高位を更新。
その後は中位に安定するも「ぢゃ☆ベストテン」にすっかり定着し、誰もが森永まみはこのイベントにいて当たり前の存在と認識していた……。
……はずだった。
2013年3月16日……「ぢゃ☆ベストテン vol.31」
この回を5位で終えた森永まみ。この日も物販で楽しい一時を過ごしていた。
しかし投票結果、次回の11位相当……つまり脱落発表時に悲劇は訪れた。
森永まみ、脱落。
「ぼうけんのしょが消えてしまった~!!」
頭を抱えて叫んだ、森永まみ……10位とは僅か73点差で脱落となってしまった。
……「ぢゃ☆ベストテン」の舞台から、去る事になった森永まみ。
脱落した事自体、彼女自身、相当苦悩した事が容易に想像出来る……。
だがこのままでは終われないと一念発起……脱落者に与えられる優先出場権を行使して再び挑戦する事を明言した!
そしてここから……森永まみの「奇跡」が始まる……
二ヶ月後……「第32回イカすアキバ天国」
今から振り返ると錚々たる出演者が揃った。
だがそれでも森永まみは自分を信じて、再び「ぢゃ☆ベストテン」の舞台に戻る事を信じて、全力で挑んでいった……。
結果……イベント史に残る圧勝劇を演じた!
見事なまでの史上2人目の「返り咲き」だった!
トロフィーを手にする森永まみ。彼女の目からは涙が一筋……零れ落ちた。
そして「喜びすぎて具合悪い」という名言(迷言?)を残し、多くの客層を笑顔にした。
……この時敗れた、2位・デカシャツ喫茶は翌「第33回」で優勝し、後に「ぢゃ☆ベストテン」では2014年の年間最多勝を獲得する。
また3位・石戸なつみも翌々回「第34回」で優勝、一度は「ぢゃ☆ベストテン」を脱落するも、森永まみに続く史上3人目の「返り咲き」を経験する事となる。
復帰緒戦となった2013年7月「ぢゃ☆ベストテン vol.33」で「ダークサイドに落ちたまみぴょん」をテーマにバラエティに富んだステージを披露。
会場の歓声と祝福の中、こう明言する……
「次は優勝を狙う!」
大いに沸き立つ会場。
だがこの時は、森永まみが「ぢゃ☆ベストテン」に戻ってきた事で、誰もが十分嬉しかった。それだけで良かった……。
……2013年9月21日
「ぢゃ☆ベストテン vol.34」
4位までステージを終え、俄かに会場がざわめき始めた……。
まだ呼ばれていない……森永まみの名前が、まだ呼ばれていない……。
「まさか……」「もしかして……」
期待は徐々に会場を呑み込んでいった……。
3位:ひゞかな
前回と同ランクをキープして、ベスト3圏内をキープした。
そして2位の発表を息を飲んで待つ。
「まさか……」「もしかして……」
2位:大和撫子
三連覇中だった「絶対女王」の名前が読み上げれた瞬間、どよめきが起きた……。
このステージの際、大和撫子・牡丹は言った「この日、初優勝を飾った彼女のために、ステージを盛り上げましょう」と……。
……そして最後に読み上げられた、その名は……
1位:森永まみ
「奇跡」が起きた!
「脱落」から半年、彼女はなんと……一気に「ぢゃ☆ベストテン」の頂点まで駆け上がったのだ!
ファンたちの雄叫びにも似た大歓声がこだまする中、森永まみはQUEENの「We are the Champions」のBGMに乗って……
体操服にえんじ色のブルマ、そして「チャンぴょん」と書かれた襷をかけて現れた!
こうして「ぢゃ☆ベストテン」11代目王者は、多くの客層の祝福の中、誰よりも眩しい光を浴びて誕生した!
2015年10月4日……渋谷・CRAWL。
FICE・炎は当時の事を思い出して語る。
「確かあの時は、最後、アカペラでトルネードを歌ったんだよね」
森永まみも懐かしそうに応える。
相方のFICE・氷も、一緒にいたコーラスの響己(元・ひゞかな)も、AnBで長く共演した事を懐かしそうに思い出していた様子だった。
森永まみのこの時の衣装は、体操服にえんじ色のブルマ……「チャンぴょん」の襷が無いだけで、あの日と同じ衣装だった。
もしかしたらFICE・炎はこの姿を見たから、あの「奇跡」を思い出したのかもしれない。
そんなFICEの目は、とても優しく森永まみの事を見つめていた……。
そしてもう一人……まかべまおもAnBでの共演が長かった事を思い出に挙げた。
親しくなったのは、AnBで共演する機会が増えてからという。
実は今年1月「ぢゃ☆ベストテン」で、まかべまおが初優勝した時も、偶然だが体操服、ブルマだった。
しかもその写真を撮ったのは、何を隠そう……森永まみだったというエピソードが語られた。
「最初のうちソロの歌い手は、私たち二人くらいだったからね……」
そう語るまかべまおの目は、長く共に戦ってきた「戦友」との別れを惜しむようにも見えた……。
繰り返しになるが、この後、森永まみは昼のライブを経て、夜のワンマンライブで引退した。
だが我々は忘れる事は無いだろう。
森永まみがAnBの舞台で輝いた日々の事を……。
そして彼女が起こした「奇跡」という「軌跡」の事を……。
【森永まみ・AnB ぷれみあむぅシリーズ全成績】
第16回イカすアキバ天国(2010.07.17・芝浦StudioCUBE326)……3位
第17回イカすアキバ天国(2010.09.18・芝浦StudioCUBE326)……圏外
第18回イカすアキバ天国(2010.11.20・芝浦StudioCUBE326)……圏外
第19回イカすアキバ天国(2011.01.15・芝浦StudioCUBE326)……圏外
第21回イカすアキバ天国(2011.07.16・神楽坂EXPLOSION)……2位
第22回イカすアキバ天国(2011.09.17・神楽坂EXPLOSION)……優勝
第32回イカすアキバ天国(2013.05.18・神楽坂EXPLOSION)……優勝(2回目)
第32回イカすアキバ天国(2013.07.20・神楽坂EXPLOSION)……ゲスト出演
ぢゃ☆ベストテン vol.23(2011.11.19・神楽坂EXPLOSION)……昇格(初出場)
ぢゃ☆ベストテン vol.24(2012.01.21・神楽坂EXPLOSION)…… 3位
ぢゃ☆ベストテン vol.25(2012.03.17・神楽坂EXPLOSION)…… 5位
ぢゃ☆ベストテン vol.26(2012.05.19・神楽坂EXPLOSION)…… 2位
ぢゃ☆ベストテン vol.27(2012.07.21・神楽坂EXPLOSION)…… 7位
ぢゃ☆ベストテン vol.28(2012.09.15・神楽坂EXPLOSION)…… 7位
ぢゃ☆ベストテン vol.29(2012.11.17・神楽坂EXPLOSION)…… 6位
ぢゃ☆ベストテン vol.30(2013.01.19・神楽坂EXPLOSION)…… 6位
ぢゃ☆ベストテン vol.31(2013.03.16・神楽坂EXPLOSION)…… 5位
ぢゃ☆ベストテン vol.32(2013.05.18・神楽坂EXPLOSION)……11位(脱落/不出場)
ぢゃ☆ベストテン vol.33(2013.07.20・神楽坂EXPLOSION)……昇格(復帰)
ぢゃ☆ベストテン vol.34(2013.09.21・神楽坂EXPLOSION)……優勝
ぢゃ☆ベストテン vol.35(2013.11.16・神楽坂EXPLOSION)…… 2位
ぢゃ☆ベストテン vol.36(2013.01.18・神楽坂EXPLOSION)…… 2位
ぢゃ☆ベストテン vol.37(2013.03.15・神楽坂EXPLOSION)…… 6位
ぢゃ☆ベストテン vol.38(2013.05.17・神楽坂EXPLOSION)……10位
ぢゃ☆ベストテン vol.39(2013.07.19・神楽坂EXPLOSION)…… 7位
ぢゃ☆ベストテン vol.40(2014.09.20・神楽坂EXPLOSION)…… 8位
ぢゃ☆ベストテン vol.41(2014.11.15・神楽坂EXPLOSION)…… 7位
ぢゃ☆ベストテン vol.42(2015.01.17・神楽坂EXPLOSION)…… 5位
ぢゃ☆ベストテン vol.43(2015.03.21・神楽坂EXPLOSION)……10位
ぢゃ☆ベストテン vol.44(2015.05.16・四谷mono) …… 4位
ぢゃ☆ベストテン vol.45(2015.07.18・四谷mono) …… 7位
ぢゃ☆ベストテン vol.46(2015.09.19・四谷mono) …… 7位(卒業)
●出演及びランクイン回数
イカすアキバ天国……7回(ゲスト出演:1回)
ぢゃ☆ベストテン……23回(歴代5位タイ/2015年10月現在)
●ぢゃ☆ベストテン・通算成績
優勝……1回
平均順位……5.82位(ランクイン21回)
●獲得タイトル
第22回アキ天キング
第32回アキ天キング
ぢゃ☆ベストテン・第11代王者
●主な記録
ランキング復帰後初優勝(vol.34/史上初)