インド人もビックリ 二桁の掛け算(2) | H.YAMAMOTOのブログ

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元理系教員です。現場では子供たちといろいろな実験、色々な授業をして楽しんできました。扱った内容の多くはその時々の話題や自然現象・技術。受験指導は退職するまでほとんどやりませんでした。その意味で、子供たちに迷惑をかけたかもしれません。後悔はしてません。

 

ダイアモンド オンライン より、

インド式計算法で大きな数の2ケタどうしのかけ算を瞬時に解く方法

(https://diamond.jp/articles/-/326906)

 

 実はインド人じゃなくて、ビックリするのは日本人なんだけど、11×11~99×99までの掛け算の総数は、

      99 ― 11 +1= 89・・・・・11から99までの数字の数

            89 × 89 = (90 ― 1)×(90 ― 1)・・・・・中学生なら解るよね

=90×90―2×90+1・・・・・上の式を展開

=8100―180+1=7921

だけど、掛ける数と掛けられる数を入れ替えても、掛け算の答えは同じだから、11×11~99×99の同じ数字の掛け算11×11・・・・99×99の掛け算の列の上側と下側の答えは同じものが2個ずつあるのが解るよね。だから、 

 11×11・・・・99×99 の数を数えると、99 ― 11 +1= 89 だよね。

89 × 89 =7921

そこで、7921 ― 89 = 7832 そして、2で割れば7832 ÷ 2 =3916になります。

あとは、3916 + 89 =4005・・・・・こんなに憶えてるの???

 

ホントかな と、試してみました。 今回は“試した編”なのだ

 簡単になるかもしれないと、いろいろ計算する前に、掛ける数と掛けられる数の数字の種類分けをしました。まずは単純なものからね。 

これから 2個の数字をアルファベットで、a b c d とか書くことにします。

[数字を1個]

・    aa × aaのとき たとえば 66×66 みたいなとき

aa × aa = (a×10 + a)×(a×10 + a)

     = a×a×100 + 2a×10 + a×a

     = a×a×101 + a×20・・・・・このときは、101と20を使う

 

   具体例を見て、気が付いた人、絶対いるよね。

             66×66 = 66×(60 + 6) = 3960 + 396 = 4356

 

[数字を2個]

・    aa × bbのとき たとえば 33 × 77  みたいなとき

aa × bb = (a×10 + a)×(b×10 + b)

         a×b×100 + 2×a×b×10 + a×b

         a×b ( 100 + 20+ 1 )

         121×a×b    ・・・・・このばあいは、121 を使う

上の計算は 自分でやってみて! 計算器で確認ね。

 

   具体的に計算してみると、 一の位は足して 10 。これ使えるよね。(別の方法)

           33 × 77 = 2100 +210+ 210 + 21 = 2541 

第一項~第三項に注目 これを使うと、

44 × 66 = 2400 + 2×240 + 24 = 2880 + 24 = 2904

  もう一度、足して 10 にならない場合は

           99 × 22 = 1800 + 2×180 + 18 =2160 + 18 = 2178

 

・    ab × ab のとき たとえば 12 × 12  みたいなとき

ab × ab = ( a×10 + b)×( a×10 + b)

         = a×a×100 +a×b×10 + a×b

         = a×a×100 + 21×a×b・・・・・このばあいは、×100 と×210

 

   具体例を見て、気が付いた人、絶対いるよね。これは 左から積み算!

            12 × 12 = 120 + 24 = 144

 

・    ab × ba のとき たとえば 12 × 21  みたいなとき

ab × ba = (a×10 + b)×(b×10 + a)

         = a×b×100 + a×a×10 + b×b×10a×b

     = a×b×101 + 10 ×(a×a + b×b)

       

  

具体例を見て、気が付いた人、絶対いるよね。積み算を左から掛けると、

12 × 21 = 12 × 20 + 12 × 1 = 240  + 12 = 252

 

[数字を3個]

・    ab × ac のとき たとえば 73 × 76  のような場合

ab × ac = a×a×100 + a×(b + c)×10 + bc

             = a×a×100 + a×b×10 + a×c×10 + b×c

             a×a×100 +(b + c)×a×10 + b×c

 このときは b + c =10 だと楽になるけどね。

 

 

展開式通りにやれば、

  73 × 76 = 4900 + 630 + 18 =5748

 

一の位の和を 10 にして計算すれば、

  74 × 76 = 4900 + 700 + 24 = 5624 ・・・これ、7×(7+1) =56

 

 この理由を説明できるかな??? 

(ダイアモンド・オンラインの記事はこれなんだけど、この裏技を自分で見つけられたら、君を尊敬します)

 

・    ba × ca のとき たとえば 52 × 62 のような場合

ba × ca = ( b × 10 + a)(  c ×  10 + a)

         = b × c × 100 + a × c ×10 + b ×a × 10 + a × a

         = b × c × 100 + a ×(c ×10 + b×10 + a)

 計算上は こうなるけど、こんなのを憶えても・・・

 

具体例を見て、 52 × 62 = (50 + 2) × (60 + 2) と計算するのが楽かな。

ちなみに、十の位の和が 10 のときを、計算してみよう。

        32 × 72 = 2100 + 200 + 4 = 2304

 

・    aa × bc のとき たとえば 44 × 26 のような場合

aa × bc = (a×10 + a)×(b×10 + c)

         = a×b×100 + a×b×10 + a×c×10 + a×c

         = a×b×100 + a×(b×10 + c×10 + c)

計算上は こうなるけど、こんなのを憶えても・・・

 

具体例を見て、一の位の和が10 になっているから、

    44 × 26 = (40 + 4)×(20 + 6)

             = 800 + 240 + 80 + 24 = 1120 + 24 = 1144

 一の位の和が 10 でない場合も、あんまり 関係ないね。

      44 × 27 = 800 + 280 + 80 + 28 = 1188

 こうなると、積み算で計算するのとあまり変わらないね。

 

[数字を4個]

 

・    ab × cd のとき たとえば 73 × 56  のような場合

ab × cd = (a×10 + b)×(c×10 + d)

             =(a+c)×100 +(a×d+b×c)×10+b×c

計算上は こうなるけど、こんなのを憶えても・・・

 

 具体例を計算してみると、

    73 × 56 = 3500 + (42+15)×10 + 18

             = 3500 + 570 + 18 = 4070 + 18 = 4088

 ちなみに、

    73 × 56 =(70 + 3)×(60 ― 4) = 4200+180-280-12

 と計算するほうが楽かな! この考え方は「さくらんぼ計算」のやり方だよね。

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 「さくらんぼ計算」「おみやげ算」については、インターネットにいっぱい出ていますから、興味があれば探してください。内容を理解して、どうしてそうなるのかを考えてから使ってください。

 

①   ここでは、二桁の掛け算を 積み算から横に並べて書いていく(展開式)で書いてみました。これを繰り返したら、中学校で習う文字式の展開方法と二次式に、自ら気づくことが出来るでしょう。自分でやってみて、新発見するのです。

②   その上で いろいろな条件の場合のやり方を工夫します。小学校四年生なら素数の積にする方法を学習します。素数の積に書き換えれば計算が楽になる場合。

③   一の位を 0 にする方法。 一の位の数の和が10になるとき。

④   ×121 ×101と20倍する方法・・・それぞれ工夫をして、手抜き工事をしましょう。

 

他人に この計算をやってみたらと勧めた以上、私も考えてみました。計算器という便利な道具がある時代ですから、大人が 今更、計算を考える必要はありません。

 

小学生・中学生の皆さんは 基本を憶えたら、それに慣れてからは それを工夫すること。 出来れば 簡単なやり方とか、楽なやり方は無いかを、考える習慣を身につけて下さい。それが教育の本質なのです。どの教科でもそうだよ。別の方法・別の考え方を考えること。これは受験教育の為ではありません。考えて工夫することが生きていく為の最大のスキルなのです。失敗は何度しても構いません。次に失敗しなければ それで良いのです。これは けっして、お受験のための記事ではございません。