売却と購入を繰り返す自転車趣味だが、またしてもメンバーに変更があった。
それがこのあぶくま自転車工房のシクロクロスフレーム。
あぶくま自転車工房は福島県の工房でフルオーダーのクロモリフレームの製作もしているようだ。ブランドは工房の名前にもある”Abukuma”で、郷土愛を感じる。
個人的にも住んでいる場所と近く、親近感がある。
阿武隈高地にはまだ行ったことはないが、阿武隈川は下流の方に自転車で訪れたことがある。
途中で雨がかなり強く降ってきて、増水しているもののそれを考慮しても広大な河川だった。サイクリングは散々だったが。
そのあぶくま自転車工房ではビルダーの方がシクロクロスをメインでされているようでオーダーもシクロクロスが多いようだ。
このフレームは残念ながらオーダーしたわけではなく、中古で購入したものになる。
ただ、あまり乗られていないようで、ほとんど傷もない。今までに入手した自転車の中では最も綺麗だ。
ブランドカラーとも言える鮮やかな水色のフレームカラーにはラメが入っていて可愛らしい。
ヘッドマークは金属製でイニシャルのAに熊?のデザインがかたどられている。
今回このフレームを入手した経緯だが、シクロクロスがしたかった訳ではない。主な理由としては、V(カンチ)ブレーキ台座がついたスチールの700Cフレームが欲しかったからだ。
私は自転車の画像をインターネット上で探すのが好きだ。それが趣味と言ってもいい。
よく見るのは、高品質(で高級)な自転車用品を多く扱う東京のBLUE LUGや名古屋のCirclesのサイト、特に店員さんが投稿している商品紹介やブログだ。
写真や動画の撮り方が素敵で自転車やパーツが非常に魅力的に写っている。必ずしもレースでスピードを競うためではなく、業界の流行に囚われないモノづくりをしている高品質な自転車、パーツたちは雰囲気が良く眼福だ。
大抵は私如きが手を出せる価格ではなく、余裕のある大人の遊びという感じがまたいい。
少し脱線したが、そこで見つけた自転車で最近刺さったのがリンク先のMASHというブランドのスチールフレームのトラッククロスだ。
細身のスチールフレームに42Cもの極太タイヤ、シンプルなドライブトレインとセライタリアフライト1990。そして昆虫を思わせるド派手なフレームカラー。
スチールフレームの雰囲気の良さを残しながらも、トラディショナルと言われるスチールのイメージを打ち壊す豪快なアッセンブリーである。
そんな訳で700Cのスチールフレームにスリックタイヤではない太めのタイヤを履かせてみたくなってしまった訳である。
太めのタイヤを履かせた700Cスチールフレームというのは、実はパナソニックでも実践していた。ただ、キャリパーブレーキだと泥詰まりがひどく、30Cが限界だった。
それにパナソニックは今、別の用途に徹してもらっている。
そういう訳でずっと太いタイヤを履かせた700Cスチールフレームの姿には憧れがあり、スチールのシクロクロスフレームはその用途にちょうど合致するのである。
ただ、ランドナーフレームやロードフレームと異なり、スチール製シクロクロスフレームなどマスプロで作っているところはほぼなく(パナソニックぐらいか?)、ほとんどがオーダーなので私がメインで探す中古市場に流通するものなど非常に珍しい。
今回、このフレームが出品された時は心が躍った。状態が状態だけに今まで手を出したことがない価格帯ではあったが、悩んだ末に手持ちのフレーム二台を放出することで購入資金を捻出し、購入に至った。ニッチなフレームだけに競ることなく開始価格で落札できたことは幸運だった。
フレームサイズはシートC-T500mm、トップC-C520mmとちょうど良いサイズ。
このフレームのジオメトリで特徴的なのは、シクロクロス車ならではのハンガー下がりだろう。
ハンガー下がりは、前後エンドを結んだ直線からBBシェルの中心までの距離のことである。
ホイールを付けてみると分かりやすいが、チェーンステーの角度がトップチューブに対して平行にかなり近い。つまり、地面から見てBBシェルの位置が高いということだ。
通常のロードバイクでは70mm前半が標準とされるが、このフレームでは60mmだ。カーブでペダルが地面にヒットしにくいようにそうなっている。同じ理由でピストはもっと数字が小さい。
分かりにくいが、NJSピストのキヨミヤザワは50mmほど。
あぶくまに戻ると、BBシェルは鰭のようになっていて綺麗。
BBやヘッドの規格はJIS、シートポスト径はφ27.2と実にオーソドックスな規格で逆に新鮮だ。
チェーンフォール痕が見られるが、この程度なら全く気にならない。
さて、これからどのように組もうか妄想が始まる。(書いている時点では完成しているのだが)