●幸せ恐怖症。

 


多分、皆さんは、こんな病名は聞いた事も無いだろう。

 

 

第一、幸せが怖くて病気になるなんて、普通は考えられない。

 

 

 

 

私も、アメリカに行くまでは、こんな病名すら聞いた事は無かった。

 

 

この「幸せ恐怖症」は現地では、

 

 

cherophobia(ケロフォビア)」と呼ばれていた。

 

 

日本語に訳すと、「幸せ恐怖症」とも「幸福恐怖症」とも言われる。

 

 

私は当時、大学では美術と建築を専攻していたので、

 

 

当然、こういう医学的な接点は無い。だから、普通なら

 

 

皆さんと同じ様に、この様な病気がある事すら知らない人生を歩んだはずだった。

 

 


ところが、ひょんな事から、

 

 

私はそんな「幸せ恐怖症」だという女性と知り合ったのです。

 

 

 

 

 

 

 

当時、私は大学の寮に住んでいた。

 

 

大学の寮には、個室、2人部屋、4人部屋などがあり、

 

 

私は、2人部屋で暮していた。

 

 

個室が良いに越した事は無いのだが、個室はほぼ3年生や4年生など、

 

 

長く大学に居る人達に取れていて、留学生が与えられる事はほぼ無かった。

 

 

 

 

 

ちなみに、私がアメリカの寮に行って驚いたのは、

 

 

日本では考えられない男女混合部屋などがあった事だ。

 

 

日本で言うなら、ルームシェアだろうが、そんな立派な物では無い。

 

 

日本なら、一人づつ個室が与えられ、各人のドアがあり、

 

 

食堂や居間が一緒という作りだろうが、

 

 

アメリカの寮の男女混合部屋は、6畳位の一部屋に2段ベッドが2つあり、

 

 

そこに男性2人、女性2人が寝泊まりしているのである。

 

 

まさに一緒の部屋に住んで居るのと一緒だから、夜中にトイレに行って、

 

 

部屋に帰って来た時に寝ぼけて隣の女性のベッドに入る可能性だってある。

 

 

私は友人に、「こんな部屋もあるんだよ。」って見せてもらった時受けた、

 

 

カルチャーショックは、今も忘れない。(正直、少し羨ましかったが。)

 

 

 

私はスポーカン(Spokane)出身のアメリカ人男性とルームメイトになった。

 

 

彼は男前だったが、とても大人しい人でした。

 

 

彼には、ケイトリンという金髪のガールフレンドがいました。

 

 

そのケイトリンさんこそが、

 

 

幸せ恐怖症、つまり「cherophobia(ケロフォビア)」だったのです。

 

 

アメリカ人男性は、よく机の上や財布の中などに、ガールフレンドの写真が入っています。

 

 

彼も例外なく、勉強机の上にケイトリンさんの写真が飾ってありました。

 

 

6畳一間のルームメイトですから、嫌でもそんな写真は目に入ってしまいます。

 

 


ある日、彼に「Your Girlfriend?」って聞いてみたんです。

 

 

そしたら、Yes.って言うので、結婚考えてるの?って聞いてみました。

 

 

すると彼は、

 

 

「ボクは出来ればそう思っているんだけど、彼女は怖がってるんだよね。」と言う。

 

 

理由を聞くと、彼女が「cherophobia(ケロフォビア)」だとの事。

 

 

cherophobia(ケロフォビア)」とは、

 

 

幸せな事が起きると、やがてそれを上回る様な悪い事が起きると考え、

 

 

自分は幸せになってはいけないとまで思う様になってしまう病だという。

 

 

医者によると、こういう患者は、幼い頃や過去などに、

 

 

幸せを感じた直後に、誰かから報復を受けたり、

 

 

その幸せを上回る罰が後から与えられたりした強烈な経験が、

 

 

トラウマになっている子が多いのだと言う。

 

 

そして、幸せや良い事が起きると、それは不幸の前触れだと思い恐れる様になるだという。

 

 

 

医者によると、多くの場合、それは他人と比較するからいけないのだという。

 

 

だから、他人と自分を比較しないようにして、

 

 

なおかつ、自分も幸せになれると思い込む事。

 

 

そして、後に来るという不幸など考えず、楽しいと思う事を沢山やる事、見つける事だと言う。

 

 


しかし、ルームメイトの彼女、ケイトリンさんの場合、

 

 

そういう医師の指示に従っても、幸せ恐怖症は治らなかったという。

 

 

そんな彼女の将来が心配だと、ルームメイトは私に話してくれた。

 

 

 

 


私は医者では無いので、彼女の幸せ恐怖症を治すなどという術(すべ)は知らない。

 

 

しかし、占い師として、

 

 

ケイトリンさんの病状を聞いていると、ある種の違和感を感じたのである。

 

 

それは占い師としての直感かもしれない。

 

 

と言うのは、

 

 

ケイトリンさんには幸せ恐怖症には珍しい症状が出ているのだという。

 

 

それは、右側だけに起きるという不思議な痛みである。

 

 


例えば、彼女にボーイフレンドが出来て、幸せを感じると、

 

 

やがて頭や肩、腕などに激しい痛みを生じるというのだ。

 

 

しかも、全て右側だけに。

 

 

だからルームメイトと彼女の交際が始まった時も、

 

 

彼女の右側の頭や肩、腕を激しい痛みが襲ったという。

 

 

つまり、ケイトリンさんの場合、普通の幸せ恐怖症とは、動機が違うのである。

 

 

普通は、今幸せになると、やがてそれを上回る不幸がやってくるので、

 

 

幸せになるのが怖くなるのだが、彼女の場合、

 

 

今幸せになると、やがて激しい痛みがやってくるので、幸せになるのが怖いと言うのだ。

 

 

当初、医者は彼女の病状から、脳梗塞や脳卒中を疑って検査を重ねたと言う。

 

 

しかし、脳には異常が見つからず、結局、右側の麻痺も

 

 

ケイトリンさんの神経的な要因から来ていると結論付け、幸せ恐怖症の一種としたのだった。

 

 

 

ルームメイトはケイトリンさんが痛みを発症した事例をノートにメモしていたので、

 

それを見せてもらうと、

 

■ルームメイトの彼と付き合い始めた時。

 

■ボーイフレンドが出来た時。

 

■病院を退院した夜。

 

■家族でクリスマスを祝っている夜。

 

■誕生日会で友人を家に呼んだ時。

 

■高校を無事卒業した夜。

 

■親に車を買ってもらった時。

 

 

など場面は様々だが、

 

聞くと痛みが起きるのは、がほとんどだというのも気になった。

 

 

そして、検査しても異常が見つからない右側だけの痛み。

 

 

 


何か、得体のしれない、嫌~な予感がしたのだ。

 

 

でも、私には、嫌な予感はするが、それが何なのか分からない。

 

 

 

 

そこで、彼に、

 

 

多少お金はかかるけど、

 

 

知り合いの霊能者にケイトリンさんを診てもらってはどうかと勧めたのである。

 

 

 

 


彼は少し考えてから、ケイトリンさんと相談して、

 

 

後日、私も一緒に霊能者の所に行く事になった。

 

 

 

 

 

 


この時はまだ、

 

 


私は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


彼女の後ろに、恐ろしいものが居たのを・・・・


後半は、明日のブログに続く。