作・演出・振付/謝 珠栄
宝塚大劇場 令和5年5月3日11時公演・1階12列センターS席
東京宝塚劇場 6月18日15時30分公演・1階2列下手側S席/6月29日18時30分公演・2階4列センターS席
感想を書くのをすっかりサボっていますが、ムラと東宝で、本公演を1回ずつ見ていました。そして、この新人公演が、My楽でした。
[解説]
イギリス産業革命の影響を受けて目まぐるしく変化する19世紀初頭、ドイツ。プロイセン王国のユンカー(騎士領所有の貴族)であり、今も尚騎士道の精神を受け継ぐドロイゼン家。その広大な領地には、春になるとライラックの花が咲き乱れている。ドロイゼン家の長兄ハインドリヒ・フォン・ドロイゼンは、金融王ロートシルト家(世界的富豪ロスチャイルド家)を築いた5人兄弟のように、ドロイゼン家の5人兄弟も一丸となって、新しい産業である鉄道産業を発展させることを夢見ていた。
ある日ハインドリヒは、音大生の末弟ヨーゼフから、音楽家志望のエリーゼを紹介される。勝気で利口なエリーゼと些細なことで衝突しながらも、二人は次第に惹かれ合っていく。さらに、エリーゼの幼友達・鉄工職人のアントンとの出会いによって、ドロイゼン家による鉄道事業の歯車がまわり始める。
鉄道産業の設立こそ、ドイツ諸邦の発展と統一に繋がると信じるハインドリヒ。それは、5人兄弟が力を合わせることによって事業を成し遂げようとする姿とも重なっていく。兄を尊敬しながらも反論する官僚の次男フランツ、三男ゲオルグより告げられた亡き父親の噂、融資銀行の思惑や国からの圧力等、様々な問題がハインドリヒにのしかかる。しかし、それらを乗り越える時には、いつも兄弟の力があり、エリーゼの愛があった。
雪組新トップコンビ、彩風咲奈と夢白あやの大劇場お披露目公演としてお届けする、浪漫溢れる物語。
○ ○作?
さて、この作品、世評はいかがなのでしょう? 何となく、高評価というわけではない気もしますね...。私自身、序盤で...いきなり
「鉄の歌」
とか歌いだしたのには、正直当惑しましたし...(笑)。 ひょっとして
「○作」
扱い...まではされていないと思うけど、普通に「○評価」で
「演出家不足 (?)」
を嘆かれている...かもしんない? でも、個人的には、結構好きな作品です。特に、
「様々な伏線」
が、きちんと回収されていく
「S8以後」
は、とても良かったと思います。そして、
「新トップコンビお披露目」
さらに、
「初舞台公演」
にも相応しい演目だったのではないでしょうが。
● 作品評 ☆☆☆~☆☆☆☆
謝先生作品の、いかにも「TAKARAZUKA」って感じでは、
「全くない部分」 (鉄の歌とか関税同盟とか唐突に食い詰め農民が押しかけてくるとか (笑))
が、個人的には、結構好きです。
『眩曜の谷』には及ばないものの、前作『ELPIDIO』よりは、ずっと良く、謝先生って、(とても貴重な?)
「大劇場向き」
の先生なのかもしれませんね。次作もきっとあることでしょう。とても楽しみです。
ですから、本公演2回観劇を経て、この新人公演の観劇もとても楽しみにしていました...って、まあ正直言えば、事前には、作品鑑賞自体よりもむしろ
「どこまでヒロイン適性があるのか」
を一番気にしていたんですけどね(笑)。
○ 同じつくりでも...
そして、実際に観劇してみると、「ヒロイン適性」云々というよりも、舞台自体を十分に堪能できました。それって、まずは
① 紀城 ゆりや(きしろ ゆりや 105期・8番・研5 「のりか」「のりぴー」) ハインドリヒ・フォン・ドロイゼン 芝居 ☆☆☆☆ 歌唱 ☆☆☆
主役のお芝居がよかったからでしょう。芝居の作り自体は、成績上位者らしく
「本役さんを見事に踏襲」
していました。ただし、その上で浮かび上がってくる
「ハインドリヒの人物像」
はかなり違う感じ。
② 彩風 咲奈(93期・首席・研5 「さき」) ハインドリヒ・フォン・ドロイゼン 芝居 ☆☆☆☆ 歌唱 ☆☆☆
さきちゃんのハインドリヒは、
「熱血漢」
的なイメージが強かったのですが、のりかちゃんのハインドリヒは、よい意味での
「理想主義者」
的側面が前景に立つって感じでしょうか。要するに、本役さんの方は、ちょっと
「暑っ苦しい」
ってことかな(笑)。そして、どちらかというと、個人的には、新公のハインドリヒの方が好印象でした。
芝居の作りは同じようでも、これだけ印象が変わるんですね。勿論
「生物学的に若年」
ってこともあるのでしょうが、それとともに、のりかちゃんの
「透明感のある声質」
が大きかった気がします。勿論、芝居の作り込みでは、本役さんの方がずっと深いのでしょうが、新公ハインドリヒには、本役さんにはない魅力が感じられて、この作品をより深く楽しめた気がします。
● 公演評 ☆☆☆☆
本公演とは、また違った作品の魅力に出会えることができた素晴らしい新人公演でした。
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