日本の世界ワーストワン!?~日本は住みにくい国なのか? | 総合診療医:誰もがわかりやすく医療を理解する事ができるブログ

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「否定の極論」記事に疲れたあなたへ贈る:「食事」「睡眠」「運動」・・これら「健康の三本柱」をねじ曲げずにポジティブに考えるブログです。

次の写真付きの記事を、ある人がFacebookで投稿しました。投稿自体は2016年12月のものです。

  

この記事は、Facebook限定でしたがシェア数が2500件を超えたようです。

皆さんは、これらを見てどのように思いますか?

  

  

  

バカバカしいとしか言いようがありません!!

よほど日常に不満だらけのでしょうか?、何でマイナス面にしか注目しないのでしょうか?、プラス面もたくさんあるのに。こんなものをシェアして拡める事が、良い事をしていると勘違いしているんじゃないでしょうか?

何かとデカいものに反発する事で、満足感を得る人が多いのでしょうね。

  

  

何も考えずにシェアした人たち・・・

この14項目の情報は本当に正しいのですか?、本当に「世界一」なのか調べましたか?、「世界一」が事実だとしたら、その理由は調べましたか?

  

次から1つ1つ確認します。

結論として、多く見積もって半分の項目のみ「世界一」でした。そして、確かに改めるべき項目もありますが、どうしても改善は難しい項目もありました。

  

▲左:総債務残高、右:純債務残高(対GDP比)

  

  

「その1:国の借金が世界一」・・・×

  

上の表に示すように「債務残高」は世界一ですが、「債務残高」は第四位とでした。

ここで「なぜ??」と疑問に思う事が大切です。日本は、「負債残高」第二位のギリシャみたいに経済破綻するのでしょうか?おそらくしないと思います。

  

私はこの分野については全くの素人なので、次のサイトを参照にしました。

⇒ 『世界一の借金大国日本が「安全な資産」と言われる3つの理由

  

借金の中身の9割は「国債」です。それも9割以上が、国内の投資家からです。

つまり、国が国民に多額の借金をしているに過ぎません。父親が息子からお金を借りるようなものです。また、国民総生産(GDP)は世界第三位です。ですから、国民への借金も多いけど、生産額も多いのです。

  

▲国別農薬使用量

  

「その2:農薬使用量が世界一」・・・×

  

上のグラフに示すように、日本は中国・韓国に次いで第三位でした。なぜ上位三位が近隣国でまとまっているのでしょうか?・・それは気候です。「温暖湿潤気候」の地域で、農薬が多くなるのは仕方がない事です。

日本国内で無農薬で頑張っている農家もありますが、全国でそれは可能なのですか?。努力さえすればお金をかけずに無農薬を実現して、家族を養う事ができるのですか?。そもそも無農薬の方が、安心安全なのでしょうか?

農薬批判をしている大半の人は、農家とは無関係の人たちばかりでしょう!!

  

  

そもそも農薬が多いと、何らかの病気になりやすいのでしょうか?・・それも違います。

多くの先進国で気管支喘息やアトピーの子供が増えていますが、空気中の農薬濃度が高いはずの農家で育つ子供は、むしろ発症率が低いのです。

  

農薬がどうのこうので、リスク0にするために無農薬にこだわる神経質な人の方が、むしろ病気になりやすいでしょうね。

⇒ 『農家で育つとアレルギーになりにくい(Thoraxオンライン版掲載論文)

  

  

医学書に載っていない「農薬病」などと勝手に名付けて、素人を脅かすセミナーする有名人もいますが、素人騙しもいいとこです。テレビに出てくる自由診療の医者は、本業でエビデンスのない高額サプリを売っていますから。

  

大体にして、使われた農薬が全て残ると思いますか?

日本国内で現在主流の農薬は、多くは雨で流されて2週間程度で抜けてしまいます。使用時期や回数も制限されており、収穫前の一定期間以内は使用できない事となっています。

  

農薬が~!、モンサントが~!、添加物が~!、遺伝子組み換えが~!・・・ってバカバカしいです!!。本当に身体も心も健康な人は、そんな事にこだわりません。

こういう事を発信する人は、「〇〇を起こす可能性」などと言って、読む者を不安にさせる事がよくあります。

  

  

農薬を批判する人やシェアする人の中で、農林水産省のホームページを一度でもご覧になった事がある方は、どれだけいるのでしょうか?

⇒ 『残留農薬は危ないの?:消費・安全政策課

  

↓写真で、下に一部抜粋します。じっくりとご覧ください。

  

農薬が本当に危険なのかは、「一次ソース」として、必ず国や専門機関のホームページで確認すべきです。エビデンスのない極論者の都合の良い発信を「一次ソース」にして右往左往されるべきではありません。

  

  

次の項目に移ります。

    

  

▲日本人の平均寿命と健康寿命

  

「その3:寝たきり期間が世界一」・・・〇

  

「平均寿命-健康寿命=寝たきり期間」と捉える場合が多いようです(本来なら少々定義が異なりますが)。ただし平均寿命が香港に次いで二位の日本、高齢者が増えれば、寝たきり期間が増えて当然です。

  

また、寝たきり期間が長くなるのは、国民皆保険の日本の医療も貢献しているからです(胃ろうを作って無理矢理生かすのが良いか悪いかは別ですが)。

日本人にとって、国民皆保険は当たり前でしょうけど、他の先進国からすると、決して当たり前ではありません。例えば、アメリカでは盲腸(虫垂炎)の手術は、民間の保険に入っていなければ300万円もかかるとされています。つまり、手術すれば治るような腹膜炎まで進行していない盲腸(虫垂炎)でも、治療費がないため亡くなってしまう人もいるのです。

  

あなたは寝たきりになる前に、満足な治療を受けられずに早死にする方を選びますか?

  

▲出典『子供(15歳未満)高齢者(60歳超)の人口の割合ランキング・国別順位 - WHO世界保健統計2013年版

「その4:子供の少なさが世界一」・・・〇

  

  

「その11:残飯廃棄量・食べ残しの量が世界一」・・・×

食料廃棄は米国の方が日本の1.5倍多いですが、「食品ロス」の「1/3ルール」など、国をあげて何らかの対策が必要かと思われます。

この分野も私の専門外ですが、日本の温暖湿潤気候と食品ロス、食中毒を絡めると、なかなか改善が難しいのかもしれません。

  

  

▲セトロニントランスポーター遺伝子

  

「その5:精神科の病床数が世界一」・・・〇

「その10:若者の自殺率が世界一」・・・×

  

自殺率は世界第六位、一位がリトアニア、二位が韓国でした。

上のグラフのように、日本人は「心配性型」である「SS型」のセロトニントランスポーター遺伝子を持つ人が世界的にも多く、「幸せホルモン」の分泌量が少ないのです。

日本民族の精神科病床数・自殺率が上位になるのは、仕方がない事です。詳細は、私のブログをご覧ください。

⇒ 『日本の精神科病床数は世界一多い・・異常でしょうか!?

  

  

▲出典『GM表示義務がない国アメリカでは、日本人の4倍食べている

  

「その6:食品添加物の種類が世界一」・・・▲

「その14:遺伝子組み換え作物の輸入・消費量が世界一」・・・×

  

食品添加物の種類は世界一ではありません、国によって基準が違うだけです!!

ですから、胃腸の機能が弱く、また消化酵素が欧米人の半分くらいしかない日本民族が、他国に行って安全だと思って無添加食品なるものを食べると、むしろ食あたりする事があるかもしれません。

  

遺伝子組み換えの世界一もウソです。上の画像のように、アメリカには表示義務がありません。

  

尚、食や薬の安全基準が世界一厳しい厚労省は、食品添加物と遺伝子組み換えに関しても、厳重な管理をしております。

詳細は次の過去ブログをご覧ください。

⇒ 『結局「食品添加物」は危険なの?

  

  

▲出典『電磁波の健康影響 - 電波利用ホームページ - 総務省

  

「その7:電磁波を浴びる量が世界一」・・・▲

「その9:放射能汚染が世界一」・・・▲

  

電磁波に関しては、まともな統計がなく不明です。

確かに「電磁波過敏症」と思われる症状がある人がいるのは、WHOも認めていますが、電磁波が健康に影響を与えるという科学的証拠はありません。

IHクッキングを使って脳腫瘍を発症したとか、ブラのワイヤーに電磁波が吸収されて乳癌を発症したなどの記事は、全く根拠がありません。

  

また「放射能汚染」と聞いて、原発の影響と一般人は思われるかもしれませんし、またそれを誘導しているのかもしれません。各国の首都圏で比較すると、東京は決して多くはありません。

放射線が多いのは、病院でのレントゲン・CT検査です。原発の放射線はそれに比べると、はるかに少ないです。医師が必要と判断した検査は行なうべきですが、自ら過剰に検査を求めない方がいいでしょう。

  

  

▲都道府県別の犬・猫殺処分数

  

「その8:ペット殺処分数が世界一」・・・▲

  

ヨーロッパは少ないようですが、日本は年間10万匹に対してアメリカは300万匹という記事もありました。また犬肉を食べる中国・韓国にはデータがありません。

ちなみに日本の行政は、殺処分0を目指していますが、それに対する業務は動物愛護団体に丸投げしているのが実情です!!。殺処分0のドイツのように、見習うべきものはあります(ドイツにもマイナス面はあるでしょうけど)。

    

  

▲出典『「水道水が飲める国は世界で15か国だけ」→「日本は安全に飲めます」

  

冒頭の14項目の中で、私が最も腹正しかったのは、次の「その12」です。

  

「その12:水道水の塩素濃度が世界一」・・・▲

世界一かどうかはどうでもいいです。

安全に飲める事に感謝できませんか!!、先進国も含めて世界で水道水を安全に飲める国はたった15か国、水道水を飲める事は当たり前ではないんですよ。

日本も第二次世界大戦後までは、下水道だけでなく上水道ですら十分な整備がされておらず、非常に不衛生な国だったんですよ。

  

何がそんなに不満なんでしょう?、なぜ無理やり「世界一」を探してきて、文句ばかり言わなきゃ気が済まないのでしょうか?。大規模災害の被害者になってみればわかります。普通に水道水を飲める事がいかに素晴らしい事なのか。

もしかしたら、元記事は浄水器の宣伝でもしたかったのかもしれませんが。

  

  

「その13:家事・育児をしない夫の人数が世界一」・・・▲

こちらは不明ですが、世界的に育児時間が少ないのはおそらく事実でしょうから、こちらも、国が何らかの対策をしてほしいものです。尚、因果関係は不明ですが、父親が子育てに積極的に参加した方が、赤ん坊は健康に育つという分析もあるようです。

  

  

以上、確かに改めるべき項目はありますが、項目によっては、何を贅沢言ってんだ!!・・・とも言いたくなります。

  

農薬、食品添加物、遺伝子組み換えなど、リスク0にしたい人は、自給自足してください。ただし、街中の空気は排気ガスなどで汚れているので、リスク0にするため人里離れて行なってください。

世界で15か国しかない安全に飲める水道水に文句がある人は、山奥に住んで川の水でも飲んでください。ただし、山の水にも空気中のごく微量の放射能やPM2.5などが落ちてくるので、それらが0の場所を探してください。

電磁波が嫌ならば、山奥でロウソクを使って、テレビもスマホ、パソコンも一切見ないで、ひっそりと暮らしてください。参考までに書くと、人体にも微弱の電磁波が走っています。だから、心電図や脳波を検査する事ができるのです。

  

やたら「リスク0」にこだわる人って、「健康という名の病気」なのでしょう。

多くの日本人は、そんな事に神経質にならなくても世界的にも長生きしてますから。

  

▲出典『国別「銃による殺人事件・死亡事故が起こる確率」が発表される / 日本は1000万人に1人「落雷による死亡」と同じ確率

  

  

そもそも、他の国にもそれぞれの「世界一」があるんです。

冒頭の14項目の世界一は、日本のマイナス面だけに注目した「世界一」ですが、プラス面の「世界一」もたくさんあります。

  

例えば上の表は、「人口100万人あたりの銃による死亡率」です。

アメリカはダントツの31.2人に対し、日本は0.1人つまり1000万人に1人で、調査国の中で最低です。

  

  

あなたは銃社会のアメリカ人に生まれたかったですか?

先進国でもテロのニュースが流れる国に生まれたかったですか?

出生時死亡率がまだまだ高く、その結果平均寿命が50歳代の医療水準が低い発展途上国に生まれたかったですか?

あるいは、言論の自由が規制されている近隣国に生まれたかったですか?

  

  

私は、日本人に生まれて良かったと思っています。

私はこれからも、今ある事を当たり前と思わず、これからも感謝して生きていきたいと思っています。

  

(画像はネットより拝借)

  

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