【舞台観賞】「君がもしアンデルセンだったら…」(うるとら2B団) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

6月観劇第2弾!

このレポートでの登場率が高い女優と言えば、自分の推しでお馴染み、ジャングルベル・シアター所属、塚本善枝嬢。
そのジャンベル元劇団員、現在はフリーで活動中の村井みゆき嬢。

そしてもう一人、彼女を忘れてはいけない……。
自分と同郷、千葉県出身の小さな大女優・長井柚嬢。

……さてそんな柚嬢、良く客演でお邪魔するのが「CAPTAIN CHIMPANZEE」
(そもそも出会いのキッカケが村井さんが出演した、キャプチンさんだしなぁ)

ここの劇団の世界観も不思議な感じで独特で好きなんですが、そんな「CAPTAIN CHIMPANZEE」と親交が深い劇団……それが今回、お邪魔した「うるとら2B団」さんです。

そして今回の舞台は、その「CAPTAIN CHIMPANZEE」主宰・坪田直也氏の脚本を、「うるとら2B団」が演出してしまおうという企画!

これまで「CAPTAIN CHIMPANZEE」の舞台は2回拝見しましたが、あの世界観を他の劇団の演出家の手によってどう手が加えられるか……。
初めてのようで、初めてでない感覚。

感覚的にキャプチンさんを観に行っているのか、それとも全く知らない別世界を観に行くのか、自分でも多少変な混乱をしながら、向かった先は大塚・萬劇場。

あの名物の長い階段を降りて、会場に到着します。

会場に入ってすぐ目についたのは、真ん中の大きな柱っぽいもの。
そして上手、下手に細い階段があり、更に高い所に舞台があるという二段構えというか、そんな舞台。

この舞台を目にして、この舞台で何が起こるのだろう……嫌でも期待だけがどんどん高まっていく訳です。
そして流れる、昭和の始めの様々な音楽たち……。
もうこの時点で自分はこの世界に浸っていたのかもしれない……。

そして始まる舞台、そこには現実とはちょっと違った舞台が待っていた……。

公演終了につき、簡単なあらすじでも……。



20年近く同じアパートに住み続けている、元小学校教師の香織(平川瑞穂・以下敬称略)。
彼女は6匹の猫を飼っていた。
彼女は毎日猫たちに「授業」を行い、アンデルセンの童話を読み聞かせていた。

そんなある日、香織が「雪の女王」の話を読み聞かせると、どうも様子がおかしくなった……。
香織に何があったのか心配する6匹の猫たち。
そんな彼らの前に突然、ハンス(門間利夫)と名乗る猫が現れる。

彼は猫たちに告げる。

「このままだと香織先生が危ない」

半信半疑の猫たちだが、香織を救うため、ハンスに言われた通りに行動を起こす……。

まず最初に猫たちは言われた通りに主婦・尚美(八乙女真記子)のマグロを盗む。
そしてある女性の後ろに隠れる。
やがて現れる香織。主婦に謝り、その場は収まり、そして香織も去る。

残された尚美とその女性……。
やがて尚美は偶然会ったその女性が小学校時代の友人・祐子(池上映子)である事を思い出す。
二人はかつて香織が顧問を務めた「読書クラブ」のメンバー同士だったのだ……。
そして先ほどまでその場にいた香織の事も思い出した……だが二人の再会も束の間、香織の身に大ピンチが訪れる……。

香織に訪れた大ピンチとは!?
そして香織は何故20年も同じアパートに住み続けているのか。

そんな香織のピンチを救うべく東奔西走する……かつての「読書クラブ」の生徒たちと同じ名前をつけられた6匹の猫たち。
再び一つになり始める、かつての「読書クラブ」のメンバーたち……。

果たして「読書クラブ」のメンバーたちは香織に何をもたらすのか!?
そして猫たちが下した決断とは……。


これだけだとなんのこっちゃ!?って感じですよ。

でもハッキリ言います。

涙腺緩みまくったわ……。

とにかく世界観が本当に暖かい。
心暖まるストーリーに本当に涙腺が緩みましたよ。

ただ心暖まるストーリーだけでなく、随所に笑いが散りばめられており、感動一辺倒で無いから純粋に楽しめます。
この絶妙なバランスが少しでも崩れると、またテイストが違ったストーリーに仕上がっていたと思います。

話のキーポイントとして「アンデルセン」の童話が随所で絡んできます。

誰もが知っている「アンデルセン」の童話の世界。
それを劇中に散りばめて、現代のおとぎ話として結びつけたのが今回の舞台だと思います。

脚本のテイストはまさに過去に拝見したキャプチンの作り上げる優しい世界そのもの。
そのテイストを崩さず、うるとら2B団の門間氏は良く演出したと思います。

ただ矛盾する所感を述べるなら、自分が「うるとら2B団」を初見だったからなのでしょうが、どこに「うるとら2B団」らしさがあるのかはわかりづらかった。
厳しい意見を言ってしまうと「うるとら2B団」の個性が初見の自分には伝わりづらかった。
恐らく両方の劇団を知っている人、もしくはどちらかの劇団を深く知っている人だったら、もっと面白かったのかもしれない。
今回の舞台、自分にはキャプチンらしさはビシビシ感じる事は出来たのは、キャプチンを浅く知っているからなのかもしれない。
もし自分が「うるとら2B団」の個性を感じたいなら、別の公演を拝見した方がいいのかもしれません。

もっとも自分の意見は気にしないでいいと思う。
作品としては非常に良作。
ドキドキしながらも、安心して拝見出来る、心暖まる優しい作品でした。



気になった出演者でも……。
……と、どうしても今回はキャプチンメンバーに自分としては目が行ってしまう。

真っ先にあげるなら池上映子嬢。
本当に彼女の演技は毎回素晴らしいと思う。
今回も主人公とも言うべき祐子を熱演。
舞台上に殆ど出ずっぱりで、終始安定した演技を見せてくれていました。
本当に観ていて安心出来る役者さん。キャプチンの看板女優の面目躍如と言ったところでしょうか。

そんな池上嬢と対極にいるはずなんだけど、印象的なのは上村琴嬢。
昨年「グリムと田中さん」が初見……っていうか、まだキャプチンに入って間もないと思ったけど、凄いいい演技をしていると思う。
池上嬢が熟練の役者ならば、彼女は若々しさ溢れる次世代のエースと言った印象。
今回も猫のゆうこを中心に活き活きと、ハツラツに演じていた姿はとても好印象でした。

あと胡七瀬嬢も忘れちゃいけない。
毎回、色んな役をこなす方。今回も同じ劇中で、色んなテンションを見せてくれました。
本当に使い分けがうまいですよね。
何気に一人二役、三役(もしくはそれに準ずる役)が多い、キャプチンの脚本においては絶対必要な方です。
凄い器用な方ですよね。これからも色んな役を拝見したい方です。

……と、キャプチンメンバーばっかり目につきましたが、うるとら2B団メンバーも個性的で良かったです。
ハンスを演じた門間利夫氏はストーリーテラー的なポジションで非常に立ち振る舞いがうまかったと思いますし、香織を演じた平川瑞穂嬢の演技は先生としても、一人の女性としても非常に魅力的でした。
個人的には幸雄を演じた野崎隆司氏がやけに印象に残りました。
男性にしては小柄だけど、それがきちんと個性として活きている感がありました。

そして最後に語るのはお目当ての長井柚嬢であります。
今回、彼女が演じたのは猫のみか。
……これは褒め言葉として取って欲しいけど、彼女は人間以外の役をやらせたら、大ハマリする!
6匹の猫メンバーの中で、一番猫として違和感が無かったもん。ってか、普通にかわいかったぞ(照)
柚嬢といい、同じく猫を演じた川瀬ゆい子嬢といい、キャプチン側のゲストメンバーは熱演は光るものがあった。
以前、自分は柚嬢が「舞台の世界観に溶け込むのがうまい」と評した事がありますが、今回もその例に漏れず、見事に猫としてこの世界に溶け込んでいたと感じます。
柚嬢とキャプチンは非常に相性がいいのかもしれない。
またキャプチンへの出演も決まっているし、どんどんここを足場に伸びて行って欲しいと思います。

それにしてもだ……キャプチンの坪田氏の脚本はさりげなく、一人二役、三役が多い。
実はメインの役以外にエキストラだったり、役名は無いけどチラッと出てきたりとか、そんなのが非常に多い。
だからこそ前述の胡七瀬嬢のような八面六臂の活躍が出来る人が求められるのでしょうが、それを皆さん、頑張ってこなしておりました。
本当にお疲れ様でした。

公演時間は約2時間だっただろうか。
でもこの2時間がちょうどいい長さだと思いました。

終盤は本当に感動した。
最後は涙腺弱い人だと、最後までハンカチは手放せなかったと思います。



そんな心暖まる、本当に素敵な舞台でした。

ちなみにこの舞台を観に行った日も初演だったので、最後は劇団からドリンクを振舞われ、初演終了の乾杯をしてきました(笑)
前日観た「まんが×青春!!」に続いて貴重な経験をしてきました。

それにしても6月上旬の観劇、平日に2連続でしたけど、出演している役者の系統も、物語の系統も全く違うベクトルでしたが、本当にどちらも楽しめました。
私事でゴタゴタしていて大変な時期だったけど、素晴らしい舞台を観れた事は本当に幸せだったと思います。

こうしてレポートが遅れた事だけが本当に申し訳ない気持ちでいっぱいですが、これからもうるとら2B団、そしてCAPTAIN CHIMPANZEE、出演者の皆様においてはまた頑張って欲しいと思います。

追伸・
それにしても今年は大塚で猫に会う率が異常に高いなぁ。気のせいだろうか(笑)

・うるとら2B団・公式サイト↓
http://u2bd.com/