【舞台観賞】「CROCKS」(ムケイカク「真夏の夜の夢」) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

6月ももうすぐ半ばを過ぎようとしている昨今、いかがお過ごしでしょうか。
6月の頭はジャングルベル・シアター本公演「『ママ』 ~君といつまでも~」を観劇して、感動に浸っていたところです。
……そんな中、またまたお誘いをいただきましたのは、同郷の舞台女優・長井柚嬢。

昨年、村井みゆき嬢が出演した舞台「思いの鳥」が縁で知り合い、今年3月、自分のリアルバースデーに観劇したところ、なんとプレゼントを用意してくれた素敵な女優さんです。
そんな柚嬢、今年春に事務所を移籍し、今回が事務所移籍後初舞台というので、時間を見つけてなんとか千秋楽の公演にお伺いしました。

その舞台が今回紹介する「CROCKS」という舞台になります。
主催団体は「ムケイカク「真夏の夜の夢」」という団体。
公式サイトや手元のパンフレットによると「主催・一真による表現団体。テーマは「楽しい悪夢」」との事……。

今回の舞台もこの主催・一真による脚本、演出。
しかし出演者に名前を連ねていないところを見ると、役者ではない模様。
プロデュース公演と考えていいのでしょうか。
なお今回が第4回公演との事。第3回から数えて1年3ヶ月ぶりの模様です。

さてどんな舞台なのか……とその前に今回の舞台についてお話したい。

今回の会場はpit北/区域という会場。
王子駅から歩いて数分の地下にある、お世辞にも広いとは言えない会場なのですが……この舞台がまた特徴的。
まずは客席に1階と2階がある。
そして配列が逆L字ともいう配置になっている。
つまり……角度を変えれば、4箇所から舞台を観れるという構造になっているのです。
恐らくオーソドックスに観劇するなら、自分も座った1階正面の席なんでしょうけど(実際、席の数が一番多かったのはここ)二度目、三度目の方は別角度からの観劇を楽しめる配列にはなってました。
ただ1階正面の席も前の方になると椅子席は確保出来ず、それこそジャングルベル・シアターのギャラリー公演お馴染み「ケロヨン」に座るくらいのつもりで膝を抱えないといけません(笑)
(この例えが伝わらない人は、とても低い位置に椅子があるものと想像してください)
まぁジャンベルのギャラリー公演でお尻が痛くなる事に慣れている自分的にはバッチこい!だったのですが(笑)

とにかく会場からして特徴的。
これはどんだけ楽しい舞台を観れるのか、期待はどんどん膨らんでいきました。

そして開演と相成りました……。

既に公演終了しているので、ネタバレ有のあらすじ。



始まりはとある高校の一室。
非常勤講師の逢魔(満園雄太・以下敬称略)の元を尋ねていた女子生徒・暮睦(ミナミ)はある小説を読んでいる。
そこには逢魔の曽祖父と縁が深い人物の体験談が綴られていた……。

……時を遡る事、1926年(昭和2年)
師匠の探偵から事務所を引き継いだ逢魔(満園雄太・二役)と、師匠の孫で、現在は逢魔の助手の時(ほじ)(千代島隆広)は怪盗・怪人五十面相の予告状を受け取り、時計台に張り込んでいた。
怪人五十面相は震災の復興のシンボル・時計台に飾られている「時空石」という宝石を盗もうとしていると踏んだのだ。
逢魔の推理通り、怪人五十面相は現れ時空石は盗まれそうになる。
そこを必死になって時は怪人五十面相に飛びつき、取っ組み合いになるのだが、次の瞬間、逢魔を残して二人は消えてしまう……。

再び現代。
非常勤講師の逢魔は女子生徒たちから頼まれて、ひょんな事から噂になっている「死神」騒動を調べる事となる。
何も手がかりが掴めないまま、校内の時計台の前を訪れた逢魔の目の前にいきなりある人物が現れた。

その人物こそ、昭和の時代からタイムスリップした時(ほじ)だった。
そして逢魔に会うなり「先生」と、昔からの知り合いのように語り掛けるのであった……。



ここまでが序盤。
簡単に言ってしまえば、タイムスリップもの。
好きな人なら、好きそうな大正浪漫の臭いがプンプン臭ってきそうな設定なのですが……残念ながら、舞台の殆どは現代になります。

ただ……まぁこうして見れば、ありきたりのストーリーではありますが、ストーリー展開次第ではいくらでも面白い作品になる要素はふんだんに散りばめられています。

散りばめられていました……。



……が、相当に勿体無い舞台に仕上がってましたね……。

いかんせん、この後のストーリーが盛り上がらない。
あらすじをザックリ言うなら、同じくタイムスリップした怪人五十面相も登場し、元の時代に戻るために時空石を探したり、一緒に「死神」騒動の核心にも迫っていきます。
「昨日の敵は今日の友」のような展開はいいのですが、解決するべき「死神」騒動のオチが弱いし、訴えるものが無かった。
しかも一番のキーアイテムとも言える時空石が何の捻りも無く、あっさり見つかってしまうし……。
どこでどう盛り上がって、これは感動しろと……。
唯一笑えたのが小ネタだったし、笑いを取るとしても中途半端。
最後のオチはうまいとは思ったけど、それだけかなぁ。
せっかくの題材の良さを活かしきれていない。

あと舞台演出について言わせて貰うなら、暗転が多すぎ。
不要だと思う暗転もあったと思うし、これでは舞台に対する客側の集中力も途切れてしまう。
それと特徴のある舞台なのに、その特性を活かしきれて居ないのも残念。
せっかく二階だてなのに、結局、二階を活用したのは、特定のキャラの初登場時くらいかな。

それとあまり言いたくは無いですが、出演者の演技にも差が有りすぎ。
観れる人は観れるけど、中には目に当てられない方もいましたので……。
でも出演者個々の能力というよりは、演出とかの問題だと思います。
言い方悪いですが、下手な方は下手な方なりにうまく演技を観せる術があるはずなんですが、それすら感じなかった。

また個人的好みの問題でしょうが、登場人物の名前がどうにも……中二病っぽい(汗)
逢魔(おうま)、時(ほじ)、丑参(うしみつ)、暮睦(くれむつ)、東雲(しののめ)……。
最近のライトノベルでもあんまり聞かないような名前のオンパレード……このセンスはどうにかした方がいいかと……。

申し訳無いですが、主催者の自己満足で完結してしまっている感が否めません。
正直、脚本はこのままでも、演出、舞台監督を主催とは別の方をつけてみたら、もっと違う作品になるはずです。
本当に色んな意味で勿体無い作品だと思いました。

ちなみに上演時間は90分。
料金は前売りで2,000円。
うーん……もし上映時間がもっと長くて、料金も高く取っていたら、もっと苦言を言っていたでしょうね。



ここまで酷評続きですが、全く観るものが無かった訳じゃありません。
お目当ての長井柚嬢はそんな中、東雲という女子高生をしっかり頑張って演じてました。
出番も比較的長くて、ポジション的にも美味しいところでした。
(脚本が彼女のいいところを、活かしきれてなかったのは残念ですが……)
終盤に見せた変わり身とかは、今までに無い彼女の新たな一面だと思います。
演技の幅は広がりつつあるので、この経験を次回以降活かして欲しいと切に願います。
贔屓目抜きでも、今回の出演者の中では1、2を争う出来だったのは間違いありません。

後は暮睦を演じたミナミ嬢と、時計番を演じた茶碗氏は比較的安定してて良かったかな……と。
それくらいかなぁ……。



今回誘ってくれた柚嬢には非常に申し訳ないですが、今回の舞台、酷評に値します。
ただ主催者サイドも、お金を取って人様に見せる以上、これくらいの酷評は常に覚悟して作品作りに臨んで欲しいと思う訳です。
そして何より、お目当ての活躍を期待している方の期待を裏切らないよう、それなりのものを作って欲しいと思う訳です。

これ以上は何も言いません。
最後に一つ言うなら……。

柚嬢にはこれからも頑張って欲しい。
同郷の身としては応援したい気持ちに変わりありません。

以上です。


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