●死に際の声を聞く女性。
世の中には、不思議な能力を持っている人がいます。
霊能者もその一人ですが、
そんな霊能者と知り合いになると、
彼女の他にも、不思議な能力を持っているという人がいるのが分かります。
ある時、こんな話をしてくれました。
それは、オレゴン州の片田舎に住んでいたという若い女性が、
仕事の関係で、初めて州外であるワシントン州に引っ越して来た時の話です。
彼女は、平屋のそんなに大きくない空き家を借りました。
車を運転しない彼女は、近くにバス停があるその家をとても気に入り、
さっそくオレゴンに住む両親に電話して、良い家が見つかった事を報告しました。
ところが、その家に住み始めてから、
2日が経った早朝の事です。
自然と目が覚め、時計を見ると、まだ朝の6時前です。
もう少し寝ようと、目を閉じた時でした。
どこからともなく、若い男の人の声が聞こえたと言います。
それは苦しそうな声で、
「死にたくない。
死にたくない。」という、不気味な声がしてきたのです。
まさか、
この家に、私以外の人がいる!
彼女は怖くなって、布団をかぶると、
そのまま1時間位、ベッドから動けずにいました。
ただ、不気味な声は、最初に聞こえた「死にたくない。」という言葉だけで、
それからは、まったく聞こえず、
もしかしたら、私の聞き違いか、空耳だったのではないかと思う様になりました。
一応家中を見て回りましたが、
他に誰かいる様な場所も見当たりません。
ここ最近、家探しや引っ越しで疲れていたから、
きっと木々や風の音を、人の声の様に思ってしまったのだろう。
そう自分を納得させると、眠りにつきました。
しかし、翌朝、目が覚めた時です。
今度は、お婆さんの声がするのです。
「もう一度、孫に会いたかった。」
やはり、苦しそうな弱弱しい声で、聞こえるのです。
声はそれっきり聞こえなくなりました。
今度は、男の人の声では無く、お婆さんの声だったので、
前ほどは怖くありませんでしたが、
それは間違いなく、空耳なんかでは無く、人の声だと確信しました。
翌朝は声はしませんでしたが、
翌々朝は、再び別のお婆さんの声がしたと言います。
「家に帰りたい。
家に帰りたい。」と、まるでどこかに監禁されているかの様な訴え声でした。
彼女いわく、
不思議な声は、決まって朝起きた時に聞こえるのだと言います。
それも、聞こえる声は、いつも別人だと言い、
毎朝ではありませんが、3日に一度は聞こえるのだと言います。
多いのは、「死にたくない。」という言葉だそうですが、
「苦しい。息が出来ない。」とか。
「もう一度、ステーキが食べたかった。」という様な言葉が聞こえた時もあったそうです。
一体、私が借りたこの家には、どんな秘密があるのだろう。
沢山の幽霊が住んでいるのだろうか?
本当は直ぐにでも引っ越したい所でしたが、
まだ最初の給料も入っていない現在、引っ越す費用もありません。
かと言って、オレゴンに住む親に心配もかけたくなかったので、
奇妙な声が聞こえるという事も話していませんでした。
でも、もしこのまま住んでいたら、何かもっと悪い事が起きるのでは?
そう心配した彼女は、霊能者に相談する事にしたのでした。
さっそく霊視が始まりました。
霊能者の方は、あらかじめ撮って持ってきてくれた、
彼女の家の写真を手に持ち、じっとその写真を見ながら霊視しました。
やがて、霊能者の方は、彼女に意外な言葉を言ったのです。
「貴方が聞いたのは、
幽霊の声じゃないのよね。」
姿が無く、声だけがするのに、
幽霊じゃない。
いったい、どういう事でしょう?
いったい、この家に、どんな秘密があるのでしょうか?
そんな疑問を抱いていた彼女に、
霊能者の方は、驚くような事を言ったのです。
この時点で、真相が分かる人は、天才でしょう。
霊能者の方は、彼女に、こう言ったのです。
「もしかして、
貴方の家の近くに、病院があるんじゃない?」
「はい、
すぐ隣に、大きな病院があります。」
それを聞くと、霊能者の方は彼女に、こんな事を言ったといいます。
貴方は、人の念をキャッチしてしまう能力があるのね。
普通は、他人が思っている事とか、念をキャッチする事は無いんだと思うけど、
人が死ぬ直前の最後に放つ言葉の念は、
その人が放つ念でも、最も強い念になりやすいの。
普通は、そういう念は、残された家族などに向けられて発せられるものなんだけど、
身寄りが無い人や、訴える人が誰もいないという人は、
近くにいる念をキャッチ出来る人に、聞いてもらいたいと思う事あるの。
つまり、貴方は、
病院で亡くなる人の最後の思いを、聞いていたのね。
こういう能力は、貴方が持っているものなので、
オンオフが出来る様にならない限り、止める事は出来ないないんだけど、
貴方の様な人に聞いて欲しかった事もあるので、
今度そういう声が聞こえたら、
「どうか天国に行ってくださいね。」と、
病院の方角に向かって、その人に手を合わせてあげてください。
悪い事は起きませんよ。
半年後、他の家に引っ越すと、
声は聞こえなくなったといいます。
END
PS.
今日現在の世界と日本の新型コロナウイルス感染状況は、下記
https://ameblo.jp/hirosu/entry-12577799889.html
