鎌足 ② ’19年・日本青年館・千秋楽 「歴史好き?」 | To TAKARAZUKA once a month at leastー観劇・備忘録

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楽劇(ミュージカル)『鎌足−夢のまほろば、大和し美し−』
作・演出/生田 大和

令和元年5月24日 日本青年館ホール 2階H列センターA席

入場の際に、通路で「正蔵師匠」とすれ違ったような気がしました。まあ、どーでもいいことですけど(笑)。


○ 知らなかった...
不比等に、僧となった兄がいたことは知っていましたが、この女性の名は、全然知りませんでした。

③ 車持与志古娘  綺咲 愛里(96期・17番 「あーちゃん」)  芝居 ☆☆☆ / 歌唱 ☆☆

ところで、第二幕を見ていて
「こういった話って、どこかで...」
...って、言うまでもなく
『あかねさす紫の花』
ですよね。良く考えれば、登場人物も時代も被っているんだから、気づかない方がどーかしている...(笑)。
『尊卑分脈』によると、兄「定恵」と「不比等」の生母とされていますが、「不比等」の方の母は、「天智天皇の妃」であった、あの (「べーちゃん」が演じた) 「鏡王女」という説も有力だそうです。いずれが生母にしろ「不比等」は、「天智の落胤」という説が、平安時代から、すでにあるようですね。
前の記事に書いた通り、鎌足の描写は
「泣きが入り過ぎ」
感があって、こちらの女性は
「ちょっと強すぎ?」
感がありましたが...それも含めて、ピッタリの
「あて書き」
というところでしょうか。


○ 凄い名前
それにしても、「不比等」って、凄い名前ですね。
「比べるべきものなど、この世にはいない」
というようなネーミングですから...「蝦夷」とか「入鹿」の方が、よほど謙虚 (?) な名前だと思います(笑)。とはいえ、個人的には、本当は
「史(ふひと)」
という名前であったという説に一票です(笑)。

④ 藤原不比等  咲城 けい(さきしろ けい 102期・3番 「さんちゃん」)

清盛にも、同様の「御落胤」説がありますが、本当のところが漏れ出ることはないでしょうし、どちらも単なる「俗説」という気もしますね。ただし、不比等の立身の経緯からは、少なくとも (「入鹿」に優るとも劣らないほどの) 
「傑出した実力」
の持ち主ではあったと思われます。

さて、「天皇の外戚」となって権力を握るという「藤原氏」の政略は、馬子ー蝦夷ー入鹿と続いた「蘇我氏宗本家」のそれを真似たものとも考えられます。そして、「入鹿」は、その志半ばで、「鎌足」に唆された「中大兄」の手にかかり、結局、蘇我氏の政略は、それを滅ぼした鎌足の次男「不比等」によって、成し遂げられたと考えることも出来ますね。まあ、鎌足がそこまで見通せたはずはなく、それを成し遂げられたのは、その名の通り、不比等の人並み外れたその力量によるのでしょう。

ところで、今回の組替えで、102期・首席「ひっとんちゃん」、2番「ぷっく君」、そして、3番「さんちゃん」と、102期のワンツースリーが、星組に結集したんですね。


○ 予想以上...
ここまで、グイグイ来るとは思いませんでした。

⑤ 皇極天皇(宝皇女/斉明天皇)  有沙 瞳(98期・19番 「くらっち」「みほ」「ひとみ」)  芝居 ☆☆☆☆

大臣となった時の入鹿は32歳程、皇極帝は、入鹿の17歳年上ですから
「アラサー & アラフィフ」
カップル...には、勿論見えません(笑)。でも、「実年齢 (?) っぽいカップル」にも見えませんでした。いつもと
「声の出し方」
が違っていて、最初は少し戸惑ったのですが、それも含めて、その実力を十分に発揮していた感じでしょう。それと、豪華な和装が良く似合って、個人史的には、今までで
「一番美しい」
舞台姿の「くらっち」でした。そして、

⑥ 蘇我倉山田石川麻呂  美稀 千種(79期・22番 「ちぐ」、「ちーくん」)  芝居 ☆☆☆☆

「ちぐさん」も、持ち味を活かした、とてもよいお芝居でしたね。初の元号制定の段、
「令和」
でボケるのは想定内でしたが、次に「美稀 千種」が来るとは...一本取られました(笑)。また、
「乙巳の変」
での様子は、ほぼ「日本書紀」にある通り...(でも、あそこは、笑うところじゃないと思う、...)
「場の緊迫」
を感じるとともに、だまし討ちに合う「入鹿」が、やはり哀れでした。


○ 予想よりも...
さて、こちらは、もっと来ると思ったのですが...。

⑦ 中大兄皇子(天智天皇)  瀬央 ゆりあ(95期・40番 「せおっち」「なおみ」)  芝居 ☆☆☆

「お母様に言われて、部下をいじめる」
...って、『あかねさす』の「天智」と比べて、大分
「人物が小さく」
なったような...。本来は、もっと「冷厳な」人物というイメージがあります。でも、中大兄は「乙巳の変」の時って、まだ
「18~19歳」
というところなので、ちょうど一回り上の「鎌足」が、実際、万事を主導していたのかもしれません。ただし、
「与志古入内」
の際のやり取りについては、
「大王とその臣下」
との関係にしては、「臣下」が、あまりに
「攻めすぎ」
だった気がします (あれでは、他の臣下に「示しがつかない」というか...)
『あかねさす』での「中大兄」と「大海人」は、「舒明天皇」と「皇極天皇」という両親を同じくする
「皇族兄弟」
でしたが、そういった関係性とは、全然違うのですから、本来は、
「全く異なる風景」
となるはずじゃないかな...。かなり「違和感」を感じました (それと、凄く「既視感」もありましたね)。まあ、こういった意表をつかれる (?) 辺りが、私にとっての
「生田先生らしい...」
と感じるところでもあります(笑)。


○ 歴タク?
あとは、少々
「登場人物が多すぎ」
るような気がしました。要するに、物語の「本筋と、さほど関係のない」やり取りが結構あって、しかも、予習していないと、どういったやり取りなのか、良く分からない所もあったんじゃないかな...(笑)。
...ということで、今回も、
「ヒロ、君は歴史が好きだろ? でも、歴史に恋しちゃいけないよ」
という、『ひかりふる』の時のワイルドホーンの生田先生への警句が浮かんでくるところもありましたが、まあ、それでも『夢現無双』ほど、「物語は散乱」していないし、『ひかりふる路』よりは、「心理的な流れ」もスムーズだったように思えます。「歴史好き」の先生らしい
「佳作」
だったのではないでしょうか。そして、今まで挙げてきた「主要キャスト」だけでなく、蘇我蝦夷、舂米女王、僧旻など、その他のキャストの「あて書きぶり」も見事でした。

● 作品評 ☆☆☆

再演希望まではないけれど、スカステで、また見返してみたいと思っています。



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