ヨガによる高血糖患者へ及ぼす効果 | 総合診療医:誰もがわかりやすく医療を理解する事ができるブログ

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糖尿病患者に限った事ではありませんが、運動療法と言えば、通常「有酸素運動」と「レジスタンス運動(筋トレ)」があります。
  
ヨガと言えば、どちらにも属さない、あるいはパワーヨガのようにどちらにも属するものがあります。
今回は高血糖患者が、ヨガを行なう事で、どれだけの効果をもたらすのかを示した論文を2つご紹介します。
2つとも、ヨガの本場インドからの報告(英文)です。
  

  
論文-1:2011年報告
Effect of 3-Month Yoga on Oxidative Stress in Type 2 Diabetes With or Without Complications
  
① 対象
2型糖尿病患者(40~75歳)123例
・ヨガ群(60例):毎朝約60分のヨガを続ける
・対照群(63例):通常治療のみ
  
両グループとも糖尿病の食事療法と運動療法を続けてもらい、糖尿病治療薬や降圧薬は3ヵ月の研究期間の間、内容を変更しないようにした。
  
② ヨガのメニュー
・体位や身体姿勢のヨガ:35分、「山のポーズ」「木のポーズ」「バッタのポーズ」「牛の顔のポーズ」「三角のポーズ」「前屈のポーズ」など19のポーズで構成。
・呼吸:10分
・瞑想:10分
・実施前後に、それぞれ5分間のリラクゼーション。
  
③ 3ヶ月後の結果
・ベースライン時には収縮期/拡張期血圧、空腹時/食後血糖値は、いずれもヨガ群と対照群で有意差を認めなかった。
ヨガ群では空腹時血糖は145.8→131.4mg/dLと優位に減少。食後血糖値は216.0→196.2mg/dLへ減少。ただし、HbA1cは8.4→8.3%と有意差は認められず。
  
  
糖尿病の指標である「HbA1c」は、たった3ヶ月の研究期間では大幅な変動はありません。
もっと長期的に研究をする必要があります。
  

  
論文-2:2014年報告
A yoga intervention for type 2 diabetes risk reduction: a pilot randomized controlled trial.
  
「2型糖尿病リスクを改善するウエストの引き締めに、ヨガはウォーキングよりも有効な可能性がある」
  
① 対象
インド在住の空腹時血糖が100mg/dL以上の人41例で、対象期間は2ヶ月間。乱数を利用した無作為化試験で下記のように分けられた。
・ヨガ群(21名):ヨガクラス(マインドレクチャーを含め、1クラス75分)、週に3~6日
・ウォーキング群(20名):ウォーキング(30分、休憩を含め1回75分)、週に3~6日
  
② 2ヶ月後の結果
「ヨガ群」vs「ウォーキング群」
・BMI: -0.2±0.8 vs 0.6±1.6、p=0.05
・腹囲: -4.2±4.8cm vs. 0.7±4.2cm、p<0.01→有意差あり
・体重: -0.8±2.1kg vs 1.4±3.6kg、p=0.02
  
・優位差があったもの
腹囲:-4.2cm±4.8cm VS 0.7±4.2cm (p<0.01)
・優位差が認められなかったもの
食後・空腹時血糖値、インスリン抵抗性など糖尿病リスクに関する指標、心理的well-being(幸福)の変化
両群とも優位な減少が見られたもの
収縮期・拡張期血圧、総コレステロール値、不安・抑うつ・ネガティブな感情及び自覚ストレス

  
  
この結果は症例数が多いとは言えず、またこちらも期間が2ヶ月と短く、まだまだ未確定な部分が多いかもしれません。
  
どちらの論文も期間が短いため、論文としての力は弱いのですが、ヨガにもウォーキングにも良い部分があることがおわかり頂けたと思います。
  

  
~ヨガは自律神経のバランスを整えてくれます~
自律神経のうち、交感神経(アクティブ)は加齢で大きな変化はありませんが、副交感神経(リラックス)は男性が30歳、女性が40歳頃から徐々に機能が落ち始めます。
  
ヨガの動作は身体をひねるものが多く、腹囲の減少にもつながります。
また関節可動域を拡げる動作も多いので、怪我の防止にも繋がります。
  
またヨガで何と言っても大切なのは「呼吸法」です。
「鼻から吸って鼻からはく」呼吸が基本で、胸式呼吸ではなく腹式呼吸が勧められます。
呼気の際、臍下3cmの「丹田」に力を集中します。これも腹囲の減少にもつながりますし、リラックス効果が得られます。
  

丹田2

  
また激しい運動が苦手な人・できない人にも、ヨガはお勧めです。
  
私としては、街中を歩くと「女性限定」としたヨガ教室が多い事ことが残念です。
自律神経のバランスの崩れるのが早い男性にこそ、ヨガにチャレンジして頂きたいし、男性も含めたヨガ教室が増えてもらいたいと思います。
  
(画像はネットより拝借)

  

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