●老人を救ったトラックの助手席
このお話は、昨日のブログ(●見えない十字架)の続きです。
従って、昨日のブログ(https://ameblo.jp/hirosu/entry-12336425552.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
昨日13日、山形県大蔵村で、除雪車のローターに51歳の男性作業員の庄司正さんが、
巻き込まれて死亡した。除雪車は、もう一人の男性と一緒に作業をしていて、
もう一人の方が運転、庄司さんは昨年から助手を務めていた。
当時、除雪車のローターに雪が詰まって、一旦機械を止めて、二人で雪を取り除いた。
そして、一旦除雪車を1mバックさせ、その時は庄司さんは無事だったのだが、
ローターがちゃんと動くか確認する為に回転させた時に、庄司さんがそのローターに、
巻き込まれた様だった。詳しい事情は、分からないが、悲しい事故だった様である。
勿論、亡くなってしまった庄司さんは、気の毒だが、
運転手も、きっと仕事仲間を殺してしまったという十字架を背負っているに違いない。
誰もが、同じ様に誤って人を殺してしまったという十字架を背負って悩んで来られる。
●自分のせいで、友人を死なせてしまった。
●不注意で、子供を死なせてしまった。
●もう少し気を付けていたら、彼は死なずすんでいたはず。
●あの時、私があんな頼み事を言わなければ、彼は死ななかったはず。
●遊びに出かけなければ、母は死なずに助けれらたのに。
悩んでいる来られる人は、相手が人ばかりとは限らない。
●子供同然だったペットを、誤って死なせてしまった。という方もいらっしゃる。
みんな、自分のせいで、殺してしまったという見えない十字架を背負っている。
中には、自分は殺人者だと決めつけている人もいるくらいだ。
こういう相談に直面した場合、
私も話を聞いていて、辛くなるし、うまい言葉が見つからない時が多い。
そんな時、私はアメリカで体験した、ある霊能者の話をしてあげる事にしている。
アメリカでは、クリスマスが一番お祝いムードが高まる時期である。
しかし、それと同じくらい大切にされているのが、Thanksgiving Dayだ。
日本語に訳すと、感謝祭。(11月の第4木曜日)
日本では、余り感謝祭だと言ってお祝いしたりする人を見かけないが、
アメリカに居る時には、みんな来週は感謝祭だからと言って、
七面鳥を用意したり、親の所に帰省する準備をしたりと慌ただしくなる。
つまり、アメリカの感謝祭とは、家族で集まってお互いに感謝しながら、
食事をする日なのです。
日本では、その頃、勤労感謝の日(11月23日)があるので、同じ様に親に食事を奢ったり、
親孝行する人が多いので、ある意味勤労感謝の日が感謝祭という事になっているのかもしれない。
私がアメリカに居る時に感じたのは、
この感謝祭の日から、アメリカはクリスマスだという印象だ。
なぜなら、感謝祭で家族が集まり食事し、その時に子供や孫が欲しい物を何気なく聞いたりして、
それをクリスマスプレゼントとして用意したりするのである。
だから、感謝祭の翌日の金曜日をブラックフライデーと呼び、
クリスマス・セールの始まりである。このブラックという呼び名は悪い意味では無く、
多くの小売店が、この日の売り上げから黒字になるという良い意味である。
そして、感謝祭が終わるとクリスマス・ツリーを用意しはじめるのである。
つまり、事実上、この感謝祭からアメリカはクリスマス・シーズン入りなのだ。
そんな感謝祭では、外国からの留学生や家族の居ない友人達をも、家に招いてくれる。
実は私もアメリカに居る時に、親しくしてくれた霊能者の家に、この時期招待してもらった。
ところが、ある年の感謝祭の時、わたしと友人も招待されていた時だった。
霊能者の所に、一本の電話が入ったのである。
相手は霊能者の友人の精神科医だった。
是非一人だけ診てもらいたいと言う。
アメリカでは日本と違って、医者や警官が個人的に霊能者と繋がっていて、
お互いの協力を求め合うという事がある。
その精神科医のお友達は、一人の老人を是非診てやって欲しいと助けを求めて来たのだ。
その老人は、今日の感謝祭の日に自殺しようと計画していたのを、昨日家族が発見して、
この精神科医の所に相談に来ていたのだが、精神科医もお手上げ状態だという。
実は、この老人、去年もこの時期に自殺を計っていて、家族が警戒していたのだ。
いったいこの老人に、何があったというのだ。
後から聞いて分かったのだが、
この老人(マイヤーズさん)には、悲しい過去があった。
今から、3年前の感謝祭の日に、4歳になる孫娘を殺してしまったのである。
3年前、感謝祭の前日から長男夫婦がマイヤーズさんの家に帰省していた。
久々に孫の顔を見たマイヤーズ老人も大喜び。
孫達をピックアップトラックに乗せて、近くのスーパーに買い物に出かけたのだ。
そして、孫達に好きなものを買わせて、自宅に帰って来た。
自宅に着くと、孫達は買って貰ったお菓子をお母さんに見せるのだと、
一目散に自宅に入って行ったという。
マイヤーズ老人はそれを見届けると、ピックアップトラックをバックして車庫に入れた。
ところが、トラックが車庫に入る直前だった。
「ギャ!」という声が聞こえたのだ。
トラックを降りて見てみると、右の前輪で孫娘の頭を轢いていたのである。
すぐに病院に連れて行ったのだが、翌日亡くなってしまった。
どうやら娘さんは、お母さんには会いに行かず、玄関にお菓子を置いたら、
直ぐにお祖父さんを迎えに戻って来た様だった。
しかし、お祖父さんは左のサイドミラーばかりに気を取られていて、
娘さんが近づいて来たのに気がつかなかったのだ。
その時以来、
マイヤーズ老人は丸い果物が食べれなくなったという。
食欲も減り、何回も自分が孫娘を轢いてしまう夢を見てうなされる様になった。
やがて、トラックにも乗れなくなり、仕事を辞めた。
心配した家族は、彼を精神科医の所に連れて行ったのだが、そんなに効果は無かったという。
マイヤーズ老人は精神科医に、夢で何回も娘を轢いてしまうんです。と打ち明けた。
そして、時々そんな孫娘の明るい声が聞こえてきて、
ああ、私はなんてことをしてしまったのだと思い、死にたくなるという。
薬は最初は効いたものの、3ヶ月後にはまた死にたくなったという。
こうして担当精神科医は、霊能者に助けを求めたのである。
感謝祭の日を祝えない、むしろその日に死にたいという老人がいると聞いて、
霊能者の方は快く引き受けた。
電話から2時間後、家族がマイヤーズ老人を連れてやって来た。
マイヤーズ老人とその奥さん、そして長女だった。
マイヤーズ老人は、金髪がかった白髪の白人の老人だった。
金髪の方が、老人になると、白髪なのか金髪なのか分かりづらいから良い。
だからトランプ大統領も、たとえ白髪が増えても分かりづらいだろう。うらやましい。
Thanksgiving Day当日という事もあり、霊視は直ぐに始まった。
幸い私も離れた部屋の隅で、その様子を見る事が出来た。
まずは何でもない世間話を少しして、お爺さんをリラックスさせてから、
霊視が始まった。
霊能者はお爺さんの右肩上を見たり、左肩上を見たり、
お爺さんの横を眺めていたり、腕を組んで顔に手を当てたりしていた。
そして、5分位の沈黙の後、霊能者は老人にこう言ったのである。
「今朝も、お孫さんの夢見たでしょ?」
「はい。」
「その時、
お孫さん、貴方の側に居たのよ。」
衝撃的発言だった。
亡くなったお孫さんの夢を見た時に、そのお孫さんが彼の側に居たというのだ!
さらに、衝撃的発言が続いた。
「それだけじゃない。
貴方のお孫さんが、今日、貴方をここに来る様に導いています。」
「そして、お孫さん、こう言うの。
お祖父ちゃん、私を助けて!って。」
これにはマイヤーズ老人も意外だった様で、「えっ?」と聞き返した。
すると、霊能者は続けて、
「貴方が、お孫さんを車庫の前でトラックで轢いてしまう夢を、
何度も何度も繰り返し見るから、
お孫さん、その場所からなかなか離れられないらしいの。
貴方が繰り返し見る夢が、お孫さんが天国に行くのを妨げてるらしいの。」
「それから、自殺しないで、って言ってる。
貴方が自殺して、この世をさ迷ってしまうと、
お孫さんも一緒に、さ迷ってしまって天国に行けなくなるというの。
だから、自殺しないで。って」
すると、マイヤーズ老人は、体から絞り出す様にして、
「私はどうしたら・・・」と言った。
「お孫さんがね、
お祖父ちゃん、悪く無いよ。って。
私が車の側で転んじゃったの。そしたら轢かれちゃったの。
だから、お祖父ちゃん悪く無いの。
自分を許してあげて。
もう十分苦しんだでしょ。
もう、自分を許してあげて。
お祖父ちゃんが苦しんでいると、私も苦しいの。」
あと、霊能者の方がこんな事も。
「貴方の家、
お孫さんの写真が1つも無いって、お孫さんが言ってる。
寂しいって。」
奥さんいわく、娘さんが写真を見ると悲しくなるからと、
全部仕舞ってしまったという。
あと、お孫さんの霊は、こう言ったという。
「私の写真の横に花を飾ってくれると嬉しいな。
轢かれる夢じゃなくて、
一緒にスーパーに行ったり、一緒にケーキを食べたり、
一緒に遊園地に行った様な楽しかった夢をいっぱい見て。
そうしたら、私、天国に行ける様になるから。
トラックを運転する時は、隣に私が持っていた人形を私だと思って置いて運転して、
私をまた遊園地に連れてってね。
お祖父ちゃん、もう自分を責めるのは止めてね。」
マイヤーズ老人、少し涙ぐんでいた。
付き添いで来た夫人と娘さんも泣いていた。
その後、マイヤーズ老人は少しづつ良くなって行き、
孫娘さんの為に、寝る前には笑っている孫娘の写真を出して、
なるべく楽しかった思い出を思い出して、悪夢を見ない様に孫娘の為に頑張っていると言う。
そして、1ヶ月後には、またトラックに乗れるまでなったという。
勿論、トラックの助手席には、
孫娘の人形が座っている。
END
