- わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)/西林 克彦
- ¥735
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★★★☆
ネットで新書を片っ端から見ていたときに気になっていたのですが、書店で見るとどうやら有名な本のようで、ドラゴン桜というマンガでも教材として取り上げられていたそうです。
本書のキーワードは、タイトルそのままで「わかったつもり」。
読解にあたって最も障害になるのは、「わからない」状態ではなく「わかったつもり」の状態です。
「わからない」状態ではわかろうと努力しますが、「わかったつもり」の状態は一応の安定状態であるため、より深く読み込む可能性があるにも関わらず読み込みをやめてしまいがちです。
さらには、読み足りないのではなく、読み誤っている場合もあるといいます。
そういったことを、大学の授業などで実際に出題してとった統計を用いて説明しています。
私の一番の感想は、「なるほど!」です。
これまで自分が超えられなかった壁の原因がわかった気がします。
ただ、その壁を超えるための方法論としてはやや弱く、結局は何度も注意深く読み返すしかないような書き方でした。
原因を突き止めていますが、それではどのように解決すべきかというメソッドが示されていないのです。
それでも、最終章である第5章では、実際のセンター試験の問題を使い解説をしているのですが、これは本当に目からうろこでした。
受験の現代文は、なぜどれも正しいような選択肢が並ぶのか、そこからどう肢を選べばよいのかがわかりました。
本書の帯に「受験生向け」というようなことが書いてありましたが、これだけでも一読の価値はあろうと思います。
私が思うに、第1章および第2章で本書の基本的なことは大体理解できるので、そのあとに第5章を読めば十分有用です。
第3章および第4章は、演習的な章なのですが、メソッドが示されていないので、著者の誘導に従って読解しているだけで、なかなかものにできなさそうな印象でした(それは単に、私の無能に起因するのかもしれませんが)。
最後に、本書で欠点のようなものを挙げるとすれば、同じことを何度も繰り返し書いている(それは、立て続けに言い方を変えての場合も、後の章で復習的にしつこく書く場合もある)ことです。
中途からは辟易としてきます。
ただそれは、考え方によっては重要な部分の強調とも受け取れるので、さほど気にすることもないかもしれません。
総合的には、読んで良かったと思える本です。
「わかったつもり」を容易に脱することはできなくとも、この事実を知っているだけで十分価値のあるものだと思います。
読書スピードの速い人は、立ち読みでも十分かも知れません。
