ヤマビルの解剖 | 子どもヤマビル研究会

子どもヤマビル研究会

2011年から市内の小中生とともにヤマビルの生態研究をしています。「ヒルは木から落ちてこない」の著者です。

宿泊研究日の朝は、5時40分起床。ジョニーと研究員は静かな自然が残る田園地帯を早朝散歩に出かけました。ボランティアとポッサムは、みんなの胃袋に入れる朝食を準備しました。

今日は、オペの日ですからみんな気合が入っています。朝食を済ませて、予定より早く実験体制になりました。


前半は、いつもと同じ方法で自分で確認しながらオペをしました。初めての研究員もあるので、上手な子がいろいろ教えながら、進めました。

資金難の研究会には高価な実験道具がありませんので、今年は県立高校の協力を得て、解剖顕微鏡と実体顕微鏡をお借りしました。そのおかげで、いろいろ新しい発見ができました。



昨日の吸血があまり強烈な印象だったので、最初から開いたヒルにヒルを吸いつける検証をする研究員もいました。

このことは、去年偶然見つけて、時間切れで確かめなかったものです。今年は、最初からそれをする研究員もいました。



下側から吸い付いているのが、ヒルです。見にくいですが、中央にもう一匹乗せてあります。

別に共食いではないのですが、吸血しています。

これで、『血圧がある程度高い生きた哺乳類の血を吸う』という定説は覆されました。

これも大発見なんです。



口から入った血は、どこに入るのかをずっと考えている研究員Oは、今回も、口のところまで切り開いて、口とのつながりを気にしていました。彼の頭には、人間のように口から食道があって胃へ入っていくというプロセスを考えているようです。でも、それがなかなか見つからないのです。



次回くらいに注射器が届くので、口からインクでも流し込んで、血の行方を調べたいと思います。


少し休憩をしました。みんなものも言わずにオペに集中していました。


後半は、今までは背開きをしていた。でも人間のオペを考えてみても背開きはしない。だから、今度は腹開きをしようということになり、ヒルの腹を上にして固定するのは大変な苦労です。大奮闘して、できた子からオペを開始しました。




腹開きをしてレンズをのぞいた途端、今までとは全く景色が違うものが見えました。背中側からは、何か膨れたものがあるというような感じでしたが、今度は、消化管のようなものや心臓のようなものがあるのです。

これが何かというのは、簡単にはわかりませんが、とにかくびっくりしました。

去年は、ヒルのおなかは単に袋になっていて全体が胃のようなものだろうと言っていたのですが、違います。

この写真の中央に小豆粒くらいに見えるものがあります。これが去年心臓ではと騒いだものだろうと思うのです。

とにかく、あまりにもたくさんの調べるものがあり、次回以降にしようと思います。


最後にY研究員がナイフを入れそこなって首を切り落としました。残酷と言わずにすぐ口を見る資料にしました。小さい頭を上向きに固定するのは至難の技でしたが、そこはポッサムの腕の見せ所、うまく立ちました。

最初 X10 で見ました。口の様子は見えたのですが、



X20に換えたら、はっきり見えました。




でも、残念ながら、唇が3つに分かれてY字型になっている。そこに歯がついているというところまでは見え

ませんでした。

次回、この口を半分に割って中を見ようとする研究員が現れることを期待します。


内容の濃いすごい研究日になりました。疲れました。


食事は夕食の餃子に始まり、朝はカレースパゲティー、昼はうな重と大変なスタミナ食事をエコトレードにごちそうしてもらい、そのおかげでこんな素晴らしい研究ができたんだと思います。ありがとうございました。みんなで感謝申し上げます。