すっかり肌寒くなった11月。
この秋初めて厚手のコートに袖を通し、やってきたのは新宿・シアターモリエール。
昨年末に私の贔屓である塚本善枝嬢が出演した舞台を観に行って以来である。
……という事で、今回はカラーひよこ協会旗揚げプロデュース公演「人まがい」の観賞レポートを致します。
その前に「カラーひよこ協会」とは何ぞや?……という事でパンフレットなどを拝見したところ……。
グワィニャオン主宰の西村太佑、元劇団ビタミン大使ABCの椙本滋、青年座の咲野俊介の三名による演劇プロデュースユニット……との事。
この「カラーひよこ協会」の由来もパンフレットにありますけど、ここでは割愛。
ただしカラーひよこの販売には一切関与していないとの事ですので、そのあたりは誤解無きよう(笑)
そんな「カラーひよこ協会」の旗揚げプロデュース公演……との事ですが、なんと一つの話に演出家を五人起用するという異色のもの。
演出は先の西村太佑氏に加え、久光真央(ハグハグ共和国)、ビーグル大塚(チャリカルキ)、高橋稔(昭和芸能舎)……そしてこのレポートならお馴染み浅野泰徳(ジャングルベル・シアター)の計五名です。
まぁこれで私が観に行った理由は分かっていただけるかと思います。
浅野氏演出、更に客演で松宮かんなさん、本多照長氏と並べば、ジャンベルファンならちょっとは気になりますよね(笑)
そんな訳でかなーり早く会場に到着(笑)
開場までロビーで待っていると、ジャンベルの神田英樹氏登場。
見かけた瞬間「あ、どうもっす」なんて気軽に挨拶してました(笑)
……いやはや、今思うと、若干無礼だよなぁ(笑)
そんなサプライズもありつつ、会場入り。
開演までまだまだ時間はあるので、のんびりパンフレットを拝見しておりましたが、ちょっと面白い事に気付く。
なんと演出のところが、誰がどのパートをしているか分かりやすく記載されているのです。
普通ネタバレにもなりかねないから、こういうのは通常控えるべきなんでしょうけど、五人も演出家を起用しているからこその配慮なんでしょうか。
ただ後から観ると、このパートはこの演出家……という繋がりに気付かされます。
まぁ観劇前は軽く眺める程度でいいですが、観劇後は「あぁ。なるほど」と思います。
さて早速本編のあらすじでも。
公演中なので、ネタバレしない程度にフライヤーの内容中心に。
……ある医療チームが画期的な新薬を発明した事から物語は始まる。
その新薬とは死んだ人間を生き返らせるという薬である。
しかしその時間は僅か3分である……。
最初は警察が殺人事件の被害者に使う事により、事件の早期解決に役立てるなど使われてきたが、徐々にその使用方法は当初の目的とかけ離れていき、やがてまがい物が市場に出回るようになっていく……。
そんな新薬を巡って、様々な人間模様が描き出される。
……死後、人を生き返らせるというテーマがなんともいえない。
もっとも「人の死」を取り扱っている時点で、重いテーマでもあるのですが、それを再生させる事によって起きる業じゃないけど……そういうのも見えてきます。
そういう意味では、スッキリ爽快な内容ではないですね。
ただ演出家が五人いた事により、それぞれがそれぞれ、テーマをどう捉えて表現しようとしていたのか……ちょっとした違いなんですけど、その違いは見ていて興味深かったです。
一方、脚本はどうにもチグハグに思えます。
まぁこれは五人の演出家を起用した経緯もあるのでしょうけど、話しがこんがらがってまとまり感には欠けていたように思えます。
つぎはぎなんですよね。
最後には話しは一本の線にまとまるのですけど、つぎはぎを縫っているようなまとめ方。
これならいっそオムニバス形式にしてしまった方が、話はスッキリまとめられたんじゃないかなぁ……と若干勿体無いように思います。
ストーリーの内容自体は決して悪く無いですし、非常に意欲作だと思います。
ただちょっと今回は、冒険し過ぎたきらいもあるようにも思えます。
もう少し、シンプルでオーソドックスでいいような……そんな気もします。
さて気になった出演者についてですが……今回はあまりいませんね。
登場人物の数も多すぎたので、一人一人が印象に残りませんでした。
主役格を除くと一人二役、三役当たり前なので……。
そういう訳で今回はお目当てだった、ジャンベルのお三方でも(全員敬称略)
・浅野泰徳
演出としては浅野テイスト満載でエピソードを取り扱っていたと思います。
特に前半二つのエピソードと、後半のエピソードは内容とかテイストも両極端で、ジャンベルテイストをそのまま持ってきたように思えます。
役者としては相変わらず、怪しいどころが素敵すぎる(笑)
セルフプロデュースな浅野氏と、そうじゃない浅野氏、どっちも難無くこなす芸達者っぷりに天晴れです。
・松宮かんな
今回はかんなさんをうまく使いこなせた演出家がいなかったかなぁ……というのが所感。
どんな役やらせても、とてもうまいんですけど、彼女の真骨頂を引き出すにはどの演出家も至っていなかったように思います。
これだけ出演者が多いとどうしても、その他大勢の誰かになりがちなんですけど、勿体無いなぁ……。
それでも言い方は悪いけど、そつなく上手くこなしている点においては、さすがだと思います。
・本多照長
主にホームレスのおっちゃん役なんですけど、相変わらず雰囲気作りとか凄いうまいですよね。
それと笑いをちょっとした工夫で取れる点においてもナイスです(笑)
そういう意味では松宮さんとは逆に、うまく演出に持ち味を引き出してもらった感はあります。
役さえ恵まれれば、まだまだ色んな面を見せてくれそうな方ですね。
まぁそんなところでしょうか。
ジャンベルのお三方の活躍がこうして見れただけでも、自分としては満足でした。
なお上映時間は2時間20分とやや長め。
途中休憩は無いので、尿意が近い人は要注意。
また普通に座っていても、お尻が痛くなるので気をつけましょう。
・カラーひよこ協会・公式ブログ↓
http://ameblo.jp/colorhiyoko/