【舞台観賞】「劇王 天下統一大会2015東京予選・Dブロック」 | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

※このイベントは1/11に開催されたものです。

さて皆様、新年明けて半月経ちますがいかがお過ごしでしょうか。
徐々に新年の雰囲気は抜け、日常生活の真っ只中でお過ごしかと思います。

そんな中、年男だけど相変わらずマイペースな日々を送る、自分ですが、ある日、突然お誘いのメールが届きます。

送り主は大石の中で「2014年大ブレイク女優賞」を脳内で勝手に受賞した(笑)ハグハグ共和国・伊喜真理嬢。
彼女の昨年の活躍の数々は、昨年の【舞台観賞】レポートを読んでいただければ一目瞭然なのだが、そんな彼女が誘ってくれたのが……この「劇王」です。

ちなみにそのお誘いがあったのが、前日の1/10。
本当に急です(笑)日曜でも出勤の自分的には仕事でちょっとでも残業が伸びればアウトだったのですが、この「劇王」の内容に惹かれた部分があり、これまた急な話ですが行く事を決意したのであります。

……そんな訳で翌日、仕事も無事定時に終えて、向かった先は新宿シアター・ミラクル。
西武新宿線の駅から数分の位置にある、雑居ビルの4階の劇場です。
そんな初めて行く劇場に……エレベーターからではなく、建物の裏側の日中でも日の当たらないような非常階段を上って行きました(笑)

いや本当にここ新宿?と思いながら、上がっていくのですが、その非常階段も列が出来ていて、劇場内についたのは大体10分後くらいでしょうか。
そして驚きました……人、人、人!(爆)
これでもか!と、所狭しにすし詰め状態で客がビッシリ入っていたのです。

この後、この劇場の支配人、池田氏は言うのです。

「シアター・ミラクル史上、一番の大入り」と……。

キャパが100人の会場に最終的には110人入ればなぁ(笑)
そんな訳で客席はぎゅうぎゅうに隣の人同士が密着するような空間の中、目の前にはほぼ自分たちと同じ目線に、そんなに大きくない舞台が広がる……いや在るのです。

これまで自分が入った小劇場の中でも、ここの劇場は小さい部類に入るでしょう。
恐らく舞台の上に同時に立てる人数は正味5~6人が限界ではないかと……。

しかしこれから行われる「劇王」はこの大きさがあれば十分なのです。

超満員のお客様が溢れる、今か今かと開始を待つ中、MCの小劇場女優アイドルユニット「38mmなぐりーず」のメンバー、うじけ、かおりんのお二人が登場。
二人もこの満員の劇場に圧倒されていました。

さてここでMCが出てくる演劇……という、通常では有り得ない展開に、そろそろこの「舞台」がただの舞台じゃない事に気付くのではないでしょうか。
勘の働く人はタイトルからして「いつもの大石のレポートと違うよな」と感じるはず……。

ここでもったいぶっても意味無いので言ってしまいましょう。

簡単に言ってしまうと「舞台バトル」
複数の団体が規定に沿って演目を演じ、審査員と客の投票で競い合う大会なのです。

自分が大きく惹かれた理由もここで、【舞台観賞】とは別のもう一つのライフワーク【レポート】(インディーズアイドルイベント)シリーズでも、投票制ライブバトルを追っかけている身としてはどうしても、そこに痺れる何かを感じ取った訳です(笑)

ちなみにこの「劇王」というイベント、ルーツはそれなりに古く2002年に開始。当初は愛知・長久手の地で行われていたローカルな舞台イベントだった。
それが10周年の2013年に全国展開が決まり、この東京でも開催する運びになった……という運びです。
なおタイトルに「東京予選」とある通り、この「東京予選」優勝団体は、2月末にある神奈川で行われる全国大会の出場権を得る……という仕組みになっています。
※もちろん全国各地で予選開催し、続々と本選出場団体が決まっている。

この「東京予選」に出場したのは13団体。
最初にこの4団体をA~Dの4つのブロックに分けて、それぞれのブロックの優勝団体を決定。
そして最後にその各ブロック優勝団体で決勝戦を行い、そこでの勝者が「東京代表」になる……という仕組みである。

既にA、B、Cの予選はこの時、終了しており、これから行われるのはDブロックの予選となる。
このDブロックだけが4団体での予選となったためか、集客がどうやら大きく膨れ上がった模様。
それではその4団体がどのような演目だったか……早速、紹介したいところですが、まず演目のルールを説明します。

●ルール

・上演時間:20分以内
・役者:3名以内
・置き道具は数分で転換できるもの

上記ルールに従って、各団体が20分の短い時間で一つの物語を紡ぎ競い合っていきます!

ここからはDブロックの出演順に紹介していきます。
今回はあらすじは割愛で、主に自分の感想が中心といたします。


・「歪~forest room~イビツ」(集団 as if~)
女性二人で進められた短編。
序盤は女同士の友情を過去と現在を交差しながら丁寧に描いているように思えたのですが、中盤から妖しげな雰囲気に……。
物語終盤のオチはなんとなく嫌な予感が的中した感じも(笑)
ラストワンシーンのインパクトもなかなか。
一歩間違えれば、もっとおどろおどろしい内容になったかもしれないけど、女性二人だからそこまで後味の悪さは無かったような。
内容的には好みは分かれそう。

・「ハマダと姫と魔王の恋」(カプセル兵団)
今回、自分を誘ってくれた伊喜真理嬢が出演。作・演出はこの【舞台観賞】シリーズではお馴染みの青木清四郎氏。またジャングルベル・シアターから岡教寛氏も出演。
内容はドラクエ世代どんぴしゃのコメディ路線(笑)話の筋はまんまドラクエ(笑)
それにしても出るわ、出るわ小道具の数々(笑)そして狭い会場を所狭しとするわ、するわアクションの数々。
役者3人だけど、一人何役と素早い小道具の使い分けで、見事な演じ分けを披露。
コメディ路線とは言え、この短い時間で良くもまぁこれだけの物を演じきったと思う。
物語のオチもハッピーエンド(?)で、ハートウォーミングにまとまっていた。
それにしても本当に20分間、ほぼ笑いっ放しだった。贔屓目抜きにしても高評価。

・「夢みる熱帯魚」(湾岸ビルダーズ)
快楽殺人症な探偵を主人公に、彼が受けた依頼とその顛末を描いている。
恐らく今回の4団体の中では一番酷評になってしまうが、まず主人公に共感できるところが全く無い。
劇中の出演者たちの絡みはコミカルで面白いところもあったけど、くすっと笑えるところが数箇所あっただけ。
最後のオチも大方、予想通りでどんでん返しも無く、最後は呆気なく終了した感が……。
冒頭で派手に人を殺める主人公を演出しておきながら、最後まで観て「それかよ」って肩透かしを食らった感じ。残念。

・「平行三角関係」(たすいち)
序盤は台詞のユニゾンだったり、行動パターンだったり、その動きに一挙手一動に目を見張った。
序盤から前半にかけて、三人の役者が小難しい事を延々と述べているのだが、中盤になったところで物語が大きく動き始める。
まずこの三人を見て、それが平行時間軸にいる少しずつ年齢の離れた「別の自分」という同一人物を演じていただなんて、誰が思いつく(笑)
しかも女性を演じているのに一人、男性だし(笑)
しかし短い時間で一人の人間の思考回路の内面と、葛藤と、実現性を凄い分かりやすく表現していたと思う。
何気に最後のオチも好き。
個人的にはアニメなどで展開された「STEINS;GATE」とどこか重ねながら拝見しました。


こうしてDブロック4団体の演目は終了。
観客、そして審査員の投票に移る。

なお投票ルールは以下の通り。

・観客は一人1票。
・審査員は入場者数÷審査員数を自分の票として好きに分配する。

ちなみに最終的な入場者数は110人で、審査員は4人なので、4人の審査員は27.5→四捨五入して28票となった。

そして投票の後、各審査員の講評を各団体の作・演出家が受ける。
作・演出の皆様には心臓ドキドキもんだったと思いますが、審査員……つまりプロ目線の意見というのは、我々素人とは違うので非常に聞いていてためになりました。
個人的にはカプセル兵団・青木清四郎氏の一挙一動が大爆笑ものでしたが(笑)

こうして講評を経て審査結果……。

Dブロック、優勝したのは……たすいち。
全審査員、そして観客票ともに一番得票を集め、文句無しの優勝を飾りました。

明暗が分かれたのは集団 as if~と、カプセル兵団。
実は審査員4人中3人は、カプセル兵団を2番手評価にしており、それだけ見ると、カプセル兵団が2位と思われた。
だが審査員の一人、前述のシアター・ミラクル支配人・池田氏の投票が極端!
集団 as if~に10票に対し、カプセル兵団はなんと0票!(残り18票をたすいちが獲得)
更に観客票でも集団 as if~が36票に対し、カプセル兵団は19票で逆転を許して3位となった。

完全に審査員の好みと客層の好みの違いが如実に出たという意味では、非常に面白い結果が出たと思います。
個人的には、客の点数が一人1票というシステムは個人的には納得できないのですけど、それでも客層の好み(もしくは集客力)が如実に反映されたと思っています。

そういう意味では、普段自分が観ている視点との違いが、こうして数字という具体化した評価によって可視化されたのは面白い経験でした。


そんな訳で短編20分を4本、2015年の初観劇として拝見しました。
でも与えられた条件は同じなのに、これだけ違う物が見れたのは、非常に楽しい時間でした。

ちなみに「東京予選」このDブロックを勝ちあがった、たすいちは残念ながら決勝で敗れてしまいました。

だけどこれを読んで、このイベントが気になった方は、2月末の「天下統一大会」に足を運ぶ価値はあると思います。
(個人的には別件があるので、行けないのですが)
普段と違った演劇の「見方が出来る」貴重な機会。
自分はそう思い堪能しました。


最後に……今回は残念だったけど、カプセル兵団チームの皆様、お疲れ様でした!
今回は短編とは思えないくらい、アグレッシブでダイナミックな笑いに包まれた舞台を拝見し、非常に楽しませてもらいました。

また今年も皆様、それぞれ素晴らしい演技を見せてください!期待しております!

・「劇王」オフィシャルサイト↓
http://t-miracle.jp/gekio/#top