世の中は五輪一色になりつつある昨今。皆様、お元気でしょうか?
さてそんな世の中の流れになるちょっと前、私はある舞台を観に行きました。
今更ですがレポートをお送りしたいと思います。
今回観劇したのはスーパーグラップラー2012公演「スペーストラベラー」
スーパーグラップラーという団体について簡単に説明すると、2002年にプロデュース公演からスタートした団体。
公式サイトには誰もが分かりやすい演劇をお送りするのがモットーと記されている。
そんな今回の舞台にジャングルベル・シアターでお馴染み、野上あつみ嬢が客演するとの事。
今回の観劇のキッカケはそれ。ってか、あつみ嬢の客演を拝見するのは初。
(今年1月に「誰かの星空」を拝見しているけど、あれはジャンベル作品のプロデュース公演だから純粋な「外部」のあつみ嬢は初ですねぇ)
今回のお目当てあつみ嬢の他にも、昨年「悟らずの空」の空で(僕らの)「火焔兄さん」を演じた三井俊昭氏。
更に一昨年「ku-gu-tu」にて自分の一推し・塚本善枝嬢と姉妹役を演じた宝栄恵美嬢も出演するので、自分的には見所満載でした。
さて本編の前に会場についてですが……。
会場は東池袋にある、あうるすぽっと。
「豊島区立舞台芸術交流センター」という枕詞がついているだけあって、立派な会場だった。
以前、あつみ嬢がブログにて「ここの舞台に立ちたかった」的なコメントを仰っていた理由が分かる。
恐らく今年訪れた劇場の中では、一番か二番の大きさでは無いだろうか。
今年5月に訪れた渋谷の「劇場CBGKシブゲキ!!」といい勝負だろう。
いやロビーの広さや余裕で行ったら、こっちが若干上か。
なかなか大きな舞台で座り心地が最高の席。
既に会場入った時点で満足感たっぷり(笑)
さて本編について……といきたいのですが、前説の段階から遊び心満載。
本編の設定に忠実に、出演者が前説……というかご案内をしてくれるのだ。
また前説が一旦終わると、席案内まで(笑)
どこまで丁寧なんだか。
ちなみに今回のチケットを拝見すると、普通にファーストクラスの搭乗券ではないですか(笑)
こうして開演前からどんどん高まるテンション。
そして公演はいざ始まる……。
公演終了につきネタバレしてもいいあらすじ。
物語の舞台は近未来の物語。環境汚染、人口爆発、食糧不足などで人類は多くの問題を抱えて既に地球に住める状況では無かった。
そこで人類は大型移民船「宇宙船地球号」を開発。
マザーコンピュータ(通称:マザーマリア)によって制御、管理された宇宙船はブラックホールの先の、更に先にあるホワイトホールの先にある新世界に向かって旅立つ……壮大なスペースオペラである!
……しかし最高レベルの安全が保証されていたはずの「宇宙船地球号」を数々のトラブルが襲う!
翻弄される乗務員と乗客たち。
やがて明らかになる「宇宙船地球号」の謎の数々。
そして新世界に旅立てるのは……たった一人。
果たしてこの旅の果てに待ち受ける結末とは……!
……とまぁこんな感じのあらすじです。
ただこのあらすじ、一部フェイクが混じっている。
このフェイクによって、最後の最後までオチが読めない展開になっている。
しかし舞台を最後まで観た上で思い返すと、ヒントはいっぱい隠されていた。
ラストシーンを観た後で、これらの伏線は全てこのために用意されていた事が分かる。
幾つかその謎を解く鍵がある。
・制御しているコンピューターの名前はマザー。
・旅が順調ならおよそ10ヶ月で新世界に到着する。
・新世界に旅立てるのは、ただ一人。
……いや探せば探すほど、いっぱいあるんだけどね(笑)
だけど全部言ったら面白くないし、恐らくDVDを購入したい人にはネタバラシしたら面白くも何とも無い(笑)
むしろ上のヒントだけで、オチが分かったら凄い(笑)
今回はあらすじについてはこれくらいにしておきましょう。
なお劇中劇があるのですが、その劇中劇日替わりだったり、その劇中劇でスポンサーがついていたり発想は斬新だった。
(公演中にまさか、劇中劇のスポンサーのフライヤー回ってくるとは思わなかった・笑)
とにかく本編もそうだけど、こういうところで観ている側を楽しませようという努力がヒシヒシと伝わってきました。
メチャクチャ笑える前半と、劇中劇を境に真相に迫っていく中盤、そしてあまりにも悲しい運命の終盤を経て……ラストシーンは感動を覚えました。
上演時間は2時間。
しかしあます事なく見せてくれます。
若干、間延びしている箇所も感じましたが、とても素晴らしい舞台でした。
さてここから出演者の感想でも……。
ただ多くの出演者が役者名のカタカナ表記……。
そこに妙なリアリティを感じました。
っていうか、実は演じているのって、自分自身だった……のかなぁ?って出演者が多数。
この演出はなかなかナイスプレイです。
今回も出演者が多いので知っている人中心で語らせていただきます。
・野上あつみ
役名はずばり「ノガミアツミ」乗組員の一人として出演。
なんだろうね……ここまでしっかり脇を固めるあつみ嬢を拝見したのは自分としては新鮮だった。
メインどころや、重要な役回り、もしくはインパクトが強い役が多いので、必要以上に前に出ず控えめな演技が出来る事に感心しました。
でもあつみ嬢らしいかわいらしさも随所に出ていましたし、いいところは残ってましたね。
あ、劇中劇の衣裳はジャンベルファンは笑うところ(笑)
※ちなみに自分が観に行った回は「旦那」もおりましたので、余計に笑いました。
・三井俊昭
僕らの「火焔兄さん」(爆)今回の役名は「パブロ・ディエゴ(中略)ルイス・イ・三井」名前の元ネタは世界的画家であるパブロ・ピカソ。
宇宙船の乗客、宇宙メロンで財を成した金持ちで、乗組員に無理難題をかなーり嫌味な役どころ。お付の執事(鈴木俊哉)には毒を盛られてしまうくらい恨まれている。
しかし嫌味な言動は全て素直になれない裏返しという、嫌味ながらどこか味のある役を好演。DVDで拝見した「青葉の足音」の石動を思い出させる。
終盤、乗組員たちを救うために奮闘する姿は千両役者。まさに「火焔兄さん」さながらの男前を演じて見せた。何気にカッコイイよな……三井さん。
なお劇中でプロレスラースタイルで登場してプロレス技をかけているのだが、やはりこの方はプロレス好きなんだと改めて認識した(笑)
・宝栄恵美
三人いる機関士の一人としてで出演。役名は「タカラエメグミ」
今回は脇役ポジション。出演のシーンも比較的少なかったので、あまり目立たなかったけど、相変わらずきれいだなぁ……と思ったりして。
一昨年に拝見した役が両方とも強烈過ぎたので、今回が普通過ぎたか(笑)
また別の機会に拝見したい役者の一人です。
まぁそんなところですかね。
あと超個人的な事なんですが、三川屋の奥さんを演じた平川道子嬢ですが、自分の知人「弾丸野球シンガー」立花夢果嬢に雰囲気似てるなぁ……と思ったりなんかして(笑)
観終わった直後は、今年観た(ジャンベル除く)舞台の中で一、二を争う良作……と評価しましたが、ラストの意外な展開にとっても驚き、また感動したからです。
正直、ここまで展開が読めなかった舞台も本当に久々だったな……と。
今、冷静に思えば多少粗も目立つし、やや冗長なので、若干評価は落ちますが、それでも今年観た舞台の中で高い評価は変わりありません。
終演後、一度は舞台から役者がはけたのに、拍手がなり続け、まるでアンコールのように二度目のカーテンコールに応えたのが、観客の評価の全てだと思います。
ちなみにこの舞台を拝見したのが初日でしたので、実際千秋楽はどこまで進化していたのでしょうかね……。
そんな訳で「スペーストラベラー」の観劇レポートでした。
・スペースグラップラー・公式サイト↓
http://supergrappler.com/