※この舞台は7/6~7/12まで公演された舞台で、既に終了しています。
7月2本目の観劇です。
夏コミの準備が忙しいのに……意外と金欠なのに(笑)それでも行ってきました(笑)
でも今月はこれでラスト……あ、月またぎで公演しているのが一本あった。
閑話休題。
そんな訳で今回観劇したのは「自由を我らに」という作品。
団体はあのど派手なアクションと、やたらキン肉マンネタにこだわる(笑)「カプセル兵団」……。
……なのですが、今回は「カプセル兵団超外伝」と銘打っての公演です。
その後に続く単語は「吉久直志プロデュース公演」となってます。
自分が説明するまでも無いですが、プロデュース公演とは通常の劇団の公演と違い、特定の個人、団体が普段所属している劇団に関わらず、その公演をプロデュースする……。
まぁ今回の場合、カプセル兵団の代表でもある、吉久直志氏がプロデューサーとして出演者を集めて、劇団の枠組みではなく公演を組んだ……という図式。
だから本公演じゃなくて「超外伝」なんですね。(もっとも「超外伝」の「超」はつける意味あるのでしょうか?・笑)
よって今回、カプセル兵団からは吉久直志氏と、青木清四郎氏の2名のみで、残りは全員客演になります。
会場は池袋・シアターグリーン BIG TREE THEATER。
この大舞台でどのような舞台が繰り広げられるのか!?
以下、簡単なあらすじ。
物語は戦後間もない日本。
「言葉のプロ」を集めた、日本の将来のために重要な会議な開かれようとしていた……。
集められたのは小説家、随筆家、歌人、劇作家、新聞記者、広告文案家(コピーライター)なんど……。
そしてその会議の議題は「文語文で書かれた日本国憲法を口語体に直して欲しい」というもの。
与えられた時間は……僅か二時間!
飛び交う言葉の数々、話が脱線する事幾度、そして紛糾する会議の中、出された結論とは……。
日本国憲法発布前夜を舞台に繰り広げられる「ライブアクション演劇」、ここに開幕!
……いや、本当にこんな感じのあらすじ(笑)
今回は物語の筋というよりは、各出演者のリアクション、一挙手一動に注目してみると非常に楽しい舞台です。
「ライブアクション演劇」と銘打ってますが、これは毎回、役者がその場の感情で会話して、リアクションするという内容のもの。
今回、私は一回しか観劇しませんでしたが、二回以上観ると、同じ内容でも、全く違うリアクションが観れたかも……実際、その手の某Twitterで拝見している。
もちろん一回観るだけでも、十分楽しめる。
とにかく出演者が活き活きとしている。
取り扱っている題材は「日本国憲法」という、とってもお堅い、しかもある意味、タイムリーな題材なのに、そこをぶった切っているあたりは爽快である。
しかしただユーモラスだったり、大爆笑だけで終わる内容ではない。
物語の後半は「第九条」が焦点になっていく。
ここでのやり取りは非常に面白く、戦後の日本人の価値観を熱烈に語っているのだけど、悪い言い方すると現代の自分たちからすると滑稽にも映るのである。
だけどそのギャップこそ、ただの笑いではなく、現代を生きる我々に与えられた命題のように感じる部分もあり、非常に考えさせられる部分でもある……。
当時の人たちが「第九条」に何を思ったか……今一度、想像してみてもいいかもしれない。
なお非常に題材がタイムリーなのですが、この舞台、初演は18年前……1997年です。
恐らく当時はただのネタとしての「日本国憲法」だったのでしょうが、18年経ってタイムリーな題材になるとは……。
今、このタイミングで、この舞台をプロデュースしようとした吉久氏の何かしらの意図みたいなのを、薄っすら感じる訳です。
当日パンフレットのあとがきを読むと、なんとなく……そんな事を思ってしまいます。
ただ題材はタイムリーで考えさせられたけど、そこを小難しく考えるのではなく、小細工なしで役者に生の声で、生の動きで、感情のままに剥き出しにした演出は爽快でした。
純粋に役者の演技を楽しむという意味では、最高の舞台だったのではないかと思います。
一つの会議を場面の転換無しで、ぶっ通して描いてく様相は、前回拝見した「GHOST SEED」とは真逆のスタンスでした。
だけどそれが良かった!とにかくただひたすら爽快な舞台でした。
それではここからは気になった出演者でも……今回は知っている方は数名いましたなぁ。
ちなみに今回、ライブアクション演劇と銘打って、出演者の演技を強調するためなのか、役名は無く、役者の名義がそのまま役名になっています。
とにかく皆様、良かったのですが、黒田勇樹氏の存在感は何度拝見しても惚れ惚れします。
演じたのは司会進行を務める「政府の役人」なのですが……抽象的な褒め言葉になってしまうけど「華」があります。
これまでメジャータイトルのドラマなどで一線級を演じてきただけあって、魅せ方を非常に良く知っている印象があります。
それ以外にも一癖も二癖もある出演者がわんさかしていましたけど、個人的には黒田氏と同じ「政府の役人」を演じた田中裕太郎氏や、「新聞記者」の小栗銀太郎氏の掛け合いなんかは大好きだった。
女性陣もこれまた個性的で、「売れっ子女流作家」中川沙瑛嬢や「売れない女流作家」の今井英里嬢の対比なんかも見ているだけで面白かった。
※中川沙瑛嬢は経歴見たら、今年3月に専門学校卒業したばかり……これからが楽しみな女優です。
そんな中、久々に拝見したの林智子嬢の演技が結構、自分好みでもうツボに入りました。
演じたのは「歌人」なんですけど、なんというかつっけんどんとした、プライドが高そうな感じを思いっきりオーラに出していました。
一昨年、ジャングルベル・シアター「八福の神」で演じた「マダム」(正式な役名は荷実屋文枝)も良かったけど、個人的には歌人の方が良かったかなぁ……あのいかにもとっつき憎い感じが(爆)
外見的にすごい似合っていたと思うのは、青木清四郎氏。
演じたのは「推理小説家」なんですが、昭和……というよりは、やや大正時代くらいの書生のような衣装がナイスチョイス。
ちなみに終演後に話をお伺いしたところ、青木氏の祖父の物だったとか……それにしても見事に着こなしていて感心しました。
外見的な面を真っ先に褒めましたが、演技も青木氏を地(?)で行くような、真っ直ぐで熱い感じが滲み出ていてとても良かったです。
そして今回お目当てで入った國崎馨嬢。
演じたのは書記的役割の「政府の役人」前半の困惑する表情の数々も見物なのですが、彼女の場合見せ場は後半「第九条」を持ち出した後からだと思います。
國崎馨という役者の一番、熱い一面、真っ直ぐに物事にぶつかっていく一面、そういうものが前面に出ていたのが後半だと思います。
彼女のファンはきっと後半の演技を観て、きっとしびれたと思うし、非常にたまらなかったと思います。
舞台を降りた後の彼女は、非常に大人しそうで愛らしい感じの女性なのですが、舞台の上にいる時は本当にいつも堂々としている。
その姿が印象的ですし、もしかしたら一種のギャップ萌え(笑)に近い物があるかもしれません。
とにかく今回、彼女の役者としての引き出しに感嘆した舞台でした。
……とまぁ総じて、満足度の高い作品でした。
出演者の技量がそがれる事なく、素材を活かしたという表現がとても合う素晴らしい舞台だったと思います。
ただカプセル兵団の醍醐味と言ったら問答無用のアクションの数々ですが、今回はそれが無かったのは残念……というか、そういう舞台でもないか今回は(笑)
それはまた本公演でのお楽しみにするとして、出演者の皆様、本当にお疲れ様でした。
……そして観劇後、自分は一人、舞台の余韻と日本国憲法について、某鳥が貴族(笑)な居酒屋で飲んで考えてみるのでありました(笑)
・カプセル兵団・公式サイト↓
http://kapselheidan.com/next.html