●中学生の戦友

 

 


このお話は、昨日のブログ(●幸せ恐怖症)の続きです。

 

 

 

従って、昨日のブログ(https://ameblo.jp/hirosu/entry-12404056442.html

 

 

 


を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ

 

 

私はスポーカン(Spokane)出身のアメリカ人男性とルームメイトになった。

 

彼には、ケイトリンという金髪のガールフレンドがいました。

 

そのケイトリンさんが、幸せ恐怖症だったのです。

 

幸せな事が起きると、やがてそれを上回る様な悪い事が起きると考え、

 

自分は幸せになってはいけないとまで思う様になってしまう病だという。

 

しかし、ケイトリンさんの場合、そういう医師の指示に従っても治らなかったという。

 

占い師として、ケイトリンさんの病状を聞いていると、ある種の違和感を感じたのである。

 

それは占い師としての直感かもしれない。と言うのは、

 

ケイトリンさんには幸せ恐怖症には珍しい症状が出ているのだという。

 

それは、右側だけに起きるという不思議な痛みである。

 

例えば、彼女にボーイフレンドが出来て、幸せを感じると、

 

やがて頭や肩、腕などに激しい痛みを生じるというのだ。しかも、全て右側だけに。

 

つまり、ケイトリンさんの場合、普通の幸せ恐怖症とは、動機が違うのである。

 

普通は、今幸せになると、やがてそれを上回る不幸がやってくるので、

 

幸せになるのが怖くなるのだが、彼女の場合、

 

今幸せになると、やがて激しい痛みがやってくるので、幸せになるのが怖いと言うのだ。

 

当初、医者は彼女の病状から、脳梗塞や脳卒中を疑って検査を重ねたと言う。

 

しかし、脳には異常が見つからず、結局、右側の麻痺も

 

ケイトリンさんの神経的な要因から来ていると結論付け、幸せ恐怖症の一種としたのだった。

 

ルームメイトはケイトリンさんが痛みを発症した事例をノートにメモしていたので、

 

それを見せてもらうと、

 

■ルームメイトの彼と付き合い始めた時。

■ボーイフレンドが出来た時。

■病院を退院した夜。

■家族でクリスマスを祝っている夜。

■誕生日会で友人を家に呼んだ時。

■高校を無事卒業した夜。

■親に車を買ってもらった時。

 

など場面は様々だが、聞くと痛みが起きるのは、夜がほとんどだというのも気になった。

 

そして、検査しても異常が見つからない右側だけの痛み。

 

何か、得体のしれない、嫌~な予感がしたのだ。

 

でも、私には、嫌な予感はするが、それが何なのか分からない。

 

そこで彼に、知り合いの霊能者にケイトリンさんを診てもらってはどうかと勧めたのである。

 

彼は少し考えてからケイトリンさんと相談して、後日私も一緒に霊能者の所に行く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私にとって、霊能者の方の所にお客を紹介したのは、ケイトリンさんが初めてでした。

 

 

この時を皮切りに、何人かの相談者を霊能者の所に連れて行きました。

 

 

勿論、霊能者の方からは、紹介料や手数料などは1円も頂きませんでした。

 

 

色々教えてもらい勉強させて頂けるだけで、恩の字だったのです。

 

 

 


私達は寮のエントランスで待ち合わせ、私とルームメイト、そしてケイトリンさん、

 

 

それに車で送ってくれる通訳の友人の4人で霊能者の所に向いました。

 

 

 

 

 

 


その前に、ちょっと警告させて下さい。

 

 

今日のお話は、ちょっと怖いです。

 

 

どの位怖いかと言うと、

 

 

ケイトリンさんは、霊能者の言葉を聞いて、恐ろしくて気絶してしまったのです。

 

 

私は、霊能者の霊視結果を聞いて相談者が気絶したのを見たのは初めてでした。

 

 


そう言う訳で、

 

 

もし貴方が怖がりなら、ここから先は他の人に読んでもらうか、

 

 

今日の記事は読むのは止めた方がいいです。

 

 

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さっそく霊視が始まりました。

 

 

 

 

しかし、3分経っても、5分経っても、

 

 

霊能者の方は、黙ったままです。

 

 

 

ただじっとケイトリンさんの肩の後ろ辺りを見つめるだけなのです。

 

 

 

やがて、霊能者の方が意を決して、霊視結果を話し始めました。

 

 

 

それは、とても怖いものでした。

 


「ケイトリンさん、

 

 貴方の後ろに、キツイ目をした女の子の霊が憑いているのよね。

 

 多分、その子が貴方が幸せになりそうになると、邪魔をしているんだと思う。」

 

 

 


これだけでも、ゾクッとする霊視内容ですが、

 

 

こんなものじゃ無かったんです。

 

 

 


霊能者いわく、その女の子の霊は、

 

 

さかんにケイトリンさんに対して、 「traitor!!」って言うのだそうです。


traitor!! (トゥレイタァ)

 


日本語に訳すと、「裏切り者!! 

 


そして、霊能者の方が、ケイトリンさんに、

 

 

シモーナっていう女の子知っている?」と聞いた時でした。

 

 


その名前を聞いた瞬間、

 

 

ケイトリンさんが、気絶して床に倒れ込んでしまったのです。

 

 

 


1分ほどで正気には戻ったのですが、

 

 

安静の為に、別室のソファーで15分程休ませました。

 

 

その後、ドリンクとカップケーキをケイトリンさんに与え、

 

 

彼女が落ち着いたのを見てから、事情を聞く事になりました。

 

 

 


彼女はなぜ、シモーナという名前を聞いて気絶したのでしょうか?

 

 

そしてなぜ、彼女に付きまとう女の子の霊は、

 

 

ケイトリンさんの事を「裏切り者!」と言って、ののしるのでしょうか?

 

 


そこには、恋人にさえも話せなかった、秘密があったのでした。

 

 

 

 

 


それは、ケイトリンさんが中学生だった頃の話です。

 

 

当時彼女は、小児ガンになっていて、病院で抗がん剤治療や放射線治療をしていたそうです。

 

 

相部屋には、年齢の近い女の子がいました。

 

 

その女の子が、シモーナだったのです。

 

 

彼女も小児ガンだったので、すぐに二人は仲良くなったそうです。

 

 

お互いに好きな曲は交換したり、聞き合ったりし、

 

 

持っている本は、お互いに貸し合いました。

 

 

二人は同じ病にかかって、同じ部屋で暮らす、いわば戦友になったのです。

 

 

しかし、まだ中学生という歳で辛い抗がん剤治療による副作用はとても辛いものでした。

 

 

現在の抗がん剤治療では、髪の毛はまた生えて来ますが、

 

 

当時の抗がん剤治療では、髪の毛は生えて来ないものだったそうです。

 

 

そんな辛い治療を頑張っていた2人でしたが、ある日、

 

 

同じ病の子が2人続けて亡くなるという時があったそうです。

 

 

「こんなに頑張っても、死ぬんだ。」

 

 

一瞬、二人の糸が切れてしまったのかもしれません。

 

 

当時、病院のすぐ目の前にビルが建っていたのですが、

 

 

二人はあのビルに登って、飛び降りようという事になったといいます。

 

 

そして、屋上に登ると柵を超え、二人は手をつないで一緒に飛び降りたそうです。

 

 

ところが、ケイトリンさんは、

 

 

下を見た瞬間、怖くなってシモーナと手をつないでない方の手で、

 

 

柵をつかんでしまったそうです。

 

 

その瞬間、シモーナだけがビルから下のコンクリートに落下したのでした。

 

 

シモーナの体の右側部分だけ地面にぶつかり砕けたといいます。

 

 

つまり、右の頭、右の肩、右の腕がモロにコンクリに衝突したのでした。

 

 

ケイトリンさんは、今でも、

 

シモーナと手をつないでいた手が離れる瞬間が忘れらないと言います。

 

 

そして、自分だけが生き残ってしまった罪悪感も。

 

 

 

 

 


その後、

 

 

ケイトリンさんは霊能者の方と一緒に、シモーナの霊に謝り、

 

 

私を含めた5人全員で、シモーナさんが光の方に行き成仏する様に祈りを捧げました。

 

 

すると、シモーナの霊は、ケイトリンが謝ってくれた事に納得したそうで、

 

 

天に昇って行ったそうです。


END