【舞台観賞】「血の婚礼」(劇団アルターエゴ) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

※この舞台は12/5~12/9まで行われた舞台で既に公演は終了しています。

さぁ12月に入りまして、自分的には年末の観劇ラッシュ第1弾!
……まぁ無事、本業(?)の出稿も終わったので、思う存分、舞台を堪能できるのが嬉しいといえば嬉しいのですが(笑)

今回お伺いしたのは、約一年半ぶりになる劇団アルターエゴ。
主宰はアニメ「タッチ」の上杉達也役などで有名な三ツ矢雄二氏。
まぁ昨年末から今年頭にかけてプチブレイクしたような気も……(笑)

そんな久々のアルターエゴ。今回拝見するのは「血の婚礼」という作品。
原作はスペインの劇作家、ガルーシア・ロルカの作品。
作品自体は1933年に初演を迎えており、現代から見れば古典の部類に入るだろう。

アルターエゴは結構、20世 紀初頭の作品を上演していますが、今回もどういう出来になるのか……。

そして会場は品川・六行会ホール。
5~6年くらい前に一度訪れた事はあるんですけど、それ以来ですかねぇ……。
10年近く前、最初に入った会社の独身寮が近くにあったりするんで、懐かしいのやら……当時はあまりいい思い出が無いので、複雑な心境でした(笑)

会場内は席の数も多く、200席以上あったと思います。
また一つ一つの椅子の座り心地が異常に良くて、当日夜勤明けで観劇に訪れた自分的には眠気に襲われかけました(笑)

さてそんな素敵な会場で行われる「血の婚礼」
簡単なあらすじでも……。
まぁ古典劇なんで、ググれば出てくる気もするけど(笑)

※ちなみに今回の公演、ダブルキャストでし たが私が観劇したBキャストのみのキャスト名の記載と致します。



スペインのある地方のお話。
結婚を控えた花婿(鎌田賢治・以下敬称略)には、たった一人の家族である母親(伊藤麻美)がいた。
だが母親は息子の結婚に乗り気では無かった。
花婿の相手の花嫁(垣田夕紀)の亡くなった母親の評判が芳しくない事。
何よりその花嫁の前の恋人・レオナルド(林伊織)が花婿の父、兄を殺した一族の人間だったから……。
今でも亡くなった花婿の父、兄を思うと憤慨して気が狂いそうな母親だったが、息子の幸せを思い結婚には承諾する。

一方、花嫁の元恋人・レオナルドは花嫁の従姉妹(小森知恵子)と既に結婚し子供ももうけていた。
しかし心のどこかで花嫁が忘れられず、ひ っそりと馬で花嫁の部屋の前まで馬を走らせるなどして、想いを馳せる日々を送っていた……。

結婚式当日……レオナルドは客として式に現れる。
一度は花嫁に拒絶される、レオナルド。
だがお互いに惹かれあう運命にあったのか……。
レオナルドを忘れられない花嫁は、祝宴で湧き上がるどさくさに紛れて、レオナルドと共に逃げ出すのであった。

だがこの逃走劇が最悪の結末を迎える事になるとは……この時は誰も予想だにしなかった……。



大体、このようなあらすじ。
1930年代から伝わる古典劇、かつタイトルからしてこの後の終盤に向けてのストーリーは容易に想像がつくとは思います。

ただ「最悪の結末」の形がどういう形になるかまでは、未見の自分は最後まで想 像つかなかったし、最後の結末が分かった時はどこか納得しながらも衝撃を受けました。

戯曲のお手本のような悲劇。
当時者よりも巻き込まれた人々の方が、悲しい目に遭うという典型例。
とにかく終演後のいたたまれなさと言ったら、言葉に出来ない。

どちらかというと、舞台を楽しむというよりは、舞台の醍醐味を知るのにいい作品。
だから個々の出演者の演技の奥深さを味わうにはいい。
また劇中の演出、特にダンスなどの表現は素晴らしいものがある。

メインの役どころと、そうでない役どころの差はあるものの、大人数の舞台として成立はしている。
ただ話の筋は好き嫌いが別れる事は必至。
適当な言い方かどうかは分かりませんが「芸術」としての「舞台」として割り 切れば、とてもいい作品だと思います。
 
 
 
気になった出演者でもあげていきます。
 
花婿の母親を演じた、伊藤麻美嬢。
とにかく狂気に満ちた迫真の演技に圧倒されました。
どの登場人物も感情の起伏が激しい役柄でしたが、その中でも突出して激しい感情が目立つ人物だったので相当苦労されたと思います。
お見事でした。
 
レオナルド役の林伊織氏。
この方を拝見するのは確か二度目ですね。
前回拝見した「春のめざめ」でもそうでしたが、激情に駆られる役を演じさせたら、本当にうまいと思いました。
次回拝見するなら古典劇ではなく、現代劇などそういう舞台での演技も見てみたいです。
 
花婿役の鎌田賢治氏も個人的には捨てがたい。
なんだろう……前半のほのぼのとした好青年っぷりがなんともねぇ(笑)
ただ後半になるにつれ、鬼気迫る演技は変化が楽しめてよかったです。

ちなみにレオナルドの妻を演じた、小森知恵子嬢。
個人的に好み(照)
ってか、レオナルドもこんな美人な奥さんがいて、贅沢ったらありゃしない(笑)
女中の大森瑠依嬢の小気味良い演技も印象が深い。

最後にお目当ての垣田夕紀嬢。
演じたのは花嫁役。
でも最初、登場したシーンのぶりっ子(?)ぶりには「え?」となった(笑)
だがしかし……徐々に見せる激情の感情表現は流石と思わせるもの。
とくかくやるせない感情を長々と言いながらも、切々と表現した演技力はさすが夕紀嬢。
これぞ女優・垣田夕紀の真骨頂を見せてもらった感じが致します。
台詞も長く、非常に言い回しも独特なため、相当苦労したと思いますが、見事に不幸な花嫁を演じきったと思います。
それにしても垣田嬢、林氏と絡む役が多いね……。
(昨年の「春のめざめ」でも絡んでいたし……)

また出演者も非常に多く、アンサンブルだったり、端役に至る皆さんが本当に頑張っていると思いました。
場面転換では必ずと言っていい程、息の合ったダンスを見せて、観ているだけでも楽しませてくれました。
ただの舞台に終わらず「戯曲」の世界をじっくり堪能できました。



ちなみに上演時間は全部で1時間30分ほど。
意外と短かったのですが、その短さを感じさせない濃厚さがありました。

劇団アルターエゴ、また別の機会に拝見したいものです。



・劇団アルターエゴ・公式サイト↓
http://alterego.loops.jp/home.html