【舞台観賞】[DVD]「草薙の風」(ジャングルベル・シアター) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

最近、自分の日記でかなり贔屓しているおこ様こと塚本善枝嬢。
彼女が所属する劇団「ジャングルベル・シアター」の本公演が来週に迫ってきました。
昨年末、客演で出演した「KU-GU-TU」以来の彼女の演技が今から楽しみであります。

そんなジャンベル熱が高まりつつあるのでところで、過去の彼女の演技をおさらいしよう。

……という事で、今日からしばらく「ジャングルベル・シアター」のDVDを観る事に致しました。
(実は物販でおこ様に購入を勧められたのを、まだ観ていないだけという事もありますが・笑)

……という事で【舞台観賞】シリーズ番外編。[DVD]観賞日記という事で(笑)

今回観たのは、2007年秋公演「草薙の風」
3年ちょっと前の作品になります。
もう過去の作品だから、ある程度のネタバレはいいのかな?

まぁ物販のため、なるべく伏せるけど(笑)
物語のベースになっているのは、日本神話。
ぶっちゃけヤマトタケルの時代の物語。
ある程度、ヤマトタケルの物語のあらすじを知っていると世界観が理解しやすくすんなり入りやすいかと。

実在の日本神話に出てくるヤマトタケル(西村太一氏)、弟橘姫(塚本善枝嬢)、クマソタケル(中澤徳泰氏)などがしっかり出てきて、辿る末路も……まぁ殆ど筋道通りというか、そんな感じ。
そこに主宰・浅野氏なりのアレンジが加わった、一味違う日本神話に仕上がったというのが観終わった後の所感でしょうか。
その中において、結構終盤までお笑いの要素を入れてくるあたり、さすがだと思います(笑)

まぁ主宰・浅野氏の学の深さは彼の作品を観た事がある人なら、誰もが知っているでしょう。
今回も時代背景がしっかりしているのでブレが無いと関心致しました。
特にそれが現れているのが、登場人物の関係。
当時の日本の支配する側と支配される側の、複雑な人間関係が如実に絡み合っていて、それをうまくそれぞれの登場人物に活かしていると思いました。

これ以上話すとネタバレになるので(笑)まぁ印象に残った役者さんでも。

ジャンベルの皆様でしたら、まずは主役・ヤマトタケルを張った、西村太一氏。
この方は普段はとっても軽いノリを感じる親しみやすいお兄ちゃん……って感じなんだけど、時々垣間見せる狂気とも思えるような表情は見ていてゾッとするし、それに引き込まれてしまうんですよね。
昨年11月の「新:おとぎ夜話」でもそのギャップというか、目にこもる力というのに魅せられました。
この2年後に「サラマンドラの虹」でも主役を張っているけど、またその時とは違った人物を見事に演じきった感があります。主役をやらせたら絵になる人ですね。
あと西村氏、塚本嬢とセットになる役柄が多いと感じていますが(「サラマンドラの虹」や「新・おとぎ夜話」)凄い相性がいいのかな。とってもお似合いなんですよね。
この作品では塚本嬢とはいわばカップルですが、観ているこっちが照れてしまうくらいの出来でした(笑)

次に挙げるなら、建日子役・福津屋兼蔵氏。
今までの作品の彼はどれも(いい意味で)濃いキャラが多くて、ストレートに印象に残る事が多かったのですが、ここではいい感じで抑えが効いていたと思います。
いや出るところは出ていたので、そういう意味ではいつも通りなんですが、そこまでハッっちゃけていない福津屋氏が観れるのも珍しいかなと。
いい意味で渋い。こういう役柄も演じられるのかと、結構驚きました。

驚いたといえば松宮かんなさん。嬢とは言えません。「さん」です。別格です(爆)
やっぱりこの方がジャンベルのジョーカーですよ。
今回の役どころはかなり難しかったと思います。彼女演じたヤコは設定として実年齢では下であろう野上敦美(現・野上あつみ)嬢演じる・ヤソメの妹、しかも精神的に傷を負った幼児的な役……。
それを違和感無く演じるんだから、凄いとしかいいようが無い。逆に言うと、この役、多分、松宮さん以外演じられなかったとは思います。
主宰・浅野氏もそのへん織り込んで脚本作っているんでしょうけど、本当に恐れ入ります。この方だけは次回作、どういう役柄を与えられているのか……予想が全くつきません。

他にも神田英樹氏の役も今までと持っていた印象と違い過ぎて、最初気付かなかった点や、男勝りな村井さんがカッコイイ点や、主宰の浅野氏のあの役は……とか(笑)挙げればキリが無いですね。

客演だと叢雲を演じた岩本達郎氏。
正直言うと、見方によっては実は彼が主役……でもおかしくないのかな。
最初から最後まで一貫して、一本筋の通った役を演じてました。

倭比亮(ヤマトヒメ)演じた長浜良子嬢のおかんっぷりも観ていて良かったですね。
何気に物語の鍵を握っているキーマンですからねぇ。

後はオドを演じた高橋幸生氏。いわば刺客。
終盤の松宮さん演じるキャラとの絡みは見事でした。
後に「青葉の足音」にも客演されていますが、そちらと併せて観るといいかもしれない。

なおクメイ役の程嶋しづマ氏は、2月の公演で客演で出演されますね。
どっちかというと中盤までヘタレキャラ(失礼)でしたが、彼がどう変わるのか注目したいです。

最後に自分の一推し、塚本善枝嬢……。
むちゃくちゃ正統派の美人なヒロインを演じたと思います。
……と言っても、彼女、この時は一人二役です。
超正統派だったのは弟橘姫の方ですが(笑)もう一役・美夜受姫も最初はともかく、後半からメチャクチャ正統派なヒロインになってました。
でもこれは……一人二役だけど、もうほぼ同一人物って扱いでいいよなぁ(笑)
美夜受姫の序盤が我々の一番良く知っている「おこ様」な善枝嬢のイメージに一番近いですな。そこまで出番は多い訳じゃないけれど、ヤマトタケルの運命を左右するという意味では、凄い重要な役柄でした。
そのためには「守ってあげたい」と思わせるヒロインである必要があったと思う。そういう意味では弟橘姫も美夜受姫も、男性からすれば「守ってあげたい」と心から思える素敵なヒロインでした。
ただし……それ故、設定上、かわいそうな役柄になりやすいのかなぁ……?(苦笑)



ま、そんなところです。
ただこの舞台はどっちかというとハッピーエンドが多い、ジャンベル作品にしては比較的悲劇的だったかなぁ。
最後の最後でこのタイトルの意味が分かるのですが、なんだろう……切なかった。
そういう意味では、観終わった後の切なさは今まで観た作品の中でも群を抜いています。

ちなみに上演時間は約2時間10分ですので、途中休憩一回挟んで見る感じでいいかも。



そんな「ジャングルベル・シアター」の次回公演は2月10日から始まる「悟らずの空」となります。

まぁ私がこれ以上宣伝してもなんなので、興味を持った方は↓へ。

http://www.junglebell.com/

私も何回か観に行きます。
多分、物販で「草薙の風」のDVDも買えるよ……多分(笑)