ヤマビルの解剖をしていて、消化管がどれだかよくわからない。いろいろ筋があり、果たして・・・・、
そこで思いついた方法は、口からインジェクターを使ってインクを押し込み、そのあと解剖すると、インクに染まっているのが消化管ということだ、というはなしで、前回やってみました。でも、青インクを使ったので、よくみえなかったのです。
そこで今回は、牛乳を注入することにしました。
ボランティアのS君が、手先が器用なので、注入役を引き受けました。
0.5ccほど入れたら、膨らんで、こんな形になりました。
それを解剖しようということになり、とにかく解剖台に張り付けました。
そして、解剖の名手になったO研究員が執刀しました。
メスが入った途端、チョコレート色をした液体がドロッとでできました。みんな、思わず息をのみました。
たぶんヒルの中に残っていた血液と注入した牛乳が混じりあっものと思われます。
その液を吸い取って、詳しく見てみたら、
白くなっている部分を見つけました。
この向かって左端のところが口です。そして、右に向かってぷっくり膨れていますが、ここに牛乳がたまっています。その隣の、丸いものは「膣」です。そして、中央付近を見るとくねくね曲がったパイプのようなものが見えますが、それも膨れています。
更に詳しく調べようともう一匹犠牲ヒルを作りました。
解剖顕微鏡で覗いてみると、こんな感じです。
右下が口です。上のほうに消化管が伸びているのがわかります。確実に、膨れていました
これで消化管の位置が見当つきました。
それで、このオペしたものを乾燥させて標本にしました。体が透けて見えるので、ガラス越しに観察すると、消化管がきれいに見えました。
中央に走る白い線が、消化管です。
向かって左が口ですが、そこを見てみると、
口からつながる消化管がよく見えます。
後部も見てみてみます。
肛門を探すために吸盤を切り取りました。
すると、中央付近に膨れた部分がありますが、これが小腸に当たります。その小腸のすぐ左側にある小さな膨れが胃です。また、ちょっと見にくいですが、切り取った吸盤のところにある膨らみは、直腸に当たります。
すごい、これで消化管の全貌がわかりました。
さて、そうなると、直腸あたりがかなりしっかりした器官であることから、ヒルは、ミミズと同じような食餌形態ではないかと考えられます。食事担当の研究員の課題が見つかりそうですね。
今日は、消化器外科の巻きでした。次回は、産科の領域の予定です。