【舞台観賞】「『ママ』 ~君といつまでも~」(ジャングルベル・シアター) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

実に一年半ぶりとなった本公演。
ジャングルベル・シアター2012年春公演「『ママ』 ~君といつまでも~」
遂に全日程が終了しました。

今回は完全ダブルキャストという事で両チーム5公演、全10公演の日程で行われましたが、私個人は両チームとも初演、中日、千秋楽と計6公演観劇しました。
あぁもう完全にジャンベルの常連です(笑)
それに今回のアンケート用紙には「ジャンベル何回目ですか?」みたいな欄に「もう常連」ってあったし(笑)
多分、私やマイミクに多い野上あつみ嬢のお客様向けの欄としか思っていません(笑)

そんな「『ママ』 ~君といつまでも~」ですが、劇場は池袋にあるシアターグリーン・BATH THEATER。

もう何度かお世話になっている劇場ですが、初めてジャンベルの本公演(2010年夏「河童の水際」)もここだったなぁ……そう思うと感慨深いですね。

なお今回の「ママ」は再々演。
初演が第3回公演……1997年……ってまだ20世紀だし!(笑)
もっとも再演も第9回公演で2000年だから、20世紀末だったし(笑)
……という事で、今回の再々演は21世紀に入ってからは初(笑)実に12年ぶりの公演でした。

また今回は完全ダブルキャストでしたが、最近、リニューアルしたジャンベルさんの公式サイトを確認する限り、12年前の再演時も浅野氏以外がダブルキャストでした。
相当ダブルキャストに思い入れがある模様ですが、今回はその初演時のイメージを大切にした「クラシックチーム」と、10数年の時を経てアレンジを加えた「リライトチーム」と2チームに分かれました。
ちなみにこの時の出演者で今回も出演しているのは、浅野氏含め3名(残り2名は後ほど詳しく)

いわばジャングルベル・シアターにとっての古典、バイブルと言っても過言では無い作品のようです。

……と、前置きが長くなりましたが、ここから延々と語って行きたいと思います。

今回この舞台を観た人も、そうでない人も、思い出しつつ色々読むも良し。
そして出演者は寸評を気にしながら読むも良し(笑)

……って事でいきましょう。
ちなみにネタバレはガンガン有でいきます。

あと個人的に残念だった事。
今回、本公演恒例「15分前企画」がありませんでした(笑)

次回復活望む!



●あらすじ

始まりはどこか分からない暗闇に包まれた世界……。
交通事故に遭った青年、草影久男は霊界の案内人・香田トキに導かれ、まさに成仏しようとしていた。
しかし死の直前にプロポーズした幼馴染・由美子に対する未練から、成仏する事を拒否する。
すると久男は今まで神頼みをした事が無いといい、神様に生き返らせてもらうようお願いする。
神様の願いは適当だからやめておくよう忠告するトキの静止を振り切り、いざ神様の前に導かれた久男。
そこで久男は神様に生前と同じ容姿とは贅沢は言わないが、「三つの条件」が当てはまるような人物に生き返らせて欲しいと願う。

・由美子が一目見た瞬間、自分を好きになるようにする。
・自分もまた由美子を一目見た瞬間、好きになるようにする。
・自分と由美子を切っても切れない、赤い運命の糸で結んで欲しい。

「三つの条件」を聞きいれた神様によって、久男は生まれ変わる事となった。
しかし久男が生まれ変わったのは……既に他の男性と結婚した由美子の子供・三郎だった……。

生まれ変わったが、由美子と結婚したかった久男にとっては不本意そのもの。
自殺を試みようとするも、由美子の祖父で守護霊・十三郎に止められる。
しかし天国の法律で「生まれ変わりに気付かれたら、天界に連れて帰られる」というルールに気付き、どうにかして由美子に三郎が久男の生まれ変わりである事を気付かせようとするのだが……。

……ここまでが大まかなあらすじ。
簡単に言ってしまえば死んでしまった久男の「プロポーズやり直し作戦」と言ったお話でしょうか(笑)
ここでポイントになるのが、久男の「三つの条件」
神様は適当なので、しっかりと自分の要望を伝えたつもりが、解釈の違いでこのようになってしまったという……久男にとっては不幸。
しかしそれ以外のお客様にとっては笑いどころです。

この後は十三郎や、久男を助けるために生まれ変わったペットのポチなども巻き込んでの大騒動。
果たして久男は無事、生まれ変わりをやり直す事が出来るのか……。

まぁそんなお話。
例の如く、脚本・浅野氏ならではの笑わせるところは笑わせて、締めるところは締める脚本が秀逸です。
ラストは……実は色んな解釈が出来るんですけど、切なくも、だけど心が暖かくなるようなラストでした。
(ちなみにこの解釈については、千秋楽終演後・浅野氏に直接確認しましたが敢えて狙った演出だそうです)

それにしても(パンフレットによると)この脚本を当時26歳の浅野氏が既に執筆していた点に驚かされます。

しかし冒頭でも触れた通り、今回は初演のイメージままの「クラシックチーム」と、新たな設定も加え書き直された「リライトチーム」に分かれています。
基本的なストーリーは変わりませんが、舞台のセットや演出、小ネタの数々に変化があります。
また「リライトチーム」のみ登場人物が追加されるなど、同じストーリーですが、それぞれのチームに違いがあり「一粒で二度美味しい」出来になってます(笑)

ちなみに上演時間は1時間45分ほど。
とてもちょうどいい時間になっております。

……なお気になる方は恐らく、今年の秋にまた「おとぎ夜話」の公演が決定したので、その時にでも発売されるDVDでも購入すると宜しいかと思います(笑)



それではここからは各出演者について語りますが。
今回はダブルキャストなので、クラシック、リライトの違いも確認しながら語れるので、結構楽しいですよ(笑)
出演者の皆様(特に初日に私のレポートの存在を戦々恐々としていた、大塚大作氏)ご確認願います。

※いつもなら役者名(役名)の表記ですが、今回ダブルキャストなので、役名のみ先に紹介。
続いて演じた出演者ごとに寸評します。なお頭のマークは【C】→クラシックチーム、【R】→リライトチームの意味



○草影久男
本作の主人公。幼馴染の由美子にプロポーズした直後に交通事故で亡くなる。享年24。
現世に未練を残し神様にお願いしたが、死後4年後に由美子の息子・三郎として生まれ変わる事になる。

・【C】西村太一
ジャンベル劇団員。多くの作品で主役をこなし、昨年本公演「悟らずの空」に続き主役をゲット。
ジャンベルの看板俳優としての地位を不動のものとしている。
安定の西村クオリティ。特にキャラを作りこんでいないよう見受けられるが、演技の上手さは折り紙付なので気にならない。
ただし設定年齢が24の割りに、大人びた演技に見えてしまった点については、却って彼のキャリアの長さ故か。
今回の久男は強烈な個性が無い分、彼を引き立たせるには難しい役だったかもしれません。

・【R】あがいん直
客演。ジャングルベル・シアターには初出演だが、2010年に劇団員との共演歴がある。本業はピン芸人。
初見でしたけど、若々しくてエネルギッシュな久男を熱演していて好印象。
笑いどころが多い舞台だったので、笑いのツボを心得ている感があり、ピン芸人としての本領を発揮できたかと。
芸人としては見る機会が少なそうだけど、また役者として観てみたい方です。

久男に関しては「安定の西村」「エネルギッシュなあがいん」と同じ役柄でも随分印象が変わります。
どちらが好みかは人によるけど、個人的には設定年齢と実年齢が近い、あがいん氏の方が今回の役に関してはハマっていた感があります。


○田中由美子
本作のヒロイン。久男の幼馴染だが、プロポーズ直後に久男を亡くしてしまう。
その後田中俊夫と結婚し、三郎を授かり一児の母となっている。

・【C】鵜飼真帆
客演。㈱スリーケット所属。ジャングルベル・シアターには昨年「悟らずの空」(柳花役)に続き二度目の出演。
昨年は縁あって彼女の舞台を観る機会が多かったですが、この手のヒロインをやらせたら本当に花がある方。
彼女もキャラを作りこんで演じるタイプではないものの、ハマった時の存在感は素晴らしいものがある。
細かい演技でも光るものがあり、非常に魅力的なヒロインを演じていたと思う。

・【R】野上あつみ
ジャンベル劇団員。主役級もこなせば、キャラの濃い脇役までこなせるジャンベルきっての花形。
今回は彼女にとっては新境地。今まで演じた中では最も高い年齢層の役だったと思うが、きちんとこなしていた。
ただ一児の母親という観点から彼女を見てしまうと若干幼さが残る……言い方悪いけど「幼な妻」みたいなところもあったかな。
しかし脚本上、彼女も一人の母親として成長しきっていない面を表現したいのであれば、この演技も有りになってくるんだよなぁ……。

実は本作で一番のトラウマを抱えている人物。それが終盤になって姿を現すあたりが一番の見所。
二人とも美人さんですが、タイプの違う美人なので、落ち着いた雰囲気を求めるなら鵜飼嬢、幼い日の面影を求めるなら野上嬢……という感じでしょうか。


○田中俊夫
由美子の夫。久男の生まれ変わりである三郎の父親。
常に三郎の写真を撮るためにカメラを肌身離さず持っている。

・【C】青木清四郎
客演。劇団・カプセル兵団所属。ジャングルベル・シアターには初出演。
普通に観ている分には結構なイケメンなのですが……いや普通に変態だった(笑)
もっともイケメンにカッコイイ演技をやらせてもつまらないので、彼のようにハッチャける人はやっぱり重要かと。
間に間に挟む小ネタの数々から容易にアニヲタと分かる(笑)キライじゃないです。そういう演出(笑)

・【R】神田英樹
ジャンベル劇団員。劇団きっての肉体派で福津屋兼蔵氏(今回は出演せず)と並んで色モノを演じる事が多いが、今回は普通の人間。
普通の人間……を演じましたが、やはり普通に変態でした(笑)
彼の場合、なんだろう……最早、普通の役柄でも変態にならないと気がすまないレベルに到達してしまっているのだろうか?(笑)
でも良く考えたら、最近、ようやく普通の人間役がやっと増加傾向にあるので……まぁ進化の途中なのかな……と(酷)

由美子の夫というポジションですが、どちらかというと話をかき回すためにいるポジション。普通の人かどうかはあまり関係ない(笑)
ただし同じ変態でしたが(笑)それぞれ見せ方の違う変態でしたので、それも見応え有(笑)でも子煩悩のパパとしての演技は両者共に良かった。


○山口啓子
由美子の友人。飛鳥という一人娘がいる。
旦那は一年前、妊娠中の啓子を残して失踪中ではあるが……。

・【C】升田智美
ジャンベル劇団員。ジャンベル所属前の客演時代に「サラマンドラの虹」(ティビル役)、「悟らずの空」(アンサンブル)に出演。
昨年、劇団員として加入したため、劇団員となってからは初の本公演。
やってくれました、マッシュ姉さん(笑)淡々とした口調に関わらず、妙なテンションの高さは奇妙なギャップがあり観てて爽快な気分になりました(笑)
由美子がどこか弱々しい反面、一人でも娘を育てるシングルマザーの強さ、逞しさが劇中でもしっかり出てました。
後半、再会した旦那に「戻ってらっしゃいよ」と語りかけるシーンは隠れた名シーン。カッコイイ女性を見事に演じてました。

・【R】小田島亜庭
客演。ジャンベルは「青葉の足音」(ホロウ役)、「サラマンドラの虹」(マリーチェ役)に続き三度目の客演。
DVDでは拝見した事がありましたが、生で演技を拝見するのは初。前述のマリーチェ様がお気に入りだったので、どうしても一度観たかった(笑)
ジャンベルで演じた役の中では、今回はまた違った方面の役柄でしたが、コミカルな演技もしっかり出来ているという印象でした。
小ネタのプロレスネタとか、あるシーンでたれパンダの着ぐるみで登場したシーンとか、笑いもしっかり取っていたのだから素敵(笑)

実は両チームで対比させても、(小ネタの違いはあったとしても)印象はあまり変わらないのがこの二人。髪型とかも似ていたし。
ただし「サラマンドラの虹」でのティビル(升田嬢)とマリーチェ(小田島嬢)を知っていると、この二人が同じ役を演じた事に驚きを隠せない自分がいたりする……。


○ポチ
久男の元飼い犬で、交通事故で亡くなっている。
だが今回、久男のピンチに駆けつけるため、啓子の娘・飛鳥として生まれ変わる。

・【C】本多照長
ジャンベル劇団員。言わずと知れた「ザ・存在感」(笑)人のいいおっちゃん系の役が多い。
出てきただけで和むね(笑)もうこれは彼ならではの存在感ですが。
西村さんとの主従コンビもいい感じでしたが、あまりこの二人が積極的に役柄として絡んだ事を観た事が無いから実は新鮮だったかもしれない。
毎回、大袈裟に出張るところは無いんだけど、今回もきっちり仕事こなした感はあります。もう仕事人の域ですね。

・【R】國崎馨
客演。スターダス・21所属。ジャングルベル・シアターには初出演。全出演者中最年少の24歳。
一言で言ってしまえば、かわいいに尽きる!(笑)
本当に丁寧な口調で喝舌も良く、淡々とした話し方なんだけど、ところどころ微妙な感情がうまく滲み出ていたし、普通にうまいと思いました。
自分の周囲でも人気No1、2を争うほどの高評価。自分としてもまたジャンベルに出演して欲しいと思います。

クラシックとリライトで一番変化があった役。まずクラシックはオスの設定のままですが、リライトでは女の子に生まれ変わった姿という事で登場。
どちらも忠犬っぷりは良かったのですが、本多氏の和やかな存在感とは違う、國崎嬢のかわいらしさが素晴らしかった。個人的にリライトの方が有。


○ピー子
飼い主にお尻でつぶされて圧死した手乗り文鳥のメス。
元の飼い主に復讐を果たすため、先に飛鳥として生まれ変わっていたのだが、ポチと魂をシェアする事に……。

・【R】塚本善枝
ジャンベル劇団員。ヒロイン級の役を務める事もあるが、最近は少年役にも活路を見出している。
一言で言ってしまえば、かわいいに尽きる!その2(笑)
今までに無いような役柄で、尚且つ今までに無いようなキャラの作りをしてきたので、以前からの彼女を知っている人ほど、今回の豹変っぷりには驚くかも。
劇中の8割がたテンションの高いお笑いキャラだったが、元の飼い主に「あなたの事が好きだった」と語りかけるシーンは胸が熱くなった。いい役に巡り合えたと思います。

リライトチームのみの登場人物。過去の公演でいなかった役なので、どう既存のストーリーに入り込むか……難しい役だったと思います。
しかしその難しさを克服し、最終的にはリライトチームをポチと共に元ペットコンビで盛り上げた立役者だったと思います。見事に演じきった塚本嬢に拍手を送りたい。


○金倉満足
事業に失敗し、自殺しようとしたところを久男たちに止められる男。
実は失踪した啓子の夫。リライトチームではピー子の元飼い主でもある。

・【C】大塚大作
ジャンベル劇団員。熱さがほとばしる様な演技が持ち味の、ジャンベルが誇る「ホットコーナー」
今回も暑苦しさ(笑)……もとい熱さを前面に出した彼の演技が会場の爆笑を誘った(笑)
本当に一人で語らせるともしかしたら、下手な芸人より面白いんじゃないかとたまに思う(笑)
一方でシリアスな場面での演技も引きつけるものがあり、彼の良さがきちんと出ていた役だと思いました。

・【R】浅野泰徳
言わずとしれたジャンベル主宰。ここでの説明は不要(笑)
全出演者の中で一番、自分の役で遊んでいたのは他ならぬ彼だと感じました(笑)いや脚本書いているのは彼ですからね……。
だからなのでしょうか。店が潰れた経緯の一人芝居以外は、完全に引き立て役に徹していたようにも感じます。
役者・浅野泰徳としては、今回は中途半端な印象があるのが残念ですね……。

設定的に金倉というキャラクターの魅力が深まっているのはリライトチームなんですが、クラシックでの大塚氏の熱演はそれを補ってあまりある好演でした。
役者単位で見たら、今回は間違いなく大塚氏の方が浅野氏より秀逸。ただ浅野氏は今回、脚本家として徹していた感もあるから、役者としての自分の評価は二の次だったのかも……。


○関根十三郎
由美子の祖父で既に10数年前に他界。
死後は由美子の守護霊として、彼女を見守る日々を送っている。

・【C】竹内俊樹
今年からジャンベルに加入した劇団員。
劇団員となってからは初の本公演だが、客演として2010年版「河童の水際」(吉登富代・河チーム) 、昨年秋の「続々・おとぎ夜話」に出演している。
これが結構いいじいさんを演じていましたよ(笑)
実年齢が自分と同学年なのに、なんでこんなに立派なじいさんを演じられるのかと……感心してしまいました。
しかし「河童の水際」の富代といい、昨年の「続々・おとぎ夜話」の領主(通称:とと様)といい……役の範囲が広いですなぁ。

・【R】大串潤也
客演。ジャングルベル・シアターには初出演。
こちらもいいじいさんを演じていました(笑)
確かにいいじいさんだったんだけど、もっと驚く事に自分より年下だという事(爆)いや……てっきり自分よりは年上なのかなぁ……と思いましたが……。
終盤の土下座をするシーンや、ラストシーンの優しい表情など、凄いうまいと感じました。

お二方とも年齢の割にはいいじいさんを演じてました。なおクラシックが洋装、リライトが和装という衣裳の違いなども含めて楽しめました。
ただしラストシーンの二人の表情の差……これが自分的にラストシーンの解釈を迷わせる事になった。演出の指示(と浅野氏から)聞きましたが両者とも秀逸でした。


○香田トキ
霊界の案内人。久男、ポチを担当した経緯がある。
久男の件で案内人はクビになるが、久男の面倒を見続ける。十三郎に想いを寄せている。

・【C】堀江あや子
客演。ジャングルベル・シアターには四度目の出演で、劇団員ではないが常連レベルである。
ちんまい婆さんを見事なまでに好演。非常に役作りもしっかりしていた。
多分、彼女の事初見ならそれで終わるのでしょうが、過去にジャンベルで演じた役の数々を知っているとそれで終わりに出来ない。(例:「悟らずの空」(火杏媛)など)
彼女の新境地を観た気がします。個人的には一度も挨拶できなかったのが悔やまれるレベル(笑)

・【R】松宮かんな
ジャンベル劇団員。老若男女、果ては河童から植物まで何でもござれの、ジャンベルが誇る最強の「ジョーカー」(笑)
ってか、やっぱ松宮さん、うまいよ!(笑)期待通りに、期待通りの婆ちゃんだった(笑)
そして年々磨きのかかる小ネタの数々(歌、モノマネなどなど)も、強力になりつつある……。
リライトチームのキャスト(特に客演)が全体的に若手主体だったから、彼女のようなベテランがいるとしっかり締まりますね。恐れ入りました。

こちらはクラシックが和装(モンペ姿)、リライトが洋装という衣裳の違いがあった婆さん。
松宮さんの上手さは今更ながら、堀江嬢がそれに負けないくらい素晴らしい婆さんを演じていた。堀江嬢にとっては、これからの成長の糧になるのでは無いかと思います。



……とまぁ以上となりますね。

再々演という事で、この作品を知らない方も多かったと思いますが、見事に「クラシック」と「リライト」で毛色の違うストーリーを演じてみせたと思います。

「クラシック」の良さは当時の浅野氏のこの作品にぶつけた思いが反映されていた事。
小道具は少ないし、実はストーリーの流れはこちらの方が若干、分かり憎い。
だけど出演者の演技を中心に、客層に訴えようとしている気概が十分に伝わってきました。
また初演、再演当時に在籍していなかった劇団員が多く「クラシック」に携わったのは、ジャンベルのバイブルじゃないけど、創立初期の想いを今の劇団員たちに感じて欲しかったのかなぁ……なんて勘ぐります。

一方で「リライト」は10年以上の時を経たからこそ書けた意欲作とも取れます。
当時の何も無い情熱だけで書いていたのとは違い、追加シーンとキャラ(また無駄も省き)脚本家として成長し、洗練された浅野氏の今が反映されていたのが「リライト」チームだったと思います。
再演時にも出演していた浅野氏、松宮さん、神田氏の三名にとっては、今回の「リライト」は新たな挑戦だったのかと思います。
特に神田氏は2000年の再演時に草影久男を演じている経緯があるので、今回敢えて恋敵である田中俊夫を演じてどうだったのか……心境を聞いてみたいところではありますね。
そこに野上嬢、塚本嬢と若手主体の客演を加えた事で、また新しい「ママ」が「リライト」チームの手で出来上がったと思います。
※余談ですが、野上、塚本両嬢ともに現在のジャンベル劇団員ではベテランになるので「リライト」チームになったのではないか……と思います。

しかしどちらのチームも非常に素敵な出来に仕上がっており、両方観て絶対損は無い作品だったと思います。
唯一残念なのが公演回数がちょっと少なかった感もします。

また今回の両チームを観ていて思ったのが、オールジャンベル劇団員と、オール客演でやらせてみたら面白いんじゃないかと思いました(笑)

リライトチームの脚本をオールジャンベル劇団員。
逆にクラシックチームの脚本をオール客演で……とそんな感じに。

でも不可能じゃないんですよね。
もう察しのいい方はお気づきだと思いますが、金倉満足とリライトのみだったピー子以外のキャスティングは全て、劇団員と客演で裏返しになってます(笑)

まぁそういう訳で早くも「ママ」四度目の公演を期待して待ちたいと思います(笑)



とにかくこの総括が今後のジャングルベル・シアター、そして今回の出演者、関係者の皆様の参考になればこれ幸いと思います。



6日間全10公演、本当にお疲れ様でした。
そしていつも素敵な世界を我々に提供していただき、本当にありがとうございました。



それでは……最後に自分が劇中で一番好きだったこの歌をEDテーマにして(笑)この総括を締めたいと思います。

「残酷な……サザエさ~ん♪サザエさ~んは……神話になれ!♪」(by・田中俊夫(リライト)@神田英樹)

追伸・
しばらくはカラオケで「残酷な天使のテーゼ」が歌えません(笑)