【舞台観賞】「ひまわり」(劇団望創族) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

さて月一ペースで行っている舞台観賞ですが、先月に引き続き中野に行ってまいりました。
今回お伺いしたのは「劇団望創族」の旗揚げ公演「ひまわり」という作品。

本来ならば金曜日に一回だけ観る予定が、ちょっとした予定の変更と受付のT本さん(笑)の一声で二回観る事になったのですが……。
その経緯については余談として後で語る事にしましょう。

まず今回、お伺いした「劇団望創族」ですが、「旗揚げ公演」とある通り今回が初の公演です。
当日パンフレットにある、座長・白井悟氏によれば劇団立ち上げ構想は一年前との事。
色々な準備を経て、今回の「ひまわり」という作品の公演となったとの事です。

私がお伺いするキッカケになったのは、元ジャングルベル・シアター所属でお馴染み、村井みゆき嬢。
ジャンベルを離れてから、毎回彼女の舞台を拝見しておりますが、今回もお誘いいただきましたのでお伺いした次第です。
ただ今回はそれ以外にも拝見したい方がおりまして……。

その方とは坂本雅仁氏。
アホマイルド……もしくは「キュートン」といえば分かるかと思います(笑)
……まぁ「キュートン」も知る人ぞ、知るって感じか?(笑)
T○Sで放映していた「あらびき団」を観ていた人なら、多分、知っていると思うけど(笑)
まぁ良く分からない方は「キュートン」で検索を!そして画像を観るべし!(笑)
そんな「キュートン」のメンバーでもある坂本氏がどういう演技をするのか……観たい訳ですよ。
「キュートン」の影響で椿鬼奴のファンになった者として(爆)
※ツッコミ禁止!

さてそろそろ本編の感想……の前に、今回の会場、中野MOMOについて。
私は初めてお伺いした会場でしたが、知人でもある某P氏によると中野でも老舗の劇場との事。
縦は大体、5~6列程で奥行きな無い会場なのですが、横にしっかり広い劇場という印象です。
最前列と後列の高低差があまり無いので、後列の人は前に背が高い人がいると若干見えづらいという欠点もありますが、自分みたいに長身の人間には気にならないレベルかと思います。
個人的には最前で拝見しても面白かったかもしれない……と今更ながら思ったりします。
舞台の作り自体は非常にオーソドックス。
一箇所だけ扉がありますが、それを多少演出上活用する以外は至ってシンプルな作りになっておりました。

そんな訳で席についていると開演10分くらい前に前説が始まります。
前説をするのは、前述の坂本雅仁氏と、中島一人氏。
坂本氏は本職がお笑い芸人だけあって、こういう時のトークのうまさが光ります。
中島氏も意外とこなれた感があって面白かったです。
前説でも十分面白かったし、これから始まる舞台がますます楽しみになりました。

こうして前説を経て、いよいよ本編となります。
公演終了後につき、ネタバレ全開モードであらすじを紹介していきます。



物語はある資料室から始まる。
数ヶ月前の失態が原因で「資料室室長」に左遷された狩野嗣冶(白井悟・以下敬称略)
愚痴を漏らしながらファイルを整理していると、彼はあるファイルを見つける。
それこそ彼が数ヶ月前に出会った、ある人物について書かれている資料だった。
その人物に対する処遇で左遷されたはずの狩野だが、表情は何故か晴れやかだった。
そこに現れた元上司の黒田(村井みゆき)と共に、彼らは数ヶ月前の出来事を思い出す……。

時間は数ヶ月前に遡る。
成田空港付近で交通事故に遭った山形一路は何度、狩野の説明を受けても自分の身に起こった出来事が納得出来ないでいた。
そう……その心こそ山形だったが、体は職場の同僚・野島ちなみ(富山智帆)そのものだったからだ。
天界のネゴシエーターである狩野は、本来亡くなったはずの山形がちなみの体を「不法占拠」している状態だから、諦めて成仏してくれるよう頼むが山形は頑なに拒否をする。
そこまで言うなら……という事で狩野は、山形にちなみとして生きるよう試してもらう事とした……。

狩野はちなみの兄を名乗り、勝手にちなみ(及び山形)の職場である美術館に「ちなみが退院する」と連絡を入れる。
狩野に促されるまま出勤したちなみ(=山形)だが、上司で館長の横山(中島一人)の口から実は美術館の絵を一枚持ち出していたと知らされる。
館長の横山は山形の仕業だと嘆くが、身に覚えの無いちなみ(=山形)は不思議がる……。

一方、ちなみの彼氏・植村士郎(中井勝信)の目の前に突然、記憶喪失の女・平山郁(澤木柚季江)が現れる。
面識の無いはずの彼女は士郎にお願いがあると語り、成り行き上、士郎の家で寝泊りする事となる……。

ここまでが序盤。
実を言うと、もっとすったもんだがあり、ここまでで全ての登場人物が登場しますし、主要人物である、ちなみと士郎周辺の人間関係は大体理解が出来ます。
なお文章で書くと混乱しがちですが、劇中で外見は野島ちなみでも、中身は山形一路なのでご注意を。
そして物語は中盤に差し掛かります。

野島ちなみとして振舞う山形だったが、そんな彼の前に女流作家・小村遊希(長尾歩)が現れる。
小村はある一枚の絵の存在をちなみ(=山形)に問いかける。その絵こそ、事故の際に持ち出していた「ガーデン」という作品のレプリカだった。
だがその「ガーデン」はオーナーの意向で売却が決まっていた。その場で購入を希望する小村だがこの時は叶わず、焦った様子でその場を立ち去る。

一方、士郎が留守中の家を士郎の兄・篤志(今野祐輔)が訪れる。
訪問理由は別にあったが、郁が小村遊希の本を読んでいたため、先ほど彼女に会った事を話す。
作家・小村遊希は故人である父・小村遊太の作品(の贋作)を買い漁っているのだが、その作品は半年前、国立美術館から盗まれた作品であり、刑事である篤志はその行方を探している……。
その話を聞いた後、誰もいなくなった部屋で表情を曇らせる郁……そして彼女も行動を起こそうとする……。

ここまでが中盤。
大体ここで物語の大体の筋、そして勘のいい人なら郁の正体がこの辺りから朧気ながら分かってきます。
この辺りからあちこちに伏線が張り巡らされて、この後の後半、そして終盤へと一気に物語はクライマックス、そして収束へと向かうのですが……。

ここから先については実際に観た人のため、また再演の可能性があるため皆まで言わないでおきます。
ただし……この作品、実は今回が初演の書き下ろしの作品ではなく、原作の岩本憲嗣氏の名前で検索すると、なんと脚本がヒットします。
どうしても気になる方は、そちらでこの物語の結末を知るのもいいかもしれません。
念のためお伝えしますと、一部のキャラクターの設定はこの脚本と変わっていますし、また必ずしもこの脚本どおりの演出になっておりません。
この辺りについては、脚色・演出をされた清原俊輔氏の手腕が発揮されているかと思います。

ところどころ物語的にツッコミどころはありますが、その辺は伏せておきましょう。
ただ作者が伝えたかった思いは確実に伝わっていたと思います。



ここからは気になった出演者を挙げたいところですが、今回、二回公演を拝見した経緯もあり、各出演者ごとに語らせていただきたいと思います。
※ちなみに()内が役名です。

・中井勝信(植村士郎)
野島ちなみの彼氏。今回の設定だと大学生。
兄・篤志との関係はどうもギクシャクしているが、そんな兄に憧れて刑事になるのが実は夢。作家・小村遊希のファンでもある。
恐らく今回の登場人物の中では一番の若人として描かれています。それ故、真っ直ぐな熱い演技が印象的でした。
またどこか言いたいところをハッキリ言い出せない、今時の若者らしい繊細な一面もうまく表現できています。
同年代の男性が見て、大いに共感できるのではないかと思います。

・富山智帆(野島ちなみ)
美術館に勤める学芸員で士郎の彼女……ですが、実は事故で亡くなった山形一路が体だけを借りている姿。
富山嬢は外見だけちなみで、実際に演じたいたのは山形一路そのものだったという事になる。
そんな自分が好意を寄せていた人に成り代わって、その想いに応えようと必死に走り回るちなみ(=山形)を熱演。
外見・ちなみ、心・山形という複雑な立場に対する苦悩すらも乗り越えて、立ち回る姿に感動を覚えた人も多いはず。
ヒロインなんだけど、ヒーロー。難しい立場を見事にこなした素敵な役者さんでした。

・澤木柚季江(平山郁)
突然、士郎の前に現れた記憶喪失(と言っている)の女性。
しかし物語の中盤以降、徐々にその正体が明らかになっていく……。
この物語の序盤をかき回した意味では、いわばトリックスター的な役割も当初はありました。
ただ全編通して取っていた行動は全て「正体」の信念の元に行われていたものであり、二度目の観劇で改めて彼女の良さが分かりました。
終わってみれば、彼女の「正体」がヒロインだったし、それに相応しい演技はしておりました。

・長尾歩(小村遊希)
女流作家。父親は故人で著名な画家。病気の母が海外に住んでいる。
半年前に盗まれた父のある絵を追って、贋作を買い漁っている。
実は長尾嬢を生で拝見するのは昨年9月以来二度目。以前から訴えかけるような表情が上手かった印象はありましたが、今回も感情表現が秀逸。
特に彼女の場合、焦っていたり、動揺する場面が多いのだけど、それをどうにか抑え付けつつも訴えかける演技が観ていて素晴らしかった。
必要以上に感情をぶつけたりしない事で、却ってその感情が観ている側にも強く伝わりました。お見事です。

・中島一人(横山大)
美術館館長。美大出身だが警備会社勤務という変り種。
現在は警備会社から出向の形で館長をしている。
常に周りの人物に振り回されているという意味では、非常に大変そうな役を好演。
またところどころ、大爆笑を誘うのではないのですが、細かいところでコミカルな面を見せるなど重箱の隅をつつくような演技が印象的。
前説も含めて、頑張っていた出演者の一人ではないかと思います。

・北村友彦(藤郷竜児)
美術館の学芸員でちなみの同僚だが、美術館のオーナーである藤郷グループの御曹司。
物語の中盤で小村遊希に絵を勝手に貸してしまう事で、物語が急展開を見せるという意味ではキーパーソンの一人。
言ってしまえば「お笑い要員」その1(笑)
とにかく典型的なダメなボンボンを、面白おかしく演じきりました。
物語を引っ掻き回す事に終始し、多くの観客を和ませた(?)演技は評価に値する……と思う(笑)

・坂本雅仁(千住清)
士郎の兄貴分で、篤志の友人。
外見があまりにも軽すぎるが刑事である(笑)
「お笑い要員」その2(笑)さすがキュートン!問答無用の面白さ(笑)
藤郷もそうですが、真面目なシーンがほぼ皆無(笑)ただところどころ笑わせるためだけに存在したと言って過言では無い(笑)
役柄としては士郎、篤志の兄弟の間に入って取り成す、重要な役どころだったはずだが……面白かったからいいや(笑)

・今野祐輔(植村篤志)
士郎の兄で刑事。物語序盤でアメリカから帰国したばかり。
密輸などの捜査を専門としており、小村遊希の周辺を洗っている。
弟の士郎とは対極の位置にいる人間として描かれている。いわば確固たる信念の塊。
刑事として自分に課せられた使命を曲げない姿が印象的な反面、弟である士郎にとって大きな壁としての兄を熱演。
一人の刑事としての信念を曲げる結果になったものの、誰よりも弟の成長を認めたその姿は、弟を持つ兄の身としては心打つものがありました。

・村井みゆき(黒田清絵)
天界のコーディネーター。狩野の上司にあたる。
野島ちなみに関わっていた頃は課長だったが、数ヶ月後には課長代理に降格となっている。
他の出演者と比べると出番はやや少なめだったものの、どこか浮世離れした堂々たる雰囲気で出番の少なさを感じさせない存在感を作った。
女性としては非常に長身だが、今回はその長身が見事に活きた感がある。
終盤で見せる、さりげない部下思いの一面は女性ならではの繊細さが無ければ表現しきれなかった。まさに素敵な「課長」でした。

・白井悟(狩野嗣冶)
天界のコーディネーター。黒田の部下。
野島ちなみ(=山形一路)を担当していた。数ヵ月後には「資料室室長」に左遷される。
物語序盤は何とかして山形を成仏させる事ばかりに執着していたが、最後には山形の思いを汲んでいる様子が伺える。
何かとつけて山形に次から次へと試練を与えるという意味では、ストーリーテラー的な立ち位置をうまく演じていたと思います。
物語の中心人物では無いため、目の前に出来ている出来事についてはなるべく中立的な立場に(あるシーンを除いて)徹していたのは見事でした。

実は他にももう一人……最後に出てくる人物がいますが……。
まぁこの方は当日パンフにも掲載されていなかったので割愛しましょう。
それが誰なのかは、観た人だけのお楽しみって事で。

こうして全体を見渡すと、非常にバランスが良く、よくここまでの出演者が揃ったと思います。
登場人物は誰一人一切の無駄は無く、良くまとまっていました。
皆さん演技はうまく個性的なんですが、それでいて個性が突出し過ぎて話全体の調和が崩れていなかったと思います。
相当、稽古を積んだか、脚色、演出、もしくは舞台監督の手腕が良かったように思います。

あと女性陣は全員美人さん揃い(照)
ちなみの富山嬢が個人的にはガチ好み(爆)ダメですよ……小柄であんなに元気ハツラツなタイプの女優さん……メチャストライクゾーン(爆)
だけど負けないくらい郁の澤木嬢もきれいでした。富山嬢と比べるとやや背はあって、全体的なバランスがいい方でしたね。
小村遊希の長尾嬢はまた上記二人とは違ったタイプで、落ち着いた感じの美人さんですよ。
黒田の村井嬢は長身でスラっとしているところが、スタイリッシュでカッコイイ、そんな感じ。

……何を言ってんだか。自分(笑)



まぁ……そんな訳で積もる話はありつつも、一回目は13日の金曜日(笑)夜に観劇。
本当はこの一回で終わる予定でした。もっと簡単な観劇の感想にしようと思っていました。

しかし帰り際……富山嬢とほぼ同じ背丈の、とってもキュートな受付嬢・T本さん(笑)に言われました。

「明日もきてねー」

ごめんね、T本さん。翌日予定があるから……。

翌日……屋外での予定は見事に潰れた。
そう……雨という悪天候によって(笑)

気がつけば自分はT本さんへの差し入れを手に劇場にいました(爆)
受付嬢・T本さん、喜んでくれたかなぁ……(笑)
※ただし某P氏の言葉を借りるなら「小悪魔」(爆)

でも……いいんです。

今回「あらびき団」でしか見た事の無かった、キュートンの坂本氏が観れたから(笑)握手も出来たから(笑)
ついてに13日には客席にいたしんじ君(キュートン)にも握手が出来たから(笑)

何より素晴らしい舞台をこうして二回観る機会に恵まれたのですから。



だけど本当に素敵な舞台じゃなければ、こうして二回は観に行く気にならなかったし、お世辞抜きで今年観た中では今のところベストの作品と言って過言では無いと思います。
(ただし今年の私がまだ3本しか、舞台を観劇していませんが……)

まぁそんな訳で長々と語りましたが、劇団望創族の旗揚げ公演「ひまわり」
とても素晴らしい作品でした。
そしてこれからも頑張ってください!



※追伸
受付のT本さんの正体は察してください(笑)
皆さんもよーく知っている方です。別名「Oこ様」(笑)