新自由主義(市場原理主義)は「征服の武器」(ジャン・ジグレール『私物化される世界』) |   「生きる権利、生きる自由、いのち」が危ない!

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徳冨蘆花「謀叛論」を再発見してたら、
「ソクラテスの弁明」が、なぜ好きなのか、最近になって納得し始めた今日この頃です。


 元ジュネーヴ大学 社会学教授ジャン・ジグレール
(ツィーグラー:Jean Ziegler)氏による著書に、
私物化される世界(邦題)』 (阪急コミュニケーションズ)
という本があります。
その本の第一部
グローバリゼーション――歴史と構想」の
第三章には、
支配者のイデオロギー」という表題が、
(かか)げられています。
 
 なぜ「グローバリゼーション」というテーマで、
「支配者」という言葉が出てくるのでしょうか。
 マスコミに洗脳され続けてきて、
世界情勢オンチである私たち日本人には、
「グローバル化」「支配」とが繋(つな)がることは、
寝耳(ねみみ)に水なのではないでしょうか。
 
 そうした了見(りょうけん)の背景には、
著者の次のような理解や認識があるようです。
 
 「国連開発計画(UNDP)」によれば、
20億人以上が『絶対的な貧困』下で暮らしている。」

 「方程式は簡単だ。
金のある物は食べて、生きる
金のない者は苦しみ、病んで、障害者になるか死ぬのである。」

 「これら20億人の生殺与奪権を握っているのは
グローバル化した資本の首領たち
だ。
彼らは、その投資戦略、通貨投機、
彼らの結ぶ政治同盟によって、
毎日この地球上で誰に生きる権利があり
誰に死の宣告を下すのかを決定する。」
 「1990年代初頭以降、
寡頭制によって打ち立てられた
世界規模の支配と搾取のシステム
の特徴は
極端なプラグマティズムにある。
・・・敵対するグループが内部で相争い、
頑固な競争思考がシステム全体を貫いている。」
 「彼らの武器は、強制合併、敵対買収
寡占ダンピング価格による敵の殲滅(せんめつ)
または個人的な中傷キャンペーンなどだ。
殺人は比較的まれだが、
場合によっては首領たちは それさえ辞さない」
(p.14~15)

 「彼ら[支配者]の行為のイデオロギー上の指針は
無難な名称をもっている。
[それは]「ワシントン・コンセンサス」という。・・・

  『コンセンサス』は一九八九年に、
(当時は国際経済研究所員で、現在は)
世界銀行の上級エコノミストで副総裁の
ジョン・ウィリアムソン
によって定式化された。
・・・・彼らの狙いは
あらゆる――国家であれ、非国家組織であれ――
規制当局を可能なかぎり迅速に解散させること
あらゆる市場商品資本サービス特許など)を
可能なかぎり迅速に自由化すること

そして、
国家なき世界統治
(stateless global government)という合言葉のもとに、
統一的で自己調整する世界市場をつくりだすこと
である。」

 「ワシントン・コンセンサス世界の私物化目的とする

この合意は以下の原則に基づずいている。
  
 1.債務国においては、税制改革
二つの観点から見て必要不可欠である。
すなわち、
金持ちの投資をさらに促進するために
最高収入所得の税負担を引き下げること
および納税義務者数を拡大すること
はっきりいえば、税収総額を高めるために
貧乏人に対する税制上の優遇措置を廃止すること

 2.金融市場を可能なかぎり迅速に、
完全に自由化する

 3.国内外の投資の平等な扱いを保障すること
これは・・・対外投資量を増やすためである。

 4.公共部門可能なかぎり広範に壊滅させる
特に、国有および半国有のすべての企業
民営化する

 5.様々な経済諸力のもとでの
自由な競争を保障するために、
該当する国の国内経済の規制
きわめて広範に撤廃する

 6.私有財産の保護強化する

 7.可能なかぎり すみやかに
貿易関係の自由化促進する

年々関税を引き下げて
最終的には10パーセントにする。

 8.輸出による自由な貿易が促進されるので
輸出可能産品の経済部門の発展を
優先的に支援する
[引用者註:つまり輸出の主力となってくれる産業分野を、
政治が優先的に支援するようにすること。日本でいえば、
トヨタなどクルマ産業とかソニーとかを、
政府が優先的に支援するような事]

 9.財政赤字の制限。・・・・・」
(p.55~56)

こうした原則を見てみると、
1998年からの日本の「構造改革が、
ワシントンコンセンサスと酷似であることに、
驚かされます。

また更に、政権交代が起ころうとも、
菅および野田政権がこの路線であること

そして、「
TPP」の事が、あたまを掠(かす)めます。

金融などに対する規制撤廃自由化

そして貿易などの関税な国内保護規制
撤廃や自由化

グローバル経済の支配者あるいは首領たち
なぜ求めるのでしょうか

 それは簡単です。
かかる国の保護規制が外されて、
好き勝手自由にその国に参入できるようになれば
世界的なトップ企業の資本力や規模を前にして
太刀打ちできる企業など、
その国には居ないからです。
 そうしてその国の企業を買収なり吸収してさらに大きくなっていくのが、目に見えます。

そうして、様々な国の業界を席巻してきた
世界のトップ多国籍企業の肥大ぶりを、
ジグレール教授は、
つぎのように教えてくれています。

世界で最強の多国籍企業100社
個々の売上げは
120の最貧国の総輸出量を上回る

 
最強の多国籍企業200社
世界貿易の23パーセントを支配している」と。

ワシントンコンセンサス」の1番目である、
「債務国においては、
税制改革が二つの観点から見て必要不可欠である。

すなわち、
金持ちの投資をさらに促進するために
最高収入の税負担を引き下げること

および
納税義務者数を拡大すること

はっきりいえば、
税収総額を高めるために
貧乏人に対する税制上の優遇措置
廃止すること
は、
いわゆる「税制のフラット化」を意味し、
いまの野田政権も
そして政権交代までの自公政権が敷き
進めてきた不公平税制そのものでは
ないでしょうか


持ちや大企業を優遇しつつも
中小零細企業庶民からは
より広く容赦なく税金を掠(かす)め取り
納税義務者を拡大したり、納税機会を拡大するつつも、
社会保障(を必要としている人)への支出
削減する
貧乏人に対する税制上の優遇措置を廃止すること)。

税と社会保障の一体改革」とは、
なるほど「構造改革」と同じく、
「国民のための善良な改革」
とは言っていません
構造改革」と同じく、
格差を拡大するための改革
という言葉の綾(あや)の匂いが、
私にはプンプンします。

橋本政権から始まり、小泉政権で極められ、
いまの野田政権(また橋下市長)も、
その延長線上にある「政策路線」は、
日本では、
どういう包装パッケージで包まれようとも

それは、
私物化されるためのワシントン・コンセンサス
でしかない
だ、と私たちは、
今後は冷静に見つめることが出来るのでは
ないでしょうか。

ワシントンコンセンサスという、
新自由主義市場原理主義経済学の理論
をベースにして、
アメリカ政府IMF世界銀行などの国際機関が、
世界中に押しつけてきた政策は、
ジグレール教授によれば、
グローバル化した世界における支配者たちが

世界を私物化するための政策である

といいます。

そして、
その「ワシントンコンセンサス」という政策の、
理論的根拠とされてある「新自由主義」を、
ジグレール教授は、
世界的なフランス人社会学者であった
(故)ピエール・ブルデューによる定義をもって
表現しています。

ネオリベラリズム(新自由主義[経済学])は
征服の武器である
・・・ネオリベラリズム(新自由主義)
エイズ
のようなものだ

それは[ネオリベラリズムの]
犠牲者の免疫システムを破壊する」という定義を。

世界の私物化
それを根拠づけるネオリベラリズム(新自由主義
=市場原理主義)のイデオロギーの影響の下で
社会は少しずつ死んでいく


そのイメージをアラン・トゥレーヌは鋭く描き出す。
グローバル化した地球規模の市場
その周辺に成立するアイデンティティーを求める
無数の運動の間には、
大きな暗い穴が口をあけている。
この穴の中では、共同意思、人民、国家、諸価値、
公衆道徳、人間関係などが、一言でいえば、
社会が消え去ろうとしている』。」

「[
ネオリベラリズムの]その理論が 
いかに機能し
誰がそこから利益を得
誰を搾取し
誰を殺し
いかに環境を汚染し
結局は、誰をペテンにかけるのかも 
あきらかにするだろう・・・」(p.62)



原発再稼働原発輸出、TPP、消費税増税
(その一方では大企業を優遇したままの
不公平税制については、改革する気配ナシ)
のどれにも
、「経団連」が絡んでいます。
野田政権は、国民無視どころか、
民を
経団連やアメリカのハゲタカ外資や多国籍企業の
犠牲にすることを厭(いと)わない
姿勢で、
そうした経団連 のほうを向いた政権運営を
展開しています

 その点からいえば、政府あるいは内閣は、
経団連に私物化されているかのようです。
 
しかし、もし、そうだとすれば、
なぜ経団連による政府の私物化現象が
起こっているのでしょうか


  さらに、そればかりでなく、その一方で、
私たちは、
関岡英之氏による『拒否できない日本』や
『国家の存亡』のおかげで、
アメリカ政府から日本政府に突き つけられる、
『年次改革イニシアティブ』などの<対日要求>を、
1990年代から、日本に実現してきた、
という悲しい事実を、知ることができました。
 
日本政府は、
アメリカ(のハゲタカ外資や多国籍企業)>と
日本国内の<経団連>とのための政府として、
私物化されてしまっている、と言って、
過言ではないでしょう。

しかし、何故そうした私物化が、
可能あるいは実現化しているのでしょうか?

この問題は、
これからのこのブログの当面の命題となるでしょう。

(つづく)
<参考動画>
エコノミックヒットマンのジョン・パーキンス氏の暴露
エコノミック ヒットマン Democracy Now !
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=v8Xsz62O-fU

初めて実行員が暴露した、
アメリカの国際陰謀・工作秘史

https://www.youtube.com/watch?v=BhfCgO0ItY8&feature=player_embedded

(※ 2012年9月30日現在、URL表記紹介での動画は、
2012年著作権法改正」(2012年10月1日施行)の
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