「フッ素」は危険? | 総合診療医:誰もがわかりやすく医療を理解する事ができるブログ

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「否定の極論」記事に疲れたあなたへ贈る:「食事」「睡眠」「運動」・・これら「健康の三本柱」をねじ曲げずにポジティブに考えるブログです。

歯科領域でよく用いられる「フッ素」という言葉から、皆さんは何を想像するでしょうか?。
特にFacebookから情報を得ている方々は、「フッ素=危険」というイメージを持つ人も少なくないと思います。
  
では危険か?危険でないか?というと・・・
  
フッ素は危険です!!
ただし・・・
  

 

フッ素5

 

  
ただし・・・
  
歯医者さんで使うフッ素塗布の綿球を、体重30kgの場合には60個以上を1度に使用した場合です!!!
  
尚、私は救急医であって、歯科医師ではありません。
このサイトの中に出てくる数値は、信頼できる歯科医師のサイトを参照にしております。
  
またこのブログは既に2ヶ月前に完成していましたが、お蔵入りするつもりでした。
その理由は最後に。
  

 

フッ素4

 

▲フッ素の効果
  
  
#フッ素の虫歯予防
① 歯の質を強くする。
② 虫歯の原因菌が酸を出すのを抑える。
  
⇒ この2つの相乗効果で虫歯ができる確率を減らし、更には出来てしまった虫歯の進行を抑える作用があります。
  

 

フッ素3

 

▲ご存知でしたか?、フッ素は食物中にも含まれています
  
  
それから、フッ素は世界的には次のような使い方もあります。
  
#水道水フロリデーション
これは、むし歯を予防するために飲料水中のフッ化物濃度を、歯のフッ素症の流行がなくむし歯の発生を大きく抑制する適正量(約1ppm)まで調整するという自然を模倣した方法です。
現状のむし歯有病状況を半分以下にするという効果が確認されております。
  
日本ではいくつかの自治体が準備段階に入っている程度で、まだ行なわれていません。
ですが世界の約60ヶ国、3億6千万人以上の人々のむし歯予防に役立っています。
米国では1万の地域の1億4500万人が利用しています。
  
世界保健機関(WHO)や米国疾病コントロール予防センター(CDC)及び世界中の各国歯科医師会など、国際的あるいは国家的な専門機関が保証しており、その普及を支持しています。
  

 

フッ素1

 

  
さて、皆さんが心配されるのは「フッ素の害」ですね。
  
このように適正な使用量を守れば、フッ素は虫歯の予防効果があるのですが、では実際にどれだけ使用すると危険領域に入るのでしょうか?。
  
#フッ素の中毒量
家庭で行なわれるフッ素洗口の場合、急性中毒を起こす量は2mg/kg、致死量は5g/kgとされています。
  
この量は200ccのカップに水で溶いで、それを間違えて飲んだとしても、フッ素量としては2.5mgです。
体重20kgの子供の場合、中毒発現の40mgには程遠い量です。
  

 

フッ素7

 

▲佐賀県は全国でフッ化物洗口の実施率がダントツ
  
  
#フッ素の代謝
フッ素は唾液中のカルシウムとあっと言う間にくっついてしまい、無害なフッ化カルシウムに変身してしまいます。
また、胃・小腸から吸収されたフッ素はの大部分は尿から排泄されてしまいます。
  
  
つまり必要以上のフッ素は、身体にそう簡単に蓄積できない仕組みなんです。
  
ちなみに3枚上の写真のように、飲食物では緑茶や、野菜、魚介類などにもフッ素が微量に含まれています。
尚、工業用に使われる特殊な薬品の中には、非常に危険なフッ素もありますが、歯科医師が入手できる方法はありません。
  
日本では佐賀県が、全国で一番「集団フッ素化物洗口」を実施していて、子供たちの虫歯予防に効果をしめしています(写真;↑上1枚、↓下2枚を参照)。
  

 

フッ素8

フッ素9

 

  
世界的に認められている「フッ素」ですが、そもそもなぜ、「フッ素の害」などの投稿が目立つのでしょうか?
それらの大半は、「フッ素」だけでなく、何でもかんでも否定したがるヒステリックな「極論」だと思います。
  
  
#バランスの良い投稿者と極論者の投稿の違い
  
① 主作用と副作用
・前者は主作用/副作用いずれにも注目して、結論を出す。
・後者はごくわずかな副作用のみに注目して、読む者を怖がらせつつ、アクセス増加やビジネスに利用する。
  
② データ
・前者は副作用の出現を具体的な数値で示す。また世界的に認められている論文・事例を示す事が多い。
・後者は副作用が完全に0でないと気が済まない。また論文を全く無視するか、自分たちにとって都合が良い論文しか示さない(場合によってはウソ記事もある)。
  
③ 聞く耳
・前者は間違いであれば、それを認める事ができる。
・後者は間違いであっても、それを間違いとは絶対に認めず、頑なに主張を押し通す。
  
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フッ素に限った事ではありませんが、毒性・副作用を語るサイトの多くは、「大量に摂り入れた場合」を前提に中毒などの話を展開しています。
  
繰り返しますが、フッ素の有効性はWHOやCDCなど世界が認めています。
一部の人が反対を主張しても、それは世界的には相手にされていない「お山の大将」です。
  
反対者は「陰謀」「利権」「金儲け」などの言葉で反発しますが、全く根拠のない場合が多いです。
そもそも一般人にわかる「陰謀」なんて、「陰謀」ではありませんから。
  
フッ素は上の写真で示したように、飲食物の中にも入っています。
では、フッ素否定者はそれらを避けているのでしょうか?
もし避けていないとすると、理由は「含有量が少ないから」でしょうね。
  
そうなんです。
確かに歯医者さんで使用するフッ素は、もちろん飲食物に含まれるフッ素より多いのですが、「適量」なんです。「多量」でないから大丈夫なんです。
フッ素がどうしても「0」でないと気が済まなければ、乾杯の時にビールは飲めません。味噌汁も飲めません。

  

我々は歯科で使用されるフッ素よりも、牛肉に入っているフッ素の方がはるかに多く摂り入れているのです。

ちなみに牛肉のフッ素は「天然もの」でありますが、歯科で使うフッ素は「ほたる石」という天然の石から生成している「天然もの」です。

    

 

   
最後に私がこの記事をお蔵入りしようとした背景です。
  
フッ素に関しては一部の歯科医ですら反対しています。
そしてフッ素の否定記事を読んで、私自身どう判断すべきか迷うものがありました。今でも迷う記事を目にします。
フッ素に関しては、科学者たちの論文を信頼するしかないと思います。
  
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お蔵入りするつもりのブログでしたが、原点に戻って発信する事としました。
ワクチン否定記事にしてもそうですが、あまりにも偏り過ぎる記事は原則として無視する事としました。
大半の記事が、最初から否定するために、「相関関係」と「因果関係」を無理矢理結び付けているのです。
  
その記事の中には、嘘を流したり、無理矢理フッ素を何かのマイナス要因を関連付ける事も多々あります。
果たして、それって上の写真のように「相関関係はあっても、理論も伴う因果関係がある」と言えるのでしょうか?
  
「相関関係」「因果関係」という意味がわからない方は、次のブログをご覧ください。
⇒ 『マーガリンを使うと離婚の危機!?
  

 

  
最近では、歯周病が多くの病気の原因となる事を、多くの歯科医が発信しております。
「全て」というのは、言い過ぎではないかと思いますが、予防歯科も病気の予防に大切である事には違いありません。
  
皆さんも、くれぐれもあまりにも一方的な極論記事で騙されないように、注意して情報を取り入れるようにしてください。
そして病気だけでなく、歯周病の予防(基本は砂糖摂取をできるだけ減らす事)にも努めるようにしてください。
  
(画像はネットより引用)