歴史の授業でタイトルだけは覚える「日本書紀」。
「古事記」とセットで覚えますが、どちらも当時の歴史書。
違いは知識人向けか庶民向け、と習った気がします。
荒唐無稽な神話と思うこともありますが、神代の天皇に関する記述などは辻褄合わせが大変だったろうなぁと思ったりしたものです。
ですが長寿であることが稀であるならば知識を備えた老人が畏怖されることは想像に難くなく、常人と少し違う人が尊敬され現人神として崇められたんだろうなぁと思います。
そしてそれを利用して政治を行っていく。
天武天皇と持統天皇は仲睦まじい(あるいは同じ目的を持った同士的な結びつきが強い)と信じていましたが、どうやら違う感情があったという視点で分析された本書は目から鱗。
そしてそこには藤原氏の影が…。
鎌足から不比等になにが伝えられたのか、そのためになされたことは何なのか。
文字で伝えられたものは正しいというか、正確だと思い込んでしまいますが、政権が変われば焚書の憂き目に合うので口伝こそが事実を正しく伝えていて、どんなに政権がそう導きたくてもそうではなかった事実を口伝で伝え続ける一族が存在するというところは、民間伝承の聞き取りなどフィールドワークの奥深さと、まだまだ歴史は探求するところがあるなぁと思いました。