社労士が唱えた「社員を退職に追い込む方法」ver. 2.1 | 歴史考察とっきぃの 振り返れば未来

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こんにちは。
歴史家とっきぃです。

ワタミやユニクロなどのブラック企業ではもはや当たり前となったうつ病罹患に過労自殺。

また、当局の立ち入りが何度となくあってもどこ吹く風で「やりがい詐欺」を止めない東横インとか、
近頃やっと陽の光に晒された新教育産業(進学塾・個別指導塾等)のコマ時給・・・。

こうした労働問題も今やすっかり「透明化」してしまい、”世の中そういうもんだ”という世間認識です。
なればこそ、

自分で自分を守る時代なんです。

21世紀日本では、「会社に守ってもらおう」なんて20世紀型モラルで考えていると、あっという間に足元をすくわれます。前世紀末に始まったリストラ時代が世の中を変えました。
松下電器とか出光興産が社員一体で戦後の困難を乗り切った経験値は、後続企業に共有されることなく雲散霧消したようです。人件費圧縮の名の元に働く人受難の時代になりました。人間の多くは普通の人です。一部天才ではなく普通の人は経験を積み重ねることで戦力となります。そして安定することで精神の均衡を保つのです。夜討ち朝駆けなどの「モーレツ」も安定というしっかりした基盤が担保していたのです。その基本を忘れて社員を費用と考えたのですから、発想そのものがおかしいのです。ニッケイ新聞で記事になっていたからとか、同業はどこの会社でもやっているからというのは、経営責任の放棄にしか見えません。単純に腹が据わっていないだけなのかもしれません。教育不振はこういうところにも影響が出ています。

他方、募集をかけても人がなかなか集まらない企業も数多あります。求人募集をかけている会社は、何か問題があるから人が足りなくて補充を募っているわけであって、ホワイト企業ならそもそも募集をしません。居心地がいいから社員が定着するんです、優良企業は。

ですので、求人募集に応じるときにはそれ相応に、心に城塞を築いておかねばなりません。油断をしたらすぐ付け込んで、真面目な人ほど誠意を食い荒らされます。

雇う方も雇う方で、会社側として問題のある社員をなんとか追い出したいという切実な悩みがあります。

仕事は出来るけれども人格的に問題があって他のまっとうな社員を退職に追い込むトラブル社員とか、
なんの戦力にもならないだめ社員とか、理由は星の数ほどあります。

中小企業にとって苦しいのは、問題あるにもかかわらずその当該人物がいないと仕事がまわらないことです。
知らず識らずの間にその要注意人物に依存してしまい、気がついたら部門そのものを乗っ取られているケースです。

社内謀略です。
まったくマキアヴェッリの『君主論』の世界ですね。

こうした事例は歴史を学べばいっぱい学べます。
ですから「暗記モノだったから・・・」と歴史を知らない、学ぼうともしない経営陣に問題があると思います。
そういう経営者に限って、きらびやかな肩書のコンサルタントに儲けをかっさらわれてしまいます。
ライフ生命の出口治明CEOとか、日本マクドナルド創始者の故・藤田田など一流の経営者はちゃんと歴史を学んでいます。
ご父兄の土木系社長さんによく伺ったのが、勉強なんてしなくても経営は出来るとか、取引先を接待で呑ませれば経営なんて誰でもできるといった意見です。経験値に根ざしているので否定はできませんが、一寸先は闇です。呑ませて抱かせてを超えるライバル会社が出てきたらどうするのでしょう。ちょっと心配になりました。

人間心理は微妙です。
江戸時代、どうして江戸町奉行は南北と二箇所あったのか、どうして徳川時代は平和だったのか、そこには大変な神経戦が織り込まれています。

人間は善も悪をも為しうる。ほっとけば必ず悪に走る。

これが徳川政権の基本テーゼです。だから「10両盗めば獄門」になるとかあえて厳しい法令をこしらえました。そういうレッドラインを敷いてから、善行を促すのです。親孝行の子供を表彰するとか、女性教育に力を入れる、役人に地方ドサ周りをやらせる、出版事業を奨励するなどです。そうやって悪を為さないように性悪説で予防線を張る。しかるのちに性善説を張る。統治とは何かがよくわかりますね。同じ人間でですから現代人にできないはずはありません。特に少年法関係、喫緊の課題です。

戦後の経営者は江戸時代の幕閣ほどには知恵が回りませんから、自分にとって都合の悪い分子を排除するために、いろいろとアウトソーシングします。

そこにビジネスチャンスを見つけたのが社労士の
木全美千男(きまたみちお)氏です。
ブログで「社員をうつ病に罹患させ退職に追い込む方法」という記事を書いて、近ごろ炎上しましたね。

木全社労士のノウハウにはベースがあります。
ポイントは「罪悪感」の植え付けです。
「いじめの政治学」でいう「孤独化」と「無力化」です。このノウハウでは、ローマカトリック教会がマニュアル化して以来、キリスト教がもう2000年近い実績を残しています。

木全社労士の方法を簡単に述べますね。
まず、会社で罰則事項を定め、違反したら反省文を書かせることを業務に加えます。
対象社員は反省する気は毛頭ないので軽くみています。

ところが紙に書くというのは脳に情報を刻みこむ最有力の方法なんです。

ですので、対象社員の潜在意識に、知らぬ間に罪悪感は養われていくわけです。それほど長くないうちに、みるみるうちに表情が変わっていきます。

頃合いを見て減俸なり降格なりの処分を撃ち込んで、対象社員はチェックメイト(完落ち)です。
一番いいのは休職にして休職満了で自動退社です。

その際のポイントは一連の因果関係を否定する証拠をあらかじめ企業側でこしらえることです。

木全社労士のブログに拠れば、これで(仮にうつ自殺されても)労基法や労働者派遣法を封じ込められるそうです。

いじめの政治学を逆手に取った。巧妙な戦術です。
木全社労士は炎上以後、ブログを閉鎖しているようですが、それはともかく重要なことは、うつ自殺に社員を追い込む軍師がついに企業側に出てきたということ

タバコを吸うとか、遅刻をするとかで自殺まで追い込まれたらたまらないですね。しかし、これだけならストレス満載の一般世論も納得するかもしれません。遅刻するほうが悪いと・・・。

ところがこういうノウハウがあるのです。それだけですむハズがありません。
専務派と常務派の派閥争いとか、お局さまが可愛い新入女子社員をイビリ殺すとか、需要はいくらでもあります。

みんな仲良くとか、「ウチは家族主義だから・・・」とか言う企業こそ要注意です。こういう会社に限って闇は深いですから。


ちなみに地方にいくほどブラックの度合いは強いです。
それだけ経済が疲弊しているからです。もちろんそれだけが要因ではなく、昔も今も村落共同体ではとにかく人間を酷使します。日本は人力で産業を育成してきたからです。
同じ社会階級内部での階層は無制限に分かれていくんです。これを「階級細分化の法則」といいます。

それでも昔は、狭い環境で人間関係を維持するための努力はなされてきました。
明治以降、そこへ欧米流経営思想がはいってきます。家畜を使いこなした欧州とは背景が違いますから、人件費という発想が入った途端に従業員は家畜と等閑視されます。


社員への支給なり厚生なりは費用ではなく投資のはずです
今一度、いまいちど日本は考えなおすべきです。
舶来のすべてが素晴らしいわけではありません。
かつての日本は取り入れていいもの(漢字など)と悪いもの(纏足、人食など)を区別していました。

後継者(子供)に英語留学(会社の経費)などでハクをつける暇があったら、本を読ませるべきだと思います。むしろ本代に経費をつかってもいいかと個人的にも思います。

社員あっての社長ではないでしょうか。
人手不足倒産を余儀なくされて、使われる立場になって初めて気がついても遅いです。最期まで会社を支えて、その結果として路頭に迷わせてしまった勤労社員たちに顔向けできるのでしょうか。

日本人経営者諸兄、最低でも『君主論』を読み砕く歴史力を身につけましょうね。「学校で習わなかったから」というのは、言い訳にすらなりませんので念のため。
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