俺の技術を見てみろ(第15回) | 子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

今日は、猛暑で朝から37℃越えの警報が出でいます。

控えめなクーラーの部屋ですがゆっくり休めたようで、6時半の起床にみんな起きてきました。

 

今日は、産卵予定日です。暦的にも大潮で、産むなら今日だと思っています。昨夜の観察では、どうも今年は兆候はなさそうで、半ばあきらめムードです。

先ずは、朝食を済ませT研究員が来るのを待って、産卵床を覗くことにしました。

 

No1から順にチェックしていきます。卵なし。スタイルが元のように戻り、吸血しに出できた。次の瓶は、腐敗臭がする。死んでいるみたい。ウーーーん。次は、見えるところにいない。中にもぐってくれていたら嬉しいが‥‥。その次は、・・・・という風に調べてみて、朝のチェックでは産卵は見られずでした。

1時間程度の観察時間でした。

 

もう一つ観察しないといけないのが、御在所と藤原の棲みやすさの違いを調べるものですが、昨日個体数を30匹に減らして実験を再開したので、今日は落ち着いて対応できてとても数えやすくなりました。

やはり、石灰層側に多く集まります。もともと御在所で捕って来たヒルなんですが、藤原の方に魅力を感じているようですね。

 

これも観察としては10分もあれば終わるので、今日は暇な一日のように思われます。でも、この観察をしないことには、研究にはならないので何度も一服を繰り返しながら、だらだらとやっていました。

 

午後は、久しぶりに課題のある解剖をやってみました。

その課題は、口の部分を縦に切り開いて、のどの所に食道と嗉嚢に入る管の切り替えが付いていないか見てほしい、というものです。

つまり、私たちの咽頭には食物と呼気を切り替える装置が付いているわけですから、それと同じような働きをするものがあるはず、という私の話を信じて頑張ってくれました。

何時もは頭の先端にピンを指すのですが、今回は口の少し下の所を狙いました。

 

T研究員は、とても燃えていて1時間くらい一言もしゃべらず集中していました。

そして、「先生、これ見て」と持ってきたのが、口の部分を切開したもの。

実体顕微鏡でテレビに投影すると、何と口の様子が大写しされました。とてもうまくピンが刺せたので、口を正面から撮影することが出来ます。以前から私がみんなにお願いしていたもので、大感激です。

中央に空いているのが、食道です。いつもここに注射針を入れて内臓の実験をしているのですね。

Y字の葉のようなものがはっきり見えます。白いすじのようなものが硬い歯茎のようなもので、これで皮ふをひっかいて出血させて、吸血します。吸血する部分がよく分かるのは次の映像です。

周囲のカルデラの山に当たるところが、吸血用の吸盤です。ここで吸いついて、体重の25倍くらいのものを持ち上げるあのすごい力を発揮します。

チョットY研究員に悪戯心が出て、注射器でこの口の所に水を付けました。すると、

何度かに分けて水を飲んでいきました。動画がありますが、アップは無理です。

これを見せてくれたT研究委の腕はすごいです。今まで、6年間も待ってやっと見ることが出来ました。ありがとう。

いままで、NHKさんが撮られた写真で見ただけでYの字になっているというのは、自分で確認してないので、ちょっと後ろめたさがあったのです。これで自信を持って、間違いありませんといえます。

 

ごろごろとした研究日でしたが、最後に素晴らしい成果をみせてくれました。よかったぁ。今日は、これだけで満足だ。