朝は、日の出とともに起きるのが、ヒル研流。でも、5時の日の出なので、50分だけサービスして、みんなを起こしたのは、5時50分。眠い目をこすりながら起きてくると、さっそくジョニーと一緒に散歩に出かけました。朝の空気を胸いっぱいに吸い込んできます。
その間に、ポッサムはみんなの朝食の準備。きょうは、ちょっと気取って、シリアル系の朝食にしました。
後片付けを急いで、昨日のまとめを書く時間をとりました。そして、ヒルを大きな容器に移す作業もしました。その時です。
Y研究員が、ヒルのおなかを強く押したら、なんと口から黒いドロッとしたものを吐き出しました。
これは、血液なのかと指で押してみましたが、そうではなくて、糞のようなものでした。
にわかにいろめきだったのは、まずジョニーさんでした。なぜなら、彼は、いつもヒルの食料が血だけというのはおかしいと主張していて、絶対ミミズの仲間なので、腐葉土を食べているというのです。
でも、今まで、そのように思っていても、何の物的証拠もなかったのですが、もしかすると、今回のこの黒いものは、腐葉土を食べたものではないかということになりました。
調べる手段もないので、この研究はお預けですが、何かいい方法を見つけてみたいです。
さて、昨夜の食餌実験ですが、まず、牛乳を飲んだヒルは、4匹中2匹でした。
たまたま飲んだのか、好き嫌いなのかヒルに聞いてみないと分かりませんが、もし、今後再現実験をしてたくさんのヒルが食餌行動をとれば新たな発見です。
次に、肉汁を飲ませました。これは文句なしに、どのヒルも血液の時と同じように飲みました。掃除機のように底に垂れ流れている肉汁を、吸い取っていきます。見る見るうちに体が膨れて、つやつやしてきます。
このつやつやは、吸血の時水分だけを体外に排泄したものが光っているのです。ですから、確実に吸っていることが分かります。
最後は、本日の目玉実験です。
肉屋さんでもらってきた冷凍の豚のレバーを使います。半日かけて自然解凍したものを、肉汁をできるだけつけないようにして、中央部をレバ刺しのように切り出したものを使いました。
それを皿に乗せて4人の研究員がそれぞれ1~2匹ずつヒルをくっつけてみました。
その結果、
全部のヒルが、最初しみ出てくる血液を吸っていましたが、だんだんレバーの中に頭を突っ込んで、吸血していました。
写真ではうまく撮れませんでしたが、ヒルが吸い付いているところから中央部にかけて、赤みがなくなっている部分ができてきました。その部分の血液が、ヒルによって吸い出されたと考えられます。
いずれにしても、ヒルは、肉そのものを食べることはありませんが、その中に含まれている血液を吸い出しているのは、確認で来ました。
今までの定説は、生きた動物の血を吸うということでしたが、死んだ動物の肉片からでも血を吸うことが分かりました。
昨年度、解剖されたヒルに偶然別のヒルがやってきて、解剖された内臓にヒルが吸い付いているのを発見してびっくりしたのですが、その時から継続している実験です。
これらのことから、ヒルが頭に持っていて食餌かどうかを判断するセンサーは、少なくとも血液かどうかを見分けていると考えられます。その中心になっているのが、ヘモグロビンを感知するセンサーではないかと、考えています。
これも、今後の研究ということになりますが、技術的に私たちの持っているような機材では限界かなと思います。