すっかり寒くなった昨今。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
そんな中、久々に訪れたのは池袋・シアターKASSAI。
真夏に毎日のように通い詰めたこの劇場に、今日も舞台を観に行きました。
そして拝見したのもあの時と同じ演劇集団でした。
そんな訳で演劇集団・東京ストーリーテラー2011年冬公演「桐の林で二十日鼠を殺すには」のレポートをお送りします。
さてシアターKASSAIは今年何度も訪れているので皆様に今更どういう劇場か説明する必要は無いと思いますので割愛。
前回と違った点として前方にあった長椅子がありませんでした。
また「演劇集団・東京ストーリーテラー」も8月の「リコリス ~夏水仙~」のレポートでじっくり紹介しているので、そちらを参照にしてください。
ちょっと話が前後しましたが、開場時間やや過ぎてから会場着。
いきなり受付でなんと作・演出の久間勝彦氏にご挨拶されました。
そして荷物を預けたところ、スタッフとしていたのは愛海……じゃなかった(笑)前作「リコリス」での好演も記憶に新しい、こもりよしこ嬢でした。
更に席に座ると、再び久間氏登場!なんとわざわざ自分に挨拶しに来てくれました。
伊達に「リコリス」で毎日通っていなかったからなぁ……これは嬉しかった。
そんな風に優越感に浸っていると、自分の前の席にいる和服姿の女性。
なんか上品な感じが見覚えあるなぁ……と思ったら、八田さんの奥さんこと結城えり子嬢。
「リコリス」でも上品な振る舞いが印象的でしたけど……和服でただ座っているだけでもオーラが違った。
もう既に上演前からお腹がいっぱいの状態。超がつくほど満足の状態のところで開演前恒例の久間氏のご挨拶。
そして開演と相成りました。
まだまだ公演中につきネタバレは極力無い程度のあらすじでも。
舞台は昭和59年。今からだと……25年ほど前の話。
田舎の県道でバスの横転事故に巻き込まれた、それぞれの目的を持って乗り合わせた乗客たちは悪天候の中、森の中を彷徨っていた。
土砂降りの天候の中、遭難しかけるのであるが、どうにかして桐の林の中である洋館にたどり着く。
洋館の主の息子・論(小川康弘・敬称略)は不快感を露にして追い返そうとするが、館の主・天宮良造(鈴木達夫)は快く迎えいれる。
しかしこの洋館にたどり着いた事が、悲劇の始まりになるとは……この時、誰も予想だにしなかった。
……とまぁこんな感じです。
本当に前半のシーンを軽く掻い摘んで記していますが、ここからの急展開が……面白いというのか、そういう感じになってきます。
ちなみにこの前半のシーンより前、冒頭にあるシーンがありますが、これが物語の重要な鍵を握る事になります。
このシーンが後半、ある登場人物の過去と絡み合っていくので、結構重要です。
とにかく一言で言ってしまえば「サスペンス」
BGMに火曜日にやっている二時間のサスペンス特番を入れても、そのまま通用する作りです。
作・演出の久間氏は「ミステリー」と言ってますが、自分としては「サスペンス」と言っても過言では無いと思います。
なおこの作品、パンフレットを拝見する限り、20年前の作品で当時、久間氏が携わった劇団の旗揚げ用に作られた作品だったとの事です。
それを20年の時を経た現在で再演した訳ですが、意外と現代劇でも通用するような部分もあり、ここは人の感覚が現在と20年前だと変わっていないところなのかもしれません。
ところどころ現在だったら「こうなるだろ」「ああなるだろ」と思わせる場面が多々あり、そこが現在と舞台設定である昭和59年との違いなのかなと思います。
ちょっと昔、タイムマシンに乗った気分で見ても面白いかもしれません。
さて気になった出演者でも。
でもどうしても「リコリス」出演組は気になってしまう訳ですよ。
真っ先に挙げるなら鈴木達夫氏。
「リコリス」では近所の老人・八田さんを軽快に演じていましたが、今回は狂気じみた面も見せてくれました。
序盤の彼と、途中から狂気な一面を覗かせる彼の違いには是非注目して欲しいです。
続いて小川康弘氏。
「リコリス」では初老の男を演じてましたが、今回はどちらかというと実年齢に近い役柄で、自然体で演じている印象があります。
彼の場合、何かを訴えかけるような目がいいんですよね。今回もそれがしっかり現れてました。
前回、結構お気に入りだった有田佳名子嬢。
「リコリス」でのヒステリックな主婦・深田から一転して、今回は非常に清楚な役柄でした。
多分、彼女はこっちの方が男性ファンが増える(笑)自分はとっても好きでした。
ただ役としてのインパクト、演技の幅広さが要求されるのは間違いなく前作なのですが(笑)抑えた演技もしっかり出来るので脇役としてもしっかり務まる方だと思いました。
そして前回、あんまり台詞が無かった藤澤太郎氏。
今回はメチャクチャ主要人物で出番も多かったので、彼のお客様は満足できる出来になっていると思います。
しかしサラリーマン風の役をやらせたら、こんなに板につく人も珍しいなぁ(笑)
「リコリス」組は以上かな?
「リコリス」組以外だと宝田直人氏。
劇中では唯一の軽い役どころなんだけど、彼の存在がストーリー全体を進める潤滑油の役割を担ってましたね。
立ち位置的にはお調子者なんだけど、どうにも憎めない。そんな人。
最後に竹内裕美嬢。
今回一番、業を背負った役柄。何故かは劇中を見れば分かりますが、前半の落ち着いた佇まいから、後半の迫真の演技、そしてラストで見せた慈愛に満ちたあの演技……素晴らしかった。
あ、この方、厳密には「リコリス」組だ。冒頭でマスターの奥さんの声演じている!(笑)
ま、そんなところでしょうか。
上演時間は1時間45分。
某サスペンス番組と同じ尺なので、適当な長さでいい感じに終わりますよ(笑)
それにしても久間氏は冒頭が土砂降りの雨の中から開始するのが好きだなぁ(笑)
(前作「リコリス」もそうだった)
ちなみにとある役だけダブルキャストなので、もう一回観に行っても面白いかな?なんて思っております。
そんな訳で帰り際……天宮演じた鈴木氏と、この日はお客様の結城えり子嬢のツーショットで「八田夫妻」が最後に見れた事に満足しながら劇場を後にしました(笑)
ちなみにこの公演、来週日曜日までやってますが、休演日もありかなり日程が特殊です。
観劇の際は公式サイトを参考にしていただければと思います。
演劇集団・東京ストーリーテラー・公式サイト↓
http://tokyostoryteller.jp/index.html