●息子が勉強が出来ない。
占いの電話相談をしていると、
時々、家庭での愚痴をこぼしてこられる方がいらっしゃいます。
そんな、お金を払って占いじゃなく、家庭の愚痴をこぼす人なんかいるのか。
と思うでしょうが、いるんです。
初めての占いの時は、占いの事ばかりかもしれませんが、
2度目にかかって来た時には、もう大方占って欲しい事は聞いたので、
占いの質問は1個か2個で、残りの時間は愚痴だったりするのです。
友人にそんな日常を話すと、
他人の愚痴を聞いてあげるのも大変だね。と言われる事もありますが、
そんな事はありません。
残りの時間をどう使おうと、相談者の自由だし、
ただ話を聞くだけで、お金を稼げるのだから、こんな簡単な時間はありません。
それに、話を聞いてあげるだけで、胸のつかえが取れましたとか、
気が楽になりました。と言って満足される方がいると、
ああ、この人はご主人や親兄弟など、きっと相談出来る人が周りにいないで、
誰にも話せず、ずっと独りでモヤモヤしていたんだろうなぁ。と思うのです。
ある時、こんな愚痴をこぼされる相談者がいらっしゃいました。
「こんな事、先生に話しても仕方が無いんですけど、
私の一人息子が、まったく勉強が出来なくて、困っているんです。」と言う。
聞くと、小学4年生になる息子さんがいるのだが、
いくらお母さんが勉強しなさい。宿題しないさい。と言ってもなかなか勉強せず、
成績はほとんどが「がんばろう」だと言う。
私はそれを聞いて、「えっ、がんばろう。ってなんですか?」と聞いてしまった。
すると、お母さんいわく、小学生の成績は、3段階で、
一番良いのが、「できた」
次が、「もう少し」で、
一番悪いのが、「がんばろう」だという。
つまり、成績は3段階で、上から「できた」「もう少し」「がんばろう」らしい。
私が小学生の時は、5段階で、一番良いのが「5」だった。
今はほとんどそうらしい。 時代を感じた。
私は教育者ではありませんが、と前置きしてから、彼女にこう言った。
「人間には、2通りあって、
誉めて伸びるタイプと、
叱られて伸びるタイプ。があるそうです。
ただ、割合からすると、誉めて伸びるタイプが全体の8割に対して、
叱られて伸びるタイプの人は2割と少ない様で、
多分、貴方の息子さんは、誉めて伸びるタイプだと思います。
誉めて伸びるタイプの子に、勉強しなさい。とか、
宿題しないさい。と言い続けると、どんどん勉強が嫌いになってしまいますよ。」
「でも、言わないと、いつまでも宿題をしないんです。」とお母さん。
「そうですか。
でも、お母さん、今まで宿題しなさい。と何回位言いましたか?」
「100回は言ってると思います。」
「では、勉強しなさい。とか、宿題しないさい。
と言う言葉が効果が無い事が分かったと思います。
大抵の子供は、命令されるのが嫌いです。大人でもそうですが、
命令される事を、どんどん、どんどん嫌いになっていくんです。
ある塾講師が言っていましたが、
子供に勉強しなさいと言い続けると、その日だけで偏差値が0.1下がるそうです。」
「では、どうすればいいんですか?」
「最初は、ただ息子さんを愛する目で、息子さんを観察してみて下さい。
ここが一番大切だと思いますが、
息子さんを心の底から愛する気持ちになって、観察して下さい。
すると、分かってくるはずです。
ああ、息子はこんな事が好きなんだな。
こんな事が嫌いなんだな。って。
子供には、それぞれ違った自分なりのペースがあります。
だから、息子さんのペースがどんな感じか観察して下さい。
教育で一番大切なのは、愛情だと私は思っています。
本当に息子さんを愛しているなら、観察していると分かってくると思います。
ああ、この子は車が大好きなんだ。とか、
ああ、この子はゲームが大好きなんだとか、
ああ、この子は漫画が大好きなんだとか。
そうしたら、この子が喜ぶように車を一緒に勉強するとか見に行くとか、
ゲーム式の勉強を一緒にするとか、漫画で勉強になる本を図書館に借りに行くとか。
お母さんが、子供に勉強させたいのは、あくまで息子の為で、
将来、社会に出た時や大学受験の為だという事は分かっています。
でも、小学生はそんな10年先の事なんて考えないのです。
今が勉強嫌いなら、止めてしまうんです。
だから、息子さんを観察して、息子さんが好きなもの、
息子さんのペースを、貴方の愛情ある目で見つけてあげて下さい。」
最後に、彼女に、こんな人の話をした。
1975年、
東京に1人の男の子(マーちゃん)が生まれた。
幼い頃は、無口でとてもおとなしい子だったという。
ただ、周りの子と違ったのは、興味を持った物にはとことんのめり込むのだが、
他の事には、まったく興味を持たない子だったという。
そんなマーちゃんは、幼稚園に入っても、学習能力は他の子について行けず、
ただ一つ、他の子よりも絵を書く事だけは好きだった。
しかも、トラックが好きだったので、トラックの絵ばかり書いていたという。
「お前は、そんなにトラックが好きなのね。いいんだよ。」
勉強にまったく興味をしめさず、ただただトラックだけに夢中になっていても、
母は何も言わなかった。
だから、小学校に上がっても勉強はいっさいしない。
成績表はほぼ全てが、5段階評価で、「2」だったという。
ただ、たった1つ、絵を書くのが好きだったので図工だけは優秀だったという。
彼の事を、発達障害だと言う人もいたが、お母さんは、
「うちの子は、これでいいんです。」と、気にしなかった。
小学2年生の時だった。
マーちゃんが、嬉しそうに学校から帰って来て、母親に、
「母さん、タコってすごく可愛いんだよ。」と言う。
話を聞くと、学校の友達がタコの絵をノートに落書きしたという。
しかし、それを見て、こんな生き物がいるんだ。なんて可愛いんだろうと思ったという。
マーちゃんの興味が「トラック」から「タコ」に変わった瞬間だった。
マーちゃんは、タコ、タコと言って、タコの絵ばかり書く様になった。
普通の人なら、「タコタコって、うるさい!」と言ってしまいそうですが、
お母さんは違ったといいます。
「いいんだよ。お前はタコがそんなにも好きなんだね。」
マーちゃんが、色々なタコを書けるようにと、
その日から、毎日1ヵ月間も、食卓にはタコが並んだのでした。
その間、タコを求めてあちこちの水族館にマーちゃんを連れて行きました。
ある水族館に行った時でした。
タコがタコ壺の中に入って出て来ません。
しかもマーちゃんは、その水槽の前に座って動きません。
タコ壺からタコが出て来るという保証はありませんでした。
でも、マーちゃんはどうやってタコが出て来るのか見たかったようです。
結局、マーちゃんとお母さんは、水槽の前で何時間も待ちました。
そして、水族館が閉館するまでずっと一緒に出てこないタコ壺を見続けたそうです。
やがて、マーちゃんが実際に生きているタコを見たいと言い出したので、
お母さんは、海に近い親戚の家に行って、自然に生きているタコを見に行きました。
そんな実際の海や水族館に通う内に、他の魚にも興味を示す様になりました。
すると、お母さんは、魚を買う時は、
マーちゃんが魚の絵が描けるようにと、切り身では無く、丸ごと買う様になった。
この頃、まだ小学生だったのに、卒業文集には、
「将来、東京水産大学の先生になる」という夢を書くほどでした。
マーちゃんは、タコ以外はまったく興味を示さなかったので、
学校の勉強はまったくダメでした。
やがて、学校の担任の先生から、お母さんが呼び出されます。
「息子さん、魚が好きで、魚の絵ばかり書くのに夢中なのは分かるけど、
もっと勉強しないと、大変な事になりますよ。」と指導されます。
しかし、お母さんは、息子に勉強を強制させる事はありませんでした。
彼女は先生に、
「うちの子は、魚が大好きで、絵も大好きなんです。
それが個性なので、続けさせてあげたいんです。」と言ったという。
実は父親は、教育熱心な方で、勉強が出来ないマーくんを厳しく怒った。
とても怖かったという。
それでもお母さんだけは、息子を信じて、
好きな事だけを自由にさせ、個性を伸ばす事を支えてくれたという。
後に彼はこの時の事を、こう語っている。
勉強をしないで、魚だけに夢中になっていても、母は何も言いませんでした。
あとから知った話ですが、学校の先生が心配して、
母に「もう少し勉強したほうがよいのでは」と言ったことがあるそうです。
母は「みんなが同じように勉強してもしかたない。うちの子はこれでいいんです。」
と言ってくれたそうです。
なかなか将来の道が見つからなかった時には焦らず、私を見守ってくれた母に感謝しています。
そんなマーちゃんだったので、中学に進学しても成績は最悪だった。
この頃同級生だった子は、彼の事をこう語る。
「彼の持っているものは全部魚に関連しているものでした。
鉛筆、消しゴム、下敷き何から何まで魚にまつわるものばかりでした。
それだけでは飽き足らず授業中に先生に隠れながら教科書に魚の絵を描いていました。
もっと驚いたことがあります。
授業中に机の中に手を入れてゴソゴソしているので何をしているのかなと
思い見てみるとフグの剥製をなでていました。」
中学でクラブ活動をしている時、そのクラブ内でイジメが起きた事があった。
みんなで1人の子を無視するというイジメだったという。
しかし、彼だけがその掟を破り、放課後その子にそっと寄り添い、
遊んだり釣りにいってあげた。
また、中学3年の時だった。
学校にカブトガニが持ち込まれたのである。
カブトガニと言えば、天然記念物の生き物である。
学校は飼育の許可を国に申請し、その担当になったのが魚好きなマーちゃんだった。
学校の水槽は小さかったので、お母さんは大きな水槽を買ってくれ、
海水が必要だとなると、マーちゃんと海に海水を汲みに行くのを手伝ってくれた。
そんなある日、新聞沙汰にまでになる大事件が起きる。
なんと、天然記念物のカブトガニの子供が19匹も孵化したというのだ。
これは大事件だった。
これまで世界でも、カブトガニを民間人が孵化させた事が無かったのだ。
それをまだ中学生だったマーちゃんが成功させたのだった。
この偉業を聞いて、学校に新聞記者達が駆け付け、新聞に大々的に載ったのである。
では、世界中の学者やプロの水産研究者達が、
成功しなかったカブトガニの孵化を、なんでたかが1人の中学生に出来たのだろうか。
そこには、プロの学者や水産研究者には無くて、マーちゃんには有ったものがあったのだ。
それは愛情である。
マーちゃんは、カブトガニが学校の理科室で毎日世話している間に、こう思ったという。
「狭い水槽の中で、かわいそう。」
マーちゃんは、カブトガニを決まった時間に水槽から取り出して、
毎日散歩させてあげたのだった。
すると、それが、潮の満ち引きと勘違いしたカブトガニが産卵して、
人工孵化に成功したのだった。
そんな功績もあったのだが、相変わらず勉強は出来ず、
高校生になっても、成績は最悪。
残念ながら、魚の事をもっと勉強したいと、東京水産大学を受験したのだが、
当然、小学生の時からの夢だった東京水産大学への入学は叶わなかった。
マーちゃんは高校卒業後は専門学校へ進み、
お寿司屋さんや鮮魚店、熱帯魚店など魚がいる所でアルバイトをした。
学校卒業後は、魚のイラストや魚関係の仕事を転々としたという。
しかし、テレビ東京の「TVチャンピオン」に出場し、
全国魚通選手権で5回連続優勝して殿堂入りを果たしてから段々と、
マーちゃんこと、さかなクンの名前は有名になって行き、
2006年、小学生からの夢が叶う。
破れたと思われた夢が向こうからやってきてくれたのだ。
東京水産大学の先生になったのです。
その後、大学で数々のプロジェクトを成功させ、准教授に就任。
2015年3月には、名誉博士の称号を授与された。
2011年、東日本大震災が起きた時、
岩手県久慈市の水族館「もぐらんぴあ」は、この震災で大きなダメージを受けた。
飼育していた3000以上にも及ぶ生物のほとんどが死滅して、営業停止に追い込まれたのだ。
しかし、震災のわずか5ヶ月後に、
久慈駅前に借りの水族館「もぐらんぴあ まちなか水族館」を開園する事が出来た。
それを強力にバックアップしたのが、さかなクンだったのだ。
館内の壁画を描くのを手伝い、自宅で飼育している魚の中から、
サザナミフグなど100匹近くを水族館に寄贈したのだ。
他にも、漁業関係者を支援するため募金活動に参加した。
今も、久慈や南三陸の海に潜って、定期的に海中の様子も調査して、
震災からの復興状況を観察しにいっている。
https://www.youtube.com/watch?v=e7SZp5H7fbI
END
参考:
鈴木拓さんのホームページ:https://ameblo.jp/suzukitaku/entry-10157522542.html
Fish Dish Park:http://fish-dish-park.com/knowledge/4310/
NAVERまとめ:https://matome.naver.jp/odai/2144702677212950001?page=2
発達障害の改善方法!子供や大人の発達障害を軽減する:https://発達障害の悩み.net/?p=690

