パートタイマーに対する待遇等の説明義務 | 静岡県三島市の社会保険労務士 ひるみ人事サポート 蛭海直隆

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このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

 

<総務部長>

先日入社したパートさんに「私の時給はどのようにしたら上がるのですか?」と尋ねられました。当社では、正社員の昇給時期に、勤務成績が優秀なパートさんについて個別に時給を引上げているのですが、このような説明をする必要があるのでしょうか。

<社労士>

はい、パートタイマーを雇ったときには賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用などについて、説明する義務があります。例えば「給与はどのように決まるのか」ということや「どのような教育訓練を実施しているのか」等です。

<総務部長>

そうなのですか。どのような方法で説明するのでしょうか。

<社労士>

口頭で行うことが原則ですが、説明すべき事項が漏れなく記載されていて、容易に理解できる内容となっていれば、文書を交付すること等も認められています。

<総務部長>

なるほど、わかりました。一度まとめて、パートさんに渡せるようなものを作ってみます。

<社労士>

これ以外にも、「正社員への転換制度にはどのようなものがあるか」といった質問が寄せられたときにも、説明をする義務があります。

<総務部長>

当社では、勤続3年以上の者で、本人が希望し、上司からの推薦があるときに正社員登用試験を受けることができるので、この内容を説明することになりますね。

<社労士>

はい、そうですね。また、大企業では今年4月から、中小企業では来年4月から、正社員と非正規社員の不合理な待遇差の禁止(いわゆる同一労働同一賃金)が始まります。これとともに、非正規社員に対する待遇に関する説明義務が強化され、非正規社員から求めがあった場合には、待遇差の内容や理由を説明することが義務となります。

<総務部長>

パートさんから「正社員には通勤手当が支給されるのに、私には支給されないのはなぜか?」という質問に答える必要があるということですね。

<社労士>

そうですね。正社員と非正規社員の不合理な待遇差の是正はもちろん、これに加え非正規社員から説明を求められたときに対応できるよう、いまから待遇差の整理と必要に応じて是正をし、説明できるように準備しておきましょう。

 

【ワンポイントアドバイス】

1. 非正規社員の雇入れ時には、賃金 、教育・訓練、福利厚生施設の利用など雇用管理上の措置の内容を説明する義務がある()

2. 非正規社員から求めがあったときには、待遇差の内容や理由を説明する義務が今後課せられる。

3. 説明は口頭で行う他、文書を交付することも考えられる。

※フルタイムの有期労働者についても同一労働同一賃金の施行時期に義務化される。